何故か豊臣秀勝です。
思い付き投稿の第二弾です。
溺れて死んだと思ったら秀吉の息子になっていました。でも、死んだ事にした方が羽柴の家の為になりそうな気がします。
前作と同じく、基本は名前呼びでいきますので。
~慶長四(1599)年、大坂城にて~
「私が豊臣秀勝である!不肖の身ではあるが、亡き父に代わり日ノ本を治めていく
所存故、皆には今後ともよろしく頼む次第である!」
俺が上段にてそう言うと、下段に居並ぶ諸将が一斉に頭を下げる…凄ぇな、まるで生で大○ドラマの撮影を見ているみたいだ。結局、表舞台に出る事になったか…やれやれ。
どうも、豊臣秀勝です。あの豊臣秀吉の息子です…えっ、何か色々おかしいんじゃないかって?秀吉の息子なんだから秀頼だろうって?そもそも秀勝は朝鮮で死んだんじゃなかったのかって?大体、お前の言葉遣いからおかしくないかって?
はいはい、分かってます分かってます。そんなに一気に言われても困るんでとりあえず一個ずつ説明させてください。
まず、秀勝になった俺は現代から転生した人間です。前世じゃ一応大学院なんて所に通う、由緒など欠片も存在しないサラリーマンの息子でした。向こうでの最期についてはあまり詳しく覚えていないのですが、夏休みに川に泳ぎに行って溺れた…ような気がします。きっとそのまま死んだのでしょう。そして、目が覚めて『生きてた~』とか思っていたら周りの人達から『石松丸様!』『石松丸様がお目を覚まされました!』などと言われて気付けば子供になっていたのです。
そうです。俺は秀勝は秀勝でも朝鮮で死んだ甥でもなければ養子として入った信長の息子でもなく、秀吉の最初の実子である石松丸秀勝に転生していたのです…とは言った所で、石松丸っていうのが秀吉の息子だと思い出すまでに時間がかかりましたけどね。だって皆様考えてみてください、この石松丸さんってあまりドラマや小説じゃ出て来ないじゃないですか。俺も秀吉の何かのドラマで悲しんでいる秀吉の所に信長がやって来て『死んだ子の代わりに於次丸をやる』とか言っていた場面位でしか記憶にありませんでしたし。
それはともかく、どうやらこの石松丸さんも川で溺れていたらしいので、その際に俺の魂みたいな物が乗り移った…ような気がします。というわけで俺はあの秀吉の息子になったわけですが…俺が目を覚ましたと報せを受けてやってきた秀吉さんの顔に僅かに困惑の色があったのを俺は見逃せませんでした。おそらくですが、秀吉さんは子供が死んだら信長さんから養子を貰おうと考えていたのではいないかと…最近の研究じゃ於次丸さんを養子に貰ったのは信長さんに羽柴の家を潰させない為に秀吉さんから申し入れたという説もありましたし。でも、さすがに実の子がいるのに養子ってわけにも…信長さんもさすがにそこまで強引な真似はしないでしょうし。それ故の秀吉さんの困惑なのでしょう。ふむ…これは困った話です。おそらくこの困惑をそのままにしておくのは良くないような気がします。であるならば…。
~数日後~
「父上、少々よろしいでしょうか?」
「如何した、石松丸?もう起き上がっても大丈夫なのか?」
自室にいた秀吉さんの所に俺が訪ねていくと、秀吉さんはそう言って笑顔で迎えてくれる。後継の問題はどうあれ、俺自身が嫌われているわけじゃなさそうなのは良かったが…さて、俺の提案を聞いたらどう思うやら。
「はい、父上に一つお願い…というか提案?したい事が」
「ほう、提案か。なかなか難しい言葉を知っておるな。何じゃい、改まって?」
「はい、私の事なのですが…死んだ事にして欲しいのです」
とりあえず今日の所はここまで。何故死んだ事にしようとしたのかは次話にて。秀頼云々の部分についてはまたその内に。