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魔法王国国立魔法学院魔法学科1年魔女見習いアーヤ

魔法王国がどこにあるかは知られていない……


開店前のカフェ・ド・セリーナ……


店長の巨大な白熊の獣人カゴシャンは、最近、近くの草原に新しく出来たコンビニエンスストア【ササーヤンマート】に買い出しに行き、開店準備のため急いで帰ってくると、クンクンと店の扉のニオイを嗅いでいる1匹の犬がいるのを見つけた


カゴシャンはその犬に背後から近づくと優しい声で冗談まじりに話しかけた


「ねぇ、わんちゃん、まだ店は開店前だよ、エサが欲しいのかい?」


「違うわよ!!!!」


「わっ、犬がしゃべったぞ!」


カゴシャンが驚いているとその犬は振り返った


「ぎゃー!!!!!!!!」


カゴシャンは後ずさりしながら叫んだ


なんと、その振り返った犬の顔は少女の顔だったのだ


「た、たすけて……」


するとその犬……いや、少女は言った


「ちょっと失礼ね、あなただって白熊じゃないの! 待ってて、今、元に戻るから」


そう言うと犬の体が光り、そこに1人の少女が現れたのだった


「えっ、えー! びっくりした! 一体どういうことなの?」


「うん……ちょっと犬に変身したんだけどね……それが……うまく変身出来なくて……ていうか白熊さんは、ここの店員さんなの?」


「ああ、この店の店長だよ」


「えっ、そうなの? 良かった! ねぇ、セリーナお姉ちゃんいる?」


「セリーナお姉ちゃん? セリーナ様のことかな……今は外出されてて当分は戻らないと思うよ」


「えーーーー!!!!!!!!」


カゴシャンは今にも泣き出しそうな少女に聞いた


「君はだあれ? セリーナ様に何のごよう?」


「あー、白熊さん、私のこと子供扱いしてるでしょ! もう、これだから大人って……いいわ、教えてあげる……私の名前はサーヤ、魔法王国国立魔法学院魔法学科1年の魔女見習いよ! セリーナお姉ちゃんとはね……ちょっとこれ見て!」


魔女見習いアーヤは、そう言うとカゴシャンに小さな紙を差し出した


「ん? これは手紙かな? 読んでいいの?」


アーヤがうなずいたので、カゴシャンはアーヤから小さな紙を受け取り、そこに書かれている文章を読んだ


セリーナへ


あなた、最近何かしなかった?

先日、魔法王国公安広域捜査局の連中が家にやって来て、あなたのことを、あれやこれやと聞かれたわよ

まあ、適当に誤魔化しといたけどね

あっ、そうそう、私たち夫婦はこれから旅に出るから、しばらくこの子の面倒を見ててちょうだい、お願いね。


叔母より


「えっ、君はセリーナ様の従姉妹なの?」


「うん……」


カゴシャンは、しばらく考え込んでいたが急にひらめいたのかアーヤを連れて店の中に入ると2階へ上がっていった


そしてルキの部屋をノックすると、中から返事が聞こえたので、カゴシャンはアーヤを連れ部屋に入った


するとそこには、ルキのベッドの上に座っているアイコディーナ王女がいた


アイコディーナ王女はカゴシャンを見ると言った


「何? 朝ごはん?」


「いえ、王女様、それがちょっと困ってまして……」


「ああ、私の朝ごはんのデザートのことね……今日はプリンの気分だわ」


「い、いえ、そうではなくてですね……」


するとカゴシャンの後ろに隠れていた魔女見習いアーヤが急にズカズカとアイコディーナ王女の前まで歩いていくと言った


「お姉ちゃんは、セリーナお姉ちゃんの家来なの?」


「はあ? 何この子? 私はね! この国の……うーん、リコッチー、すぐにこの子を私から遠ざけなさい!!!!」


アイコディーナ王女がそう叫ぶとカゴシャンが言った


「あっ、王女様、リコッチー様は、今いませんが……」


「あっ、そうだったわ……だったら、あなたがこの子を追い出してちょうだい!」


「えっ、それはちょっと……あっ、王女様! 私は、これから開店準備がございますので、あとはよろしくお願いいたします」


カゴシャンはそう言うと、そそくさと部屋を出て部屋のドアを閉めた後、逃げるようにして階段を駆け下りていったのだった


部屋に残されたアイコディーナ王女と魔女見習いアーヤとのにらみ合いは、この後も、しばらく続くのであった……





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