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女神ヘラと軍神アレス

俺はアルテミス宮殿の執事の羊カール君に、カフェ・ド・セリーナまで車で送ってもらっていた


だが車がアルテミスシティ郊外の森の中の道に入った途端、急に車が減速し始め止まったのだった


「カール君、どうして急に止まったの?」


俺はカール君に聞いたが、カール君は黙っている


すると突然、俺が乗っている後ろの座席のドアが開き、ベールを被った女性と、屈強なイケメンの男性が乗り込んできた


「ちょっと、誰だよ!!!!」


「わらわじゃ、ルキ!」


女性がベールを自ら取り現れたのは、メイクをした超絶美人でありながら、可愛さもこの上ない、オリンポス最高神、女神ヘラ様だった


ヘラ様は、どんどん俺に近寄ってきた


俺はヘラ様の、そのセクシーな目と可愛い微笑みに思わずドキッとした


「いや、ヘラ様、密着しすぎですよ!」


俺が照れながら言うとヘラ様は言った


「仕方なかろう、この者が大きいからの」


「この者って、そちらのかたは?」


「この者か? この者は軍神アレスじゃ」


「えっ、軍神アレス様と言えば、オリンポス12神の1柱……荒ぶる筋肉神と呼ば……いや、元気いっぱいの神と呼ばれている、あの?」


「そうじゃ、美の女神アフロディーテのダンナじゃ」


「えーー!! じゃあ、ココアサンドラのパパなんですか?」


俺がヘラ様に言うと、その屈強なイケメンでマッチョマン、軍神アレスは言った


「お前は誰だ?」


「俺はルキです」


「おーー!! お前がルキか! ココアサンドラから聞いてるぞ……うちの娘がいつもすまんな……迷惑かけてないか?」


「そんな、迷惑だなんて……素晴らしいお嬢様ですよ」


そう軍神アレスに言いながら俺は心の中で思っていた


(いや、やつは、とんだじゃじゃ馬娘なんだけどね!)


すると俺にピッタリひっついているヘラ様がカール君に言った


「運転手、発進するのじゃ」


「ハイ……」


車が静かに動き出したあと俺はつぶやいた


「カール君、なんか変だな……どうかしたのかな?」


「わらわが、操っておるからの」


俺の呟きを聞いたヘラ様がニヤリとして俺に言った


「あ、操ってるって言葉、怖いんですけど!!!! ヘラ様、くれぐれも俺を操るのはやめてくださいね」


「さて、どうするかの……ルキしだいじゃ」


「いや、真顔で言わないでください! なんか怖いですよ! ていうか、ちょっとヘラ様、色気がすごいんですけど……ピッタリひっついてるし……」


「嫌でおじゃるか?」


「いや、嫌じゃないです、むしろ嬉しいっていうか、今はダメ……じゃなくて……ヘラ様は、可愛いすぎるんですから、そんなに迫ってこないでください……耐えられなくなる……」


「ルキも、かわいいところがあるのじゃの」


「そ、それで、どうしてここに?」


「おー、そうでおじゃった……実はアレスが、わらわに泣きついてきたのじゃ……嫁のアフロディーテとケンカをして思わず家を飛び出してきたものの、それで帰るに帰れなくなって、どうせならもう娘のココアサンドラのそばに住んでしまおうと言うのじゃ……しかもどうせ住むなら、武器と防具と道具を扱う店を出したいらしくての……ルキ、どこか良い場所はないかの?」


「それなら、ココアサンドラがいるアルテミス宮殿から近いアルテミスシティの冒険者ギルドのそばがいいと思います……俺を含め冒険者は、武器、防具、道具が必要ですから」


「アレス、聞いての通りじゃ」


「分かったぞ、ルキ、ではその辺りを探してみることにしよう」


軍神アレスが俺にそう言ったあと、俺はヘラ様に聞いた


「えっ、それを俺に聞くためだけに来たのですか?」


「そうじゃ……というのは嘘じゃ……わらわがルキに会いたかったのでな……アレスをダシに使ったのじゃ」


(なんて可愛いんだ!!!!)


「ヘラ様……」


俺はヘラ様を熱く見つめた……


ヘラ様も俺を熱く見つめていたが、突然視線を外し窓の外に見えるカフェ・ド・セリーナを見ると言った


「ルキ、悪かったの、今度お礼はたっぷりとするからの……では降りるとするかの……カール君とやら、車を止めてたもれ」


「ハイ、ワカリマシタ……」


車が止まると俺はヘラ様に言った


「よく、俺がセリーナの店に来ることが分かりましたね」


「そなたのことは何でもお見通しじゃ」


ヘラ様は笑いながらそう言うと軍神アレスと共に車を降りた


俺もカール君にお礼を言って車を降りたあとヘラ様たちとも別れ、カフェ・ド・セリーナに入ったのであった……

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