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『すずめの戸締まり』を観て(ネタバレ含む)

作者: 黄坂美々

 映画『すずめの戸締まり』を兄と一緒に見たのだが、結論から言うと二人とも不発…。見たあと感想を言い合った。


 兄は「メッセージが何も伝わってこなかった。これを作って何が言いたかったのだろう? 巨大ミミズ出てきて倒して終わり。何の新しさもなかった。実際にあった地震を扱うなら原発や人災についても触れるべきなんじゃないかな。12年経っても復興できていないのは地震だけが原因じゃない。原発がなければもっと早く復興してた。だからこそどうしたら被害を最小限にできるかという今後の参考になるようなシーンがあればよかったのにと思う。あれじゃ閉じ師がいないと止められず、一般人には何もできないということになってしまう。せっかく見たのに何も身につかず、ただ流れていってしまう映画でしかなく、地震をネタに消費した映画って感じ。あと、いまだに『彼氏いる?』と聞くのはよくない、せめて『恋人いる?』だよ」と言っていた。


 私は兄の意見を聞いて、見てるところの違いに驚いた。そして、たしかにそうだなと思った。この映画で何を伝えたいと思うかと聞かれたら、私は答えられない。それに新しい驚きや感動はなかったし、今後の人生の参考にしようと思えるシーンやセリフはなかったなと思った。兄の視点はやっぱりさすがだなって思った。見る前から兄はとくに興味なさそうだったのに、大事なところをちゃんと見ていた。兄とは似たような感性を持っているが、私の気づかなかったところや理解できなかったところを見ていたり理解しているので、感想を言い合うと新たな発見ができて面白い。


 私が気になったのはストーリーだ。まず、要石(かなめいし)だったダイジンをすずめが抜き、ダイジンがソウタに呪いをかけて椅子にする。椅子にされたソウタは逃げたダイジンを追いかける。途中、ソウタがダイジンを捕まえ「俺を元に戻し、要石に戻れ」と言うが、ダイジンは「ムリ。まだ気づかないの?」と言う。そしてしばらくしてソウタは自分が要石なんだと気づき、死にたくないと思いながらも要石になる。そこで私は要石とは人柱的な存在で、人類は誰かの犠牲のもとで生きてるんだという切ない物語かと思った。するとラストでダイジンがソウタを要石から人の姿に戻す。そしてダイジンが要石になる。そこで私は混乱した。え? 戻れるん? ムリって言うてたやん。じゃあ、逃げ回るあのくだりは何やったん? 何で逃げたん? 何で呪ったん? あと途中で環さんに何かとり憑いたんも何? 芹澤も「2万貸してる」と言ってついてきて実は嘘ってどういうこと? 心配してるって言うの恥ずかしいんかなんか知らんけど、ラストまでそれが嘘かもわからんし嘘やとしてもどうでもいい嘘つくの何なん? とどんどん混乱が膨らんで気づいたらエンドロール。なんじゃこりゃ。

 そしてよく考えたらソウタの仕事ってなんで秘密なん? ミミズが見える人と見えへん人がおるのは何で? 地震とかみんなの命にかかわることなんだから、みんなも知るべきじゃない? もっと知らせてたくさんの人の手を借りればいいのにと思った。


 兄と感想を言い合ったあと、他の人の感想や考察なども読んでみた。そしたら私の疑問に対する答えのようなものを見つけることができた。しかし、それもまたその人の解釈だったり、監督の言葉で語られていたとしても映画内で描かれていなかったので、映画内でわかるようになっていたらよかったのになと思った。そして私にはこの監督の作品は合わないと思った。

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