得体の知れない力
「あのさ……マリア」
俺は目の前にいるマリア越しの大型モニターに映し出されたアーサー王国、第二の都市アルテミスシティの晴れ渡った空を見ながら言った
「何よ、遠い目をしちゃって、お腹痛いの?トイレなら居住スペースにしかないわよ」
「違うよ、逆だよ逆、お腹が空いたんだよ、この辺りに食料調達出来る所ないの?」
「なんだ、そうなの、それなら最近出来たコンビニのササーヤンマートが進行方向5km地点にあるわよ」
「えっ、ササーヤンマート? まさか大賢者ササーヤンの店じゃないよな」
「ちょっと待って、調べてみる……ああ、ここのオーナーはたしかに大賢者ササーヤンってなってるわ」
「ササーヤン、いつの間に……よし、そこへ行ってくれ、マリア!」
「は? ルキ、言葉使いに気をつけてよね、行ってくださいでしょ」
「なんでだよ、おれは艦長だぞ」
「私はルキを艦長とは認めてないわ
だって艦長は……」
「艦長は何だよ」
「いえ、なんでもないわ、分かったわ
ササーヤンマートに向かうわよ」
「ああ……」
程なくして前方の大型モニターに草原の中にあるササーヤンマートが映し出された
「あれがササーヤンマートか、3階建てじゃん、しかも屋上には派手な看板……
ん?店の前をムッキムキのカンガルーが走り回ってる……」
その時である
ガクンと船体が揺れ俺は転びそうになった
「マリア、どうした?」
「わ、分からない……何か得体の知れない力でこの船が引っ張られてるの! ちょっと待って……どうやら近くのビーチの方から引っ張られてるわ……このままだと危険だわ、力に逆らわずにビーチの方に向きを変えましょう」
ココアサンドラ号の向きをビーチの方に向けると、引っ張られる力と相まってものすごいスピードになり、すぐにココアサンドラ号はビーチに着き無事に緊急着陸した
するとすぐにマリアが言った
「あっ、船を取り囲んでいた力がなくなったわ、今のうちに逃げるわよ」
「ちょっと待って!!!!!!」
俺は叫びながら前方の大型モニターに映し出された一人の女性に目が釘付けになっていた……




