クイーン・エウリュディケ・ハウス
王都は素晴らしい街並みだった……
それはもう、壮観で美しく、街の色合いもさることながら、たくさんの木々の緑とも相まって、鮮やかな絵画のごとく見事な調和を保っており、まさに王都にふさわしい場所だった……
何より前方の丘の上に建つアーサー城が巨大な芸術品のように見えて美しかった
「いろいろみてまわりたいけど、とりあえず行きましょう」
ソラファがそう言うと、アイスの魔女セリーナは、ペガサス2頭立ての空飛ぶ魔法の馬車の御者台にいるアイスの魔女セリーナの使い魔キツネのコンちゃんに、ソラファに教えてもらった通りの道を行くように指示した
コンちゃんはセリーナに返事をしてから2頭のペガサスに歩くように手綱で促すと魔法の馬車はゆっくりと動き出した
エルフの国の女王ソラファのママ【エウリュディケ】の別荘と言うのは、王都の南エリアの西側にあるらしかった……しかも王都の有名な避暑地らしい
俺たちは城壁に沿った若干細い道を、その【クイーン・エウリュディケ・ハウス】と呼ばれる別荘に向かうため西に進んだ……
しばらくすると、ソラファが言った
「着いたわよ」
俺たちが馬車の外を見ると、たしかに立派な門が見えた
馬車が門の前で止まると、ソラファは馬車から降りて門番と話した後、馬車は門の中に入った……
それからどれくらいの時間が経っただろう……
延々と美しい森の中を進んでいる……
俺は言った……
「どんだけ、広いんだよ……ったく……まだ着かないぞ!」
ソラファは俺を見ると、その美しい瞳で俺を制するように冷ややかに言った
「もうすぐよ……」
その言葉通り、すぐに木々の間の道を抜け、開けた場所に出た
それはそれは美しい大庭園だった
綺麗に刈り込まれた草木、咲き乱れた花……噴水から美しい弧を描く水……
さらに奥に進むと、だんだん貴族風の大邸宅が見えてきた
そしてついに俺たちは大邸宅【クイーン・エウリュディケ・ハウス】に着いたのだった
大邸宅の前には、大理石で出来た巨大なエルフの女王の像があった
その横のフラッグポールには、エルフの国のシンボルフラッグが、はためいていた
そして大邸宅の左側を見ると芝生の中に大きなプールがあり、水が煌めいていた
俺たちは馬車を降りて正面入り口に向かって歩いた
正面入り口には、執事、料理長、侍女、メイドたちが並んでいた
俺たちは使用人たちと交互に挨拶した後、大邸宅の中に入ったのであった……




