南下した先にあったもの
俺は魔界の皇帝ルキフェルだ……自分で言うのもなんだが、かなりイケメンだ……マッチョだし、身だしなみにも気をつけている……ただ雰囲気は激変した……言うなれば爽やかイケメンがセクシーイケメンに変わったような感じだ……
まあチホリリスに言わせれば俺はナルシストらしいのだが……いや、自分がナルシストなのは分かっている
ただ悩みもある……
天界から追放されて1年……もうすっかり魔界の水に慣れたせいか、最近本来の姿に戻った時、白く美しかった俺の翼は荒々しい黒い翼となり、あとから生えてきた黒いツノや黒いシッポも、やたら目立つようになってきた
まあ、でも、魔界も平和になり、俺も悠々自適に暮らせるようになったからこその悩みかもしれないが……
ボーッとしていた俺は、突然元カノ、天使ミラの顔が頭に浮かび、胸が締め付けられた……
「出かけるかな……」
俺はチホリリス王国の王都を魔界帝国の帝都とし、そこに建設したルキフェル宮殿から出ると、人族と亜人中心の世界の、北の大陸の西にある、通称悪魔の穴と魔界のチホリリス王国を繋ぐ場所に行き、悪魔の穴を通って、人族と亜人中心の世界に降り立った……
俺は悪魔本来の姿に戻ると、軽くジャンプした……
上空1万メートルの高さまで来るとこの世界の北から南へ吹くジェット気流に乗った……猛烈な風が吹いている……俺はそのまま南下する事にした……
俺は背泳ぎの形を取り目を閉じた……空と大地を感じる……
俺はさらに大きく背中の翼を広げると、さらにスピードが増した……
そのまま北の大陸から西の大陸に出るとさらに南下して広い海に出た
「あれっ? なんか見覚えがある……」
俺はジェット気流から降りると周辺をキョロキョロ見回し、あるものを見つけると海面まで降りた
近づくに連れだんだん天使ミラとの思い出が脳裏に浮かんできた……
俺は海面を歩くように進んだ……
「たしかこの辺りだと思うんだけど……あった!」
そこにはたしかに天使ミラと訪れた、深海城行きの亀乗り場があったのだった……