大天使ミカエル命令する
俺は、カフェ・ド・セリーナの裏手にアイスの魔女セリーナを連れていき、壁ドンしながら言った
「どういうことだよ……アイスの国って何? なんでゲートを閉じちゃうんだよ!」
「今度話すわよ……」
セリーナはそう言って俺の腕をかいくぐり店内に入っていった
仕方なく俺も店内に入ろうとした時、後ろから声がした
「ルキ、ふられたの?」
俺が振り向くと、そこにはオリンポス最高神、女神ヘラ様の側近、虹の女神イーリスが、背中の翼をパタパタさせながら立っていた
「ふられてねーよ! 久しぶりだな、イーリス」
「久しぶりねルキ、あいかわらず、あれね……」
「あれって何だよ」
「あれは、あれよ」
「はっ? ところで何しに来たんだよ」
「ああ……ヘラ様からことづてよ、軍神アレス様の店がオープンしたんですって」
「えっ、いくらなんでも早すぎるだろ」
「そこは、あれよ……ヘラ様のお力で、ちょちょいのちょいよ」
「そ、そうなんだ……すごすぎるな……」
虹の女神イーリスと別れた俺は店内に入るとセリーナに言った
「これから軍神アレス様の店に行ってみない?」
「えっ、何のこと?」
俺はセリーナに、これまでの事情を話すとセリーナは言った
「へー、おもしろそうな店ね、行ってみましょう……あっ、モモーナも行く? 何か欲しいものがあるかもしれないわよ」
セリーナは紅茶を飲んでいた聖女モモーナに声をかけるとモモーナは言った
「うん、私も行く」
俺とモモーナはセリーナに連れられ、店の近くの公園に歩いていった
そしてセリーナが魔法の杖を取り出し振ると、ペガサス2頭立ての空飛ぶ4輪馬車、通称魔法の馬車が一瞬でその場に現れたのだった
魔法の馬車は空を飛ばず森の中を走っていた……
「セリーナ、俺たちの魔法の馬車を、さっきから尾行しているやつがいるんだけど気づいてる?」
「もちろん気づいてるわよ、だって丸見えだもの……あの後ろから着いてくるプテラノドンに乗った少女……」
「やっぱりこの魔法の馬車を尾行してるよな……しかもあの少女……白い翼が生えてるし間違いなく天使だよな……」
その1日前……
天使見習いのミユナシアはエンジェル・スクールの卒業試験のため、他のみんなと同様、校長との面接を待っていたが突然担任から理事長室へ行くように言われた
ミユナシアが理事長室へ入ると、そこにはエンジェル・スクール特別理事の大天使ミカエルがいた
大天使ミカエルは、天使見習いのミユナシアを見ると言った
「あっ、あなたが、カマエル様のお嬢様のミユナシアさんですか?」
「はい……」
「合格です」
「えっ、何がですか?」
「天使への昇格試験がです」
「まだ、筆記試験も面接の結果も出ていませんが……」
「良いのです、私の上司であるカマエル様が私に是非にと頼まれましてね」
「はあ……」
「但し条件があります……天界軍の最前線、大天使軍【アークエンジェルス】に入隊してもらい、私の元で修行していただきます……というか、もう配属先も決まっていて断れないんですけどね……」
そしてここに、天使ミユナシアが誕生したのであった……コネだが……
ちなみにミユナシアのパパである能天使カマエルとは、天界軍の中で悪魔と戦う実行部隊、能天使軍【パワーズ】の指揮官である
さらに大天使軍【アークエンジェルス】は能天使軍の配下にあるので、能天使カマエルは、大天使軍【アークエンジェルス】の司令官ミカエルの上司であった
大天使ミカエルが部屋の外に向かって言った
「入ってくれたまえ」
すると、1人の可愛い天使が入ってきた
「彼女は大天使軍【アークエンジェルス】、西方面、小隊長のヒナスタシアだ」
「よろしくね、ミユナシア」
「ヒナスタシアさん、よろしくお願いします」
「さっそくだが、これからすぐに、彼女の隊に入隊してもらい、ある任務を遂行してもらう」
「えっ、いきなりですか?」
「まあ、簡単な任務だよ」
「分かりました」
「その任務とは、ある男の行動を逐一私に報告して欲しいのだ……詳しい内容はヒナスタシアに聞いてくれ……」
そして、今日である……
天使ミユナシアが、大天使ミカエルに行動を監視するように言われたのは……俺……そう、ルキだったのである……
俺とセリーナは、俺たちの魔法の馬車を尾行しているらしいその天使を放っておくことにした……
「そろそろお昼ね……ねぇ、ルキ、モモーナ、ちょっと遠回りになるけど、軍神アレス様の店に行く前にレストラン【リストランテ・プリンチペッサ・ミホリーナ】に行かない?」
「えっ、行く!」
「私も行きたい!」
俺とモモーナが目を輝かせながら言うとセリーナは言った
「じゃあ、決まりね!」
こうして魔法の馬車に乗った俺たちは一路、レストラン【リストランテ・プリンチペッサ・ミホリーナ】へ向かったのであった……




