エルフの国のソラファ王女と宮廷魔術師リコッチーに届いた招待状
エルフの森……
その森の奥の1本道を、1人の美しい気品溢れる女性が考えごとをしながら歩いていた……
その女性とはエルフの国のソラファ王女である
どうやら犬の散歩らしいソラファの手には、アーサー王からのガーデンパーティーの招待状が見える
招待状を持つソラファの白く美しい右手の薬指には黄金のソロモンの指輪が光り輝いていた
やがてソラファは、決心したのか、その場に立ち止まり犬の前にしゃがんだ
「グラちゃん、私やっぱりアーサー城に行くことにする……」
するとそのかわいい小型犬は答えた
「分かった……連れて行ってやるよ」
「ありがとう!」
「ワンワン……」
かわいい小型犬のグラちゃんは、急に吠えた後、唸り始め、震え出した
するとグラちゃんはどんどん巨大な犬になっていく
背中にはグリフォンのごとき翼が生えていく……
そしてとうとうグラちゃんは本来の姿になったのだ
何を隠そう、グラちゃんは、ソラファが黄金のソロモンの指輪で呼び出した悪魔の空飛ぶ犬グラシャラボラスだったのだ
かわいい……いや、本来の姿は、けっこう恐ろしい姿の、この悪魔は魔界の36軍団を指揮する魔界の伯爵である
このワンコ……いや、悪魔の犬は殺戮の犬とも呼ばれ恐れられていた
ソラファはグラちゃんの背中によじ登ってしがみついた
「さあ、グラちゃん、行くわよ!!!!」
ソラファがそう叫ぶとグラちゃんとソラファは、あっという間に空高く飛んでいったのであった……
一方、ここにもう1人アーサー王から招待状をもらった人物がいる
宮廷魔術師リコッチーである
「うーん、どうするかな……」
カフェ・ド・セリーナの2階のルキの部屋のベッドで寝ていたリコッチーは招待状を掲ながら迷っていたが、急に起き上がるとカフェ・ド・セリーナの外に出て近くの公園に向かった
そして公園に着くと、おもむろにドラゴンの杖を取り出した
アーサー王家に代々伝わる宝、ドラゴンの杖……
それはアーサー王国の守り神である2匹のドラゴンを呼び出し従えることが出来る杖だった
アーサー王からアイコディーナ王女を守るために賜ったものだ
宮廷魔術師リコッチーは、辺りに誰もいないことを確かめるとドラゴンの杖に刻まれた魔法陣を杖で空中に描きながら杖に刻まれている文字を詠唱した
すると光と共にエルフのように耳の尖ったイケメンの竜人2人が召喚され現れたのだった
「お呼びですか? リコッチー様」
2人のイケメン竜人が片膝をつきリコッチーに、かしずいた
「レッドドラゴンの、レッド君とホワイトドラゴンのホワイト君、私を乗せてすぐにアーサー城へ向かってちょうだい!」
「かしこまりました」
こうして宮廷魔術師リコッチーもあっという間に空高く飛んでいったのであった……




