女神ヘラ怒る
怪物クジラ退治から、アリーシャ城に戻ってきた俺は、そのまますぐに自分の部屋のベッドに寝っ転がり爆睡していた
「ルキーーーー!!!!」
突然、遠くの方から叫び声が聞こえ、俺は目を覚ました
(ん? 上から何かが降ってくるぞ)
ドンッ!!
「グハッ!!!! ゲホッ、ゴホッ」
俺は、その上から落ちてきたものに、強烈なエルボードロップをお見舞され悶た
「ゆるさんぞー!!!!」
俺の腹の上には、烈火のごとく怒ったヘラ様が暴れていた……
「あっ! ああー! 思い出したー! エルフの国にいるヘラ様に会いに行くんだったー!!!!」
俺は、俺の腹の上で悶え(もだえ)暴れるヘラ様を無理やり押さえつけギューッと抱きしめた……するとヘラ様は大人しくなった
目の前で見ると、やはりヘラ様は、とてつもなく可愛い……しかも立ち込める色気、光り輝くオーラ……俺はたまらなくなった……
「いい匂い……」
「離せ、触るな、離れろ……」
俺がそう呟くとヘラ様は慌てて俺を突き放しベッドから降りると、しおらしく言った
「エルフの国に参れと言ったであろう……」
俺はすっかり忘れていたことは内緒にして、ヘラ様と別れてから怪物クジラ退治までの経緯をヘラ様に話した
するとヘラ様は納得してくれたので、俺はヘラ様の前に行き、ヘラ様の手を取り、片膝をつき、敬意と忠誠を示す挨拶をした
そして立ち上がり、ヘラ様にチークキスをしようとしたが慌てていたのかヘラ様の唇に触れそうになってしまった
ヘラ様もそれに気づいたのか微妙な空気が流れた……
「で、では、帰るとするかの……」
「は、はい、お気をつけて……」
俺とヘラ様の、ぎこちない会話の後、ヘラ様はその場からスーッと消えたのであった……




