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ギネヴィア・アリーナへ戻った悪魔と女神

俺とヘラは地下にあるコロシアム、ギネヴィア・アリーナに向かうため、地上にある入り口からアーチ型のトンネルへ入った


しばらくトンネルを歩き、前方に人々で賑わうコンコースが見えた時である


俺は突然背筋がゾクゾクする感覚に襲われ立ち止まった……が、次の瞬間、俺の顔の右後ろあたりにヌーっと顔が現れ、その顔が俺の耳元で喋りかけてきたのだ


「見ーつけた……」


「わっ!!!!!!!!」


俺は声を上げ、びっくりして振り返るとそこにはヘラの側近で虹の女神イーリスが怖い顔で腕組みをして立っていた


「ルキ……あんた、覚悟はできてるんでしょうね……」


「イ、イーリス!!!! えっと、その……違うんだよ! 俺はただヘラとデートがしたかっただけで……あの、その……とにかく、ごめん!!!!」


「いえ、ルキ、許さないわよー!!!! なーんてね……ルキ、あんた何か勘違いしてるんじゃない? 逃げなくてもちゃんと言ってくれればデートくらいさせてあげるわよ……私が怒ってるのはそこじゃなくて、私はオリンポスの大女神であられるヘラ様の側近なんだからヘラ様をお守りするのも仕事のひとつなのよ……そのあたりのことを理解してもらわないと……勝手にヘラ様を連れ出すのはやめてもらえるかしら」


「分かった……悪かったよ……じゃあこのレースが終わった後、あらためてヘラとデートしてもいい?」


「ダメよ!!!!!!!!」


「おい! 今言ったこと忘れたのかよ!今たしかに私に言えばデートさせてあげるって言ったよな!」


「わ、分かったわよ……今のは反射よ……だって、まだヘラ様と2人きりでデートするルキを信用できないのよ……とにかくスキンシップだけは禁止よ! それは分かってるわよね! あっ、今私から逃げてる最中もヘラ様とスキンシップしてないでしょうね!」


「し、してねーよ……それはそれは清いもんだよ……」


「フンっ……あやしいものね……ところでルキ、そのヘラ様は今どこにいるのよ……ずっと一緒にいたんでしょ?」


「何言ってんだよ、イーリス……ヘラならさっきから、イーリスの隣にいるだろ」


「どこよ……って、えっ……ま、まさか……へ、へ、へ、へ、ヘラ様ですか?」


「見れば分かるであろう……なんじゃ、イーリス、なぜそんなに驚いておるのじゃ?」


「いえ、その、お召し物でお姿が、あまりにも変わられておりましたので……」


「良いであろう? ルキに買ってもらったのじゃ」


それを聞いたイーリスはものすごい形相で俺を見ると言った


「あんた、一体ヘラ様に何してくれてんのよ!」


「いいだろ! 有名なヘラと街中を歩くには変装が必要だったんだよ!」


「はぁ……もう、いいわ……それでドレスは今どこよ?」


「ああ、ヘラのドレスなら今ココアサンドラ号にあるけど」


「は? じゃあ、着替えられないじゃないの! ヘラ様は仮にもオリンポスの……」


その時ヘラがイーリスが喋るのを遮って言った


「イーリス……もう怒るでない……わらわたちはお忍びで参っておるのじゃからこれでよいのじゃ」


「は、はぁ……まぁ、それはそうですが……」


「では参るぞよ」


そう言うとヘラはコンコースの方へ向かって歩き出した


俺はヘラの手を後ろから握ろうとしたが、そこはイーリスに悟られガッチリガードされてしまったのであった……






俺たちはトンネルを抜けギネヴィア・アリーナのコンコースへ出た


俺がVIPルームがある4階へ向かうためエレベーターがある方へ歩いていこうとするとヘラが言った


「何か買っていくぞよ」


「ああ、それいいね」


俺はヘラにそう答え、俺とヘラとイーリスはコンコースの方へ歩き始めた


コンコースにはいろんな店がありイーリスの監視体制の中にはあったが俺はヘラと楽しむことが出来た






突然前方に見知った顔が目に入った


それは、公爵令嬢アリーシャ、美少女バトルアンドロイドのカーリンと会ったあとコンコースに来ていた等身大の餅人形の大賢者ササーヤンと、等身大の餅人形のアイスの魔女セリーナと、等身大の餅人形のエルフの国の王女ソラファだった


等身大の餅人形のアイスの魔女セリーナの両手にはたくさんのアイスが抱えられていた


俺は3人に近寄ると開口一番セリーナに言った


「あいかわらずだな、セリーナは……またそんなに大量のアイス買って……食べ切れるのかよ」


「はっ? 毎度毎度同じこと言わせないでよ! もちろん食べ切れるわよ!」


「ああ、そうですか!! それよりササーヤン……カーリンには会えたのかよ


「ええ、会えたやん」


「良かったじゃん、それでカーリンには将軍になったこと言ったのかよ」


「もちろん伝えたやん」


「それはもう、飛び上がって喜んだんだろうな」


「別に……さほど喜んでなかったやん」


「えっ……へー、そうなんだ、カーリンって、まだ反抗期なのかな……」


「ルキはもっとカーリンとちゃんと向き合うやん」


「わ、分かってるよ、そんなこと……あっ、それでソラファはアリーシャと会えたのかよ」


「ええ、会えたわ……ご家族が幸せそうで私まで幸せな気分になったわ」


「そう、それは良かった……それで……」


その時突然どこからか大音量のアナウンスが聞こえてきた


「皆様、大変お待たせいたしました……搬入が遅れておりました巨大マンモスは先程、無事にこのギネヴィア・アリーナへと搬入されました……それにより、まもなくレース開始となりますので、お席に着いてもうしばらくお待ちくださいませ」


俺はヘラに耳打ちした


「ヘラ……ヘラがマンモスを大人しくさせたおかげだね」


ヘラも俺に耳打ちした


「うむ、そうじゃな、やっとレース開始じゃな」


それを見ていたイーリスが一度怪訝な顔をした後、言った


「ヘラ様、では行きましょうか……みんなも行きましょう」


「あっ、ちょっと待って、俺カリカリポテトスティック買いたいから」


「おお! わらわもカリカリポテトスティック食べたいぞよ!」


「じゃあ、みんなで買いに行こうか」


俺がそう言ってみんなを先導しようと歩き出したその時、目の前の店からイカの半軟体人が近寄ったきて俺に言った


「焼きイカ、買ってイカなイカ?」


「いや、いいっス、もう買うもの決めてるんで」


俺はそう言うとみんなを引き連れカリカリポテトスティックの店に向かった


あとに残されたイカの半軟体人はボソッと呟いた


「まっ、イーカ……」






その後俺たちはカリカリポテトスティックを買ったあと、隣の店ののぼりに書いてある【恐竜にパンチやキックをされたような衝撃の美味しさ!】という文字を見たササーヤンが、これをみんなで体験するやん! と言うので、ついでにその店の、キンキンヒエヒエダイナソーパンチとキンキンヒエヒエダイナソーキックを人数分買い、俺たちはエレベーターで4階のVIPルームに戻ったのであった……


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