炉の女神ヘスティア
俺は1階の店舗に出た……
元大型空浮艦アイコディーナ号の機関長で、今はこの店を手伝っている店長の親戚の山のような熊の獣人プーシャンに挨拶をして店内を見渡した……
1番奥の席にアルテミス神殿の神官ユーカリスが静かに本を読んでいた
「ユーカリスさん、おはよう」
「あっ、ルキさん、おはようございます」
ユーカリスは俺に気づくと、わざわざ立ち上がって挨拶してくれた
「えっ!!!!」
ユーカリスの神官服は軽装になって、おへそと脚が見えていた……
「最近、暑くって……いけませんか?」
「いや、いいと思います……では」
俺は目のやり場に困り、そそくさと、いつもの大きな窓の前のお気に入りの席に座り、大きな窓の外にある森の道越しに見える湖を見たのだった
いつもながら素晴らしい景色だな……
ん? いや、ユーカリスの事じゃないぞ! 外の景色がだ!!!!
俺がそう思い、ゆったりとした気分に浸っていると突然、窓の端から不機嫌な女性の顔がヌーっと出てきた
「えっ、誰?」
その女性は店内をジロジロ覗いている……
「しかし、この女性、めっちゃ綺麗な上に、すごいオーラだな……」
その女性はしばらくすると、店内に入って来てプーシャンに歩み寄ると言った
「女神ヘスティアで予約しているんだけど」
俺はその言葉を聞いた瞬間、ひっくり返りそうになってしまった
(えっ! あれが有名な女神ヘスティア様なんだ……へー、でも何で女神ヘスティアで予約してるんだよ……)
女神ヘスティア……この世界で南の女神と呼ばれるヘスティア……見た目が美しく可愛いだけではなく聡明で勇敢で、まるで強き戦士のようだ
噂によると、女神ヘスティアは南の人族のヘスティア神殿に居たが徐々にその国の政治に関与するようになり、さらには周辺の国々の数人の国王が女神ヘスティアの熱狂的な信者ということもあり、多くの国王たちに押される形で、女神ヘスティアは南の大陸にヘスティア帝国を築き、自らヘスティア皇帝として君臨しているらしい
そしてその女神ヘスティアといえば、最近アリーシャ公国沖に、空母ヘスティア号を停泊させ、アリーシャ城に滞在しているとの噂だ
女神ヘスティアは注文を終え店内を見渡すと、なぜか俺の方に向かって歩いてきて俺の前で止まった
「隣……いいかしら……」
「えっ……い、いいですけど……」
(こんなに席が空いてるのに、なぜ俺の隣……)
それが俺とオリンポス12神の1柱、炉の女神ヘスティアとの初めての会話であった……




