天使アンナ
アイスの魔女セリーナがカフェ・ド・セリーナからペガサス2頭立ての魔法の馬車で飛び立ってすぐ、1人の少女がカフェ・ド・セリーナを訪ねてきた
その少女とはエルフの国のプリンセス・ソラファであった
ソラファは店内に入るとこの店の店長、巨大な白熊の獣人カゴシャンに言った
「あの……セリーナいますか?」
「ああ、セリーナ様なら、先程新しい魔法の馬車で空のドライブをすると言って海の方へ飛んで行かれましたよ」
「えっ、新しい魔法の馬車!! いいなあ!! 私も欲しいなー!!」
その会話をそばで聞き耳を立てていた者がいた……それはミニドラゴンのリュウト君であった……
羊の獣人でアルテミス宮殿の執事のカール君は、妖精の森とお菓子の森とエルフの森の間にあるレストランで女神見習いのココアサンドラと大賢者ササーヤンと待ち合わせをしているレストランに向かっていた
「困ったメェ……迷ったメェ……」
羊の獣人カール君は、焦ったり動揺したりすると、本来の喋り方に戻り語尾にメェがつくのだが、まさに今がそうだった……
すると向こうから上半身が人族で下半身が馬のケンタウロスに乗った1人の少女がやってきてカール君に言った
「どうしたの?」
「はい、この近くのレストラン【リストランテ・プリンチペッサ・ミホリーナ】へ行きたいのですが、道に迷ってしまって……あなたはどちら様ですか?」
「私は、この先の妖精王が治める妖精の国に住んでいるアンナよ」
そうアンナが言った途端、アンナの背後から声がした
「アンナ、どうしたの?」
カール君が驚いていると、アンナは言った
「ああ……この者は私の友達で火の妖精サラマンダー君よ」
カール君はサラマンダー君に挨拶をした
「よろしくお願いします、私はカール君と申します」
「よろしくね、カール君!」
火の妖精サラマンダー君がカール君にそう言うとアンナは言った
「じゃあ、カール君、私が【リストランテ・プリンチペッサ・ミホリーナ】まで案内するから、私に着いてきて」
「えっ、案内して頂けるのですか? ありがとうございますメェ」
カール君が、ホッと胸を撫で下ろし、空を見上げると、そこにはペガサス2頭立ての魔法の馬車が、ものすごいスピードで飛んでいたのであった……
その魔法の馬車の遥か上空の雲の上で大天使ミカエルが地上を見下ろし呟いていた……
「天使アンナ……私の命令で天使という身分を隠し天界のスパイとして、将来妖精王となるであろう妖精の国のプリンス・サラマンダー君に近づき仲良くなりながら監視するという任務ですが……どうやら順調に進んでいるようですね……」




