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一計を案じた大魔術師マーリン

まだ、アーサー王国の首相が可愛いうさぎの獣人ミーナだった頃……


ある朝、天使の王とも言われる天界の最高指導者、熾天使してんしセラフィムは、セラフィム大宮殿の玉座ので、天使の玉座に座ってコーヒーを飲みながら天界新聞を読んでいた


「なになに……アーサー王国で、またまた首相ミーナひきいるオリンポス派の与党である獣人党の議案が賛成多数ですんなりと可決された……か……アーサー王国もすっかりオリンポス信仰国になってきたな……」


その時、玉座のに突然入ってきた、神界12使徒の一人、ヨハネが声を荒らげた


「セラフィム、何を悠長ゆうちょうなことを言っておるのだ! 我らの神もおなげきだぞ!」


「これは、ヨハネ様……こんなに朝早く、一体何事ですか?」


「今、セラフィムも言っていたではないか……そのオリンポス信仰国になり下がりそうなアーサー王国のことで、我らの神から、さっそく私に何とかせよとの、ご命令が下されたのだ」


「ご命令とは、どういう……」


「元々、天界信仰国だったアーサー王国をオリンポス信仰国にしてはならぬとの、ご命令だ」


「さようですか……で、私に何をしろと?」


「今、黙示録の七天使はいるか?」


「サルトならいると思いますが」


「ではそのサルトをアーサー王の元につかわせたのちサルピンクスを見せ警告させるのだ……もし、天界を裏切れば、このサルピンクスの合図と共にアーサー王国の民が、どうなるか分からないとな」


「それはおどしなのでは?」


「そう受け取りたいならそう思ってもらってもいい……」


「いえ、分かりました……ではすぐにでもサルトにサルピンクスを持たせアーサー王の元へ向かわせます」


「頼んだぞ……」






その時、長年、魔術省のトップで魔術大臣だった大魔術師マーリンは、弟子の魔術師ヴィヴィアンのあるミスによって魔術大臣を更迭こうてつされ、魔術省も辞めることになったのだが、長年の功績を認められ、アーサー王の側近となっていた……マーリンは、その日の午後アーサー王の部屋に呼ばれアーサー王と話していた……


だがその時突然、天使サルトが現れ、背中に背負ったサルピンクスを手に持ったかと思うと吹く真似をしながらアーサー王に脅しをかけてきたのだ


大魔術師マーリンは思った


(これは大変だ……狂ってる……いや、しかしチャンスだ……)


大魔術師マーリンは、アーサー王に話し終えた天使サルトがサルピンクスを背負って飛び立ち、消える瞬間、魔術でサルピンクスを盗んだのであった






その数分後、大魔術師マーリンは魔術省の自分の部屋にいた


「さて、どこに隠すとするかな……おお、あそこがよい」


大魔術師マーリンは数々の不思議な物が並んでいる自分のコレクション用のショーケースの中に、サルピンクスを、そっと置いたのであった






その後、天界派の勢力が強くなりオリンポス派の首相ミーナが辞任したあと、当時の第1王妃、ケレス第1王妃【実はオリンポスの女神デメテル】の娘であるディーナ王女がスパイ容疑で逮捕された


すぐに大魔術師マーリンはディーナ王女の側近で、娘の宮廷魔術師リコッチーをアーサー王国の最も西の街シコークスシティに城を買ってそこに隠し、みずからはディーナ王女の冤罪えんざいの証拠を集めるためひそかに動いていたのだった






それから、しばらくしてディーナ王女の刑が確定し、ディーナ王女は、迷路の中に監獄があるというクレタ島に移送された


さらにディーナ王女の母親、ケレス第1王妃も表向きには里帰りとなっていたが、事実上、オリンポスへの国外追放となったのであった






そののち、ギネヴィア第2王妃がケレス第1王妃に代わり第1王妃に繰り上がる日、大魔術師マーリンは白馬に乗って弟子の魔術師ヴィヴィアンに会うため魔術省に現れたのだった


大魔術師マーリンはその場にいた者に聞いた


「ヴィヴィアンはいるか?」


「ヴィヴィアン様なら、今しがた、ご自宅へ戻られましたが」


「分かった」


大魔術師マーリンは、弟子の魔術師ヴィヴィアンの自宅に向かった






湖の貴婦人こと魔術師ヴィヴィアンは、のちにアーサー王国騎士団長となる湖の騎士こと、夫ペレアスきょうと共に、王都の北にそびえるサリエル山のふもとの樹海の目の前にある大きな湖、サリエル湖にある人工ビーチ公園のそばにある大邸宅に住んでいた


その大邸宅の前までやってきた大魔術師マーリンは、大邸宅の門から出てきたガラの悪い犬の獣人2体とすれ違ったあと、大邸宅の門の中へ入ると、そこには魔術師ヴィヴィアンが待ち構えていた


「これはこれはマーリン様、どうされたのですか? まあ、とにかくお入りください」






魔術師ヴィヴィアンに大邸宅の一室に通された大魔術師マーリンは開口一番こう言った


「ヴィヴィアンよ、私はディーナ王女様の一件に天界の者とお前が関与しているという証拠を手に入れたのだ……罪を認めて今すぐ自首するのだ……弟子のお前が悪に手を染めたのは師匠である私にも責任がある……さあ、これから私と共に陛下のところへ行こう」


「マーリン様、一体何のことでしょう、私には何のことだか……」


「そうか……分かった……お前には自首して欲しかったが仕方ない……では私はこれから、ある所に隠してある証拠を持って陛下のところへいき全てをお話することにしよう」


「なんですって!!!!」


ヴィヴィアンは突然激高し叫ぶと魔術師の杖を取り出し振り上げた


「やめておけ、お前は私にはかなわない……」


「うぐぅ……あっ! サリエル様! そいつを捕まえてください!!!!」


大魔術師マーリンが驚き振り向くとそこには死の天使と呼ばれる大天使サリエルが立っていた


マーリンは慌てて魔術師の杖を振り上げた……だが遅すぎた


次の瞬間マーリンは、顔以外の全ての部分が石に変わっていたのであった


「残念ね、マーリン、私の勝ちだわ……さあ、その隠してある証拠の場所を言いなさい!!!!」


「私が言うと思うのか!!!!」


「そっかあ、それはそうよね……それじゃあ、言いたくなるまで地下牢にでも入ってなさい!!!!」


その瞬間、魔術師ヴィヴィアンが振り下ろした魔術師の杖によって大魔術師マーリンはその場から消えたのであった……


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