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女神ヘラとの出会い

「俺は温泉に行きたい!!!!」


それから1週間後、俺は意を決してアルテミスに言った


「どうしたのよ急に……」


俺は酒場で聞いたオリンポス最高神・大女神ヘラ様の噂のことを話した


「本当かしら……もし本当なら、久しぶりにヘラ様にお会いしたいわ」






俺たちはアルテミスの大型馬車でバッカスシティの温泉街に行くことになった


俺と、月の女神アルテミスと、アイスの魔女セリーナと、聖戦士クルセイダー・マフィーナと、黒きゴスロリ美少女バトルアンドロイド・カーリンは、まさに今大型馬車でアルテミス宮殿を出発しようとしていたその時、アリーシャ公国の公爵令嬢アリーシャがエルフの国との合同軍事演習を終え、アルテミス宮殿を訪れたのであった……


「アルテミス様、先日は大変失礼しました……ご挨拶に参りました」


「そのことは、もう、いいのよ、アリーシャ」


「ありがとうございます……ところでどこかへお出かけですか?」


「ええ、こっそりこの者たちと、バッカスシティの温泉街へ行くところよ」


「えっ、バッカスシティ? そこからなら、アリーシャ公国の私の城まで近いですね……アルテミス様、もし、よろしければ是非、私の城にお立ち寄りくださいませんか? みなさんをご招待いたします」


「いいの? そうね……じゃあ伺うことにするわ」


「では、お待ち致しております」






アリーシャと別れアルテミスの大型馬車は静かに動き出した……






アルテミス宮殿からアルテミスシティに少し向かった先の分かれ道を左に行くとアルテミスシティ郊外の美しい森が広がっている


その道を真っ直ぐ進むと左手に大きな湖が見え始め、右手前には草原が広がっていた



そしてその大きな湖の手前には、湖の左側に回り込める道と、湖の右側をそのまま真っ直ぐに行く道の分かれ道があるが、アルテミスの大型馬車はそのまま真っ直ぐ進んだ


すると甘い香りと共にチョコバードの鳴き声が聞こえ、しばらくすると湖のほとりにある小さな公園が見えた……


その公園から道をまたいだ右側には、なぜか木々がなく、かなり広いスペースがあり草むらになっていた


そしてその広いスペースのちょうど真ん中辺りには古代樹と思われる大木が生えていた……





古代樹が見ている湖の眺めは本当に美しく……素晴らしかった……






突然アイスの魔女セリーナが叫んだ


「馬車をとめて!!!!!!」






大型馬車は止まった……






「一体どうしたの? セリーナ」


アルテミスがセリーナに聞くとセリーナは目を輝かせながら言った


「私……ここにカフェを開くわ……」


そう言ったセリーナが急に馬車を降りたので俺たちも続いて馬車を降りた


セリーナは魔法の杖を空中から取り出すと、古代樹の周りの草むら目掛けて魔法の杖を振った


すると古代樹の周りの草むらはなくなり古代樹だけになった


セリーナは古代樹に近づくと古代樹に手をあてて何事か呟いていた


そして一旦、道にいる俺たちの前まで戻ってくると振り返り魔法の杖を振りかざした


セリーナは振りかざした魔法の杖を古代樹目掛けて振った


すると古代樹は、ぐにゃぐにゃと変化し始め、みるみる2階建ての木の家のようになった


俺たちが、ここから見るとその木の家は扉も窓もなかった……


「行ってみましょう」






セリーナの後を俺たちは着いていき、扉のない入り口に来ると、そこには木の看板があり、【カフェ・ド・セリーナ】と書かれてあった


俺たちは中へ入った……






そこは、木のカウンター以外何もなかった


俺たちは木の階段を上がり2階にも行ってみたが、そこにも扉も窓もない木の部屋が3部屋あるだけだった


セリーナは言った


「いい店になりそうだわ……これからいろいろ準備しなくちゃ……」






それから数日後、俺たちは酒の街バッカスシティに着いた……






宿屋の部屋で一休みすると、俺はオリンポス最高神ヘラを探すため、温泉街で聞き込みを始めたが全く手がかりはつかめなかった……


だがその夜のこと……


俺は寝ていると寝苦しくなり目が覚めた……が体が動かない


どうやら金縛りのようだ……


首から上は大丈夫なようなので目を開くと天井に近いところに光を放ちながら女性が浮いていた……


「ギャーっ!」


俺は叫んだ


するとその女性は言った


「シィーッ……騒ぐでない、他の者に気づかれるであろう」


「あなたは誰ですか?」


「わらわか? わらわは女神ヘラじゃ」


そう言って女神ヘラは俺の胸の上に降りてきた


「グフォッ!! へ、ヘラ様、苦しいです」


俺は苦しくてもだえた


「ん? ちょっと何言ってるのか分からぬぞよ」


そう言ってヘラ様は、さらに俺の胸をグリグリつま先で押したかと思うと突然その場で足踏みしだした


「やめんか、コラー!!!!」


俺は叫び、女神ヘラを上に向かって弾き飛ばした


女神ヘラ様は上に弾き飛ばされた後、落ちて来たので俺は思わずギューっと抱きしめ言った


「あなたがあのヘラ様? 34の種族が崇拝する、あの大女神様が、こんなに可愛くて美しいだなんて……」


(まさに、俺のドタイプだ……)


ヘラ様は、何も言わず、微妙な空気の中、沈黙が襲った


ガンッ!


「痛っ!!」


ヘラ様は突然俺にヘッドバットをして、俺から離れると言った


「わらわに、さわるでない……」


「だって、あまりに可愛くて……」


「それでそなたの名前は何というのじゃ?」


「俺の名前はルキです」


「ルキか……イケメンじゃの……そなたはアルテミスの連れでおじゃるのか?」


「はい、そうです」


「そのアルテミスの連れが、どうして、わらわを嗅ぎ回っておるのじゃ?」


「それは……全知全能のヘラ様にお会いして、俺が失った過去の記憶を取り戻して頂きたいからです」


「過去の記憶とな? うーむ……それは今すぐには無理じゃな……もっとそなたを知らねば……」


「そうなんですか……」


「そうじゃ、ルキ……わらわは今、旅の途中なのじゃが、そなたも一緒に来るかの? いずれ記憶を取り戻せるかも知れぬぞよ」


「行きたいのは山々ですが、今すぐには無理です……」


「では、こうするのじゃ、わらわは今からエルフの国へ赴きしばらく滞在するつもりじゃ……そなたもあとで来るがよいぞ」


「えっ! 分かりました……行きます!」


「そうか……では待っておるぞ、ルキ……」


そう言って女神ヘラ様は消えた……


ちょうどその時、窓から朝日が、さしこんで来て1日の始まりを告げる鐘の音がしたのであった……



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