女神ヘラ魅惑する
とっぷりと日が暮れた頃、アルテミスの滝に、月の光を受けて浮かび上がる虹……ムーンボウがその姿を現していた……
俺たち……つまり俺と、オリンポス最高神ヘラ様と、アイスの魔女セリーナと、聖女モモーナと、エルフの国の王女ソラファと、宮廷魔術師リコッチーと……そして悪魔犬グラシャラボラスの、6名と1匹は、ホテルのレストランで晩ご飯を食べていた
晩ご飯を食べながら当然ムーンボウの話題になり、晩ご飯が終わったらみんなで見に行こうということになった
晩ご飯が終わり、じゃあ後でホテルのエントランスに集合ということになり、ヘラ様が俺の肩に座っている人形の中に入り、俺はヘラ様のスイートルームに向かった
ヘラ様のスイートルームに入ると壁一面ガラス張りで、窓のそばにはビューバスも付いており、今この瞬間、外は真っ暗だが、月明かりに照らされたアルテミスの滝にかかるムーンボウが幻想的に見えて、かなりロマンチックな空間だった
俺は思わず叫んだ
「えっ! すごい! めっちゃ景色いいじゃないッスか!!!! しかも、ビューバス、豪華~! お湯につかりながら、この景色は最高ッスね!!!!」
すると突然、俺の肩に座っている人形が光ったかと思うと人形からヘラ様が飛び出してきて言った
「なんじゃ、ルキ、わらわと一緒に風呂に入りたいというアピールなのかの? よいぞ……一緒に風呂に入ってやっても……」
そう俺にイタズラっぽく言いながら窓際まで歩いていき、振り返ったヘラ様は、それはもう美しく俺は息を飲んだ……
(美の女神アフロディーテ様、戦いの女神アテナ様と共にオリンポス三美神と呼ばれているヘラ様……なんてお美しい、そして可愛すぎる……たまらなくタイプだ……そ、そのヘラ様と一緒に風呂?)
「い、いや、いやいやいやいや」
「ルキ、わらわと一緒に風呂に入るのが嫌なのかの?」
「い、いや、いやいやいやいや」
「一体、どっちなのじゃ!!!!」
「そ、それはですね……あっ! ヘラ様、そこにリンゴがありますね……ササッと剥いちゃいますね……はいっ、どうぞ……うさぎちゃんにしときましたから」
「うっ、誤魔化しおったな……まあよい、ルキ、それを食べさせてたもれ」
「えっ……は、はい、じゃあ、あーんしてください」
「あーん」
パクッ
「美味しいのじゃ」
「良かった……あっ、それはそうとヘラ様、早くエントランスに行かないと、みんな待ってますよ」
「分かっておる……」
俺とヘラ様がホテルのエントランスに行くと、もうみんな揃っていた
「お待たせ……」
俺がみんなに言うと、俺の肩に座っている人形には入らず、俺と一緒に歩いてきたヘラ様が言った
「みんな手を出すのじゃ」
みんなが手を出すと、その瞬間みんなの手にリンゴが乗っていた
悪魔犬グラシャラボラスだけは頭の上に乗っていた……
「食べるが良いぞ」
その時アイスの魔女セリーナが言った
「あっ、ヘラ様、このリンゴにちょっと魔法をかけてもいいですか?」
「よいぞよ」
それを聞いたアイスの魔女セリーナは、魔法の杖を取り出し、みんなのリンゴに向かって魔法を放った
すると、みんなの手にあったリンゴがふわふわと浮き出したかと思うと次の瞬間には、美味しそうな、りんご飴とりんごアイスに変わりぷかぷかと浮いていた
「わぁ~、すご~い!!!!」
こうして俺たちは、りんご飴とりんごアイスを食べながらアルテミスの滝に向かったのであった……




