月の女神アルテミスとフルコース
俺と聖女モモーナがアルテミス宮殿に入るとすぐに使用人に案内され、ある広間に通された
そこには明らかに不機嫌そうな月の女神アルテミスがいた……
「ちょうど良かったわ……お昼ごはんを一緒に食べましょう」
広間の中は、天井に繊細な装飾を施した美しいシャンデリアがあり壁には肖像画が数枚飾ってあった
アルテミスは俺とモモーナに座るように促した
その長いテーブル……リフェクトリーテーブルの前に歩いていくと、純白のテーブルクロスが敷かれており、テーブルの脚には彫刻が施され、その周りを豪華すぎるイスが、神のごとき鎮座していた
俺が座ろうとすると使用人がイスを引いてくれた
俺とモモーナが座ると同時に、使用人が前菜を運んできた
そして、執事カール君がぶどう酒をグラスに注いでくれた
「それでルキ……いつまでセリーナのところに入り浸っているつもりなの? 早く帰ってきなさい」
きつい口調でアルテミスがそう言ったので、俺は戸惑いながら言った
「えっ、うん……まあ、そのうち帰るよ……」
(ああ……そのことで俺を呼んだのか)
俺はぶどう酒を飲むペースを早めた……
その時、突然モモーナが言った
「私、ルキの部屋でルキと一緒に住もうと思ってるの……」
「はっ? モモーナ、何言ってるの! いいから食事が終わったらコーチス大使館に戻りなさい」
俺は、その緊迫した空気の中、運ばれてきたスープとパンを食べていた……
その後、魚が運ばれてきたが、俺は魚介類が苦手なので、ほとんど食べず、次に運ばれてきたハーブとスパイスの香りがほとばしるハーブチキンソテーに、がっついた
「ルキ! 行儀が悪いわよ!」
アルテミスが俺にそう言うと、さらに場がピリついた
俺が、季節の野菜サラダを、さも肉食動物に狙われている草食動物のように緊張しながら食べていると、使用人がケーキとコーヒーを運んできた
その時ついにモモーナが耐えきれなくなったのか言った
「私はデザートはいいわ……じゃあルキ、先に帰ってるから……」
「ああ……」
聖女モモーナが広間を出ていくと月の女神アルテミスが俺の隣に座った
「ねぇ……モモーナと随分と仲がいいのね……私がルキの彼女だってモモーナにだけは話そうかな……」
「やめとけよ……」
それから俺とアルテミスは広間から人払いをし、2人でぶどう酒を飲みながら会話を楽しんだ
俺は正直楽しかった……いつも2人でこうやって楽しく過ごせるなら、すぐにアルテミス宮殿に戻ってきてもいいなと思った
そんなことを考えながら月の女神アルテミスを見つめていた俺は、ぶどう酒のアルコールより、とてつもなく美しい、ほろ酔い姿のアルテミスに、だんだんと酔っていくのを感じて幸せな気持ちに浸っていたが、実際はぶどう酒の強いアルコールのせいで、俺の酔いは静かに確実にまわっていったのであった……




