表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/188

最新式小型空浮艦ココアサンドラ号戻る……そして彼女……月の女神アルテミスと別れる

次の日の朝、村人達が見守る中、俺達は再び4頭立て高級大型馬車に乗り込み、ぶどう村を出発した


ついに天使ヒナスタシアは俺達の前には現れなかった


「ところで昨日の夜のことなんだけど……」


ソラファが俺に話しかけてきた


「何だよ藪から棒に……」


俺は冷静を装いながら内心ヒヤヒヤしていた……


「あのね……」


ソラファがそう言いかけた時である


「ヒヒーン!!!!」


突然ガタンと馬車が大きく揺れたかと思うと馬のいななく声が聞こえ馬車は止まった


「どうしたの?」


ソラファは御者台に通じる窓を開け御者に聞いた


「それがソラファ様、突然あれが道に現れまして……」


ソラファは急いで馬車から降りた


俺達も続いて馬車から降りた


「あっ!!!!!!」


俺達は呆気に取られた


なんと馬車の前には最新式小型空浮艦ココアサンドラ号が鎮座していたのである


俺達がココアサンドラ号に駆け寄ると空から一枚の紙がヒラヒラと舞い落ちてきた


俺はその紙を掴み取ると何やら文字が書いてある


俺はその文字を読んでみた


【親愛なるレディのお二人とケダモノの皆さん、ごきげんよう


お借りした物はお返しします


正義なる者より】


「誰がケダモノだよ!」


俺は空に向かってツッコんだ





そのルキ達がいる空の雲の上…


大天使ミカエルと大天使軍アークエンジェルス西方面小隊長の天使ヒナスタシアが話し込んでいた……



「ヒナスタシアお手柄です、よくルキ達がぶどう村に居ることを突き止めてくれました……我らの神に感謝しなくては……」


「あっ、遊んでいる時に偶然(小声)……いえ、ミカエル様、私やってやりました! ですが本当にあの小型空浮艦をやつらに返しても良かったのですか? かなり高性能ですよ……やつらの武器になるのでは?」


「良いのです、ヒナスタシア……あんな物があろうが無かろうが我がアークエンジェルスの敵ではありません……まあ、ただでは返しませんよ……しっかりとあの小型空浮艦にはGPS内蔵超小型偵察ドローンを放っておきました……これであなたがた天使が、尾行や監視をしなくても、ルキ達の行動は手に取るように分かるというわけです……」



一方俺達もまた、ココアサンドラ号の前て話し込んでいた……俺はみんなに言った


「入口にココアサンドラ号のカギはついてるし、今からココアサンドラ号を運転してココアサンドラの所に知らせに行ってくるよ……アルテミスも来るだろ?」


「もちろん行くわ!」


「じゃあワテも」


アルテミスとヒヨコの獣人が言うのを聞いてソラファが言った


「じゃあ、ここでお別れね……」


俺達はソラファと悪魔犬グラシャラボラスとここで別れることにした


俺とアルテミスはソラファにお礼を言いヒヨコの獣人を連れココアサンドラ号に乗り込んだ


俺はサイドブレーキを外しギアをニュートラルに入れ浮上ボタンを押した


すると最新式小型空浮艦ココアサンドラ号はゆっくりと浮かんだ


艦内モニターには手を目一杯に振るソラファと吠えまくっている悪魔犬グラシャラボラスが映し出された


俺は名残惜しい気持ちを抑えギアをドライブに入れアクセルを踏み込んだ


俺達の乗った小型空浮艦ココアサンドラ号は大空に向かい真っ直ぐ飛び立ったのだった……


しばらくするとアルテミスが話しかけてきた


「ルキ、オリンポス山に行く前にアルテミス宮殿によってくれる? 長い間、帰ってなくて心配だから……」


「ああ、分かった……俺もその方が都合がいい……」


「どういうこと?」


「別に……」


俺はハンドルを左に切った




俺がアルテミス宮殿の裏庭にココアサンドラ号を下ろすと月の女神アルテミスは走って宮殿の中へ入っていった……かと思うと、またすぐに戻ってきた


「ルキ、ごめんなさい、私、一緒に行けない……今執事のカール君と話したら、今日明日中にも南の大陸のコーチス王国のコーチス王がアーサー王国に来るらしくて……私に謁見したいんだって……ごめんなさい、準備しなくちゃ……」


「分かった……どのみち最初からオリンポス山に行く気はなかったんだ……どこかでアルテミスを降ろそうと思ってたし……」


「えっ、どういうこと?」


「実は昨日アルテミスとキスをした時に俺は思い出したんだよ……」


「何を?」


「俺が本当はアルテミスと付き合ってなくて、アルテミスが俺の彼女じゃないってことをだよ」


「そ、そんな……何で突然そんなこと言うの? みんなには隠してるけど私はルキの彼女でしょ?」


「いや、違う!!!! アルテミス……自分の胸に手をあててよく考えるんだ……じゃあここでお別れだ……さようなら……」


「いやよ!!!! 絶対に別れない……私と別れて誰かと付き合うつもりでしょ! そうだ、セリーナだわ! いえモモーナかしら!!!!」


「アルテミス……俺の魔力を封印したのはアルテミスなんだろ?」


「な、な、なにを言ってるの、ルキ……私がルキと出会った時は、すでに魔力も魔界の記憶もなかったわよ……」


「いいんだ……アルテミス……魔力も魔界の記憶もまだ戻らないけど……アルテミスと出会った時の記憶は昨日のキスで戻ったんだよ……でも気が変わったら必ず俺の魔力と魔界の記憶を返してくれよ」


「そう……バレちゃったんだ……じゃあ仕方ないわね……でもルキ、魔力と魔界の記憶は絶対返さないわよ! 私はね……あなたと……結婚するの……」


「じゃあな、アルテミス、さよなら」


「なんか分からへんけど、ワテもここで降りますわ」


「分かった…ヒヨコマン……ヒヨコマンもさよなら……さあ、アルテミス、ヒヨコマンを連れて降りるんだ!」


「ルキ……今は引き下がるけど、あなたは私のものだから……覚えといて……」


「ああ、覚えとく……」






アルテミスはヒヨコマンを伴ってココアサンドラ号から降りた……






俺はココアサンドラ号を発進させた……








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ