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気づいた天使

ヒナスタシアが、コンコースの店で買った剣闘士串を食べながら歩いていると多くの客が非常階段へ向かっていることに気づいた


ヒナスタシアも客の流れに乗り非常階段へ入って行くと多くの客が非常階段に座り店で買ったものを食べているのを見つけた


「なるほどね……みんな座って食べたいのね……あれっ、この非常階段の横に貼られた案内によると上の階はVIPルームがあるらしいわね……上の階はどうなってるのかしら?」


ヒナスタシアはスパイとして興味が湧いたのか非常階段を上がることにした……






俺たちがいるVIPルームを出た部屋付きのメイドは塩顔イケーメンと味噌顔イケーメンをどこに捨てようか迷ったが、すぐにコンコースに行って捨てるという選択をすると廊下を右へ行き、この階の廊下の突き当たりにあるエレベーターの少し手前にある非常階段から下へ向かうことにした……






非常階段の入り口にやって来たメイドが非常階段へ入ったその時、突然誰かとぶつかりそうになり思わず塩顔イケーメンを落としてしまった


その衝撃で塩顔イケーメンのどんぶりから麺で作られたリアルな塩顔イケ麺が非常階段の方へ転がっていくのが見えた


だがメイドは非常階段の方へ転がっていくリアルな塩顔イケ麺を気にしつつ、ぶつかりそうになった者に対してあやまりながらその顔を見た……


「あっ! ヒナスタシア様!!!!」


「えっ、あなた誰?」


ギャアァァァァーー!!!!!!!!


ヒナスタシアがメイドに答えた瞬間、非常階段の下から客たちのものすごい叫び声が聞こえてきたのであった……





塩顔イケーメンのリアルな塩顔イケ麺が、いなくなったどんぶりを拾いながらメイドは言った


「はい、私は大天使ミカエル様から王都にいる公爵令嬢アリーシャをスパイするように言われ、今はアリーシャが予約したそこのVIPルーム付きのメイドに化けてアリーシャを見張っているんですが、あなたは大天使軍アークエンジェルス、西方面、小隊長のヒナスタシア様ですよね」


「ええ、ヒナスタシアよ……任務、お疲れ様……ただ、私、今は休暇中でこの王都にも仕事で来てるわけではないんだけどね」


「そうでしたか……私は今、新しい情報を得たので、上司に連絡に行こうとしていたところなんです」


「新しい情報って何?」


「はい、それが、公爵令嬢アリーシャが予約した部屋に、なんとあのオリンポスの大女神ヘラが眷属けんぞくと思われる者たちを連れて来ているのです!」


「えっ、あの大女神ヘラがここに? アリーシャと何かあるのかしら……分かったわ、引き続き任務頑張ってね!」


「はい! ありがとうございます! では……」


メイドがそう言って非常階段を降りようとすると、そのメイドの腕を突然ヒナスタシアがつかみ引き戻した


「あの、ヒナスタシア様、まだ何か?」


ヒナスタシアはVIPルームが並ぶ部屋の前の廊下の左側の先にあるエレベーターの方を見ながらメイドに言った


「あ、あれ……あの形……」


メイドがヒナスタシアの言葉を聞き、非常階段の入り口から廊下の左の先にあるエレベーターの前を見ると、そこには厳重に兵士に警護されながら手を繋ぎ歩いている女性と子供がおり……さらにはその2人と共に兵士に守られながら、何か大切な物が乗せられているらしい台車がこちら側にやって来るのが見えた


メイドはヒナスタシアに言った


「ああ、あれは、ギネヴィア第1王妃とその息子のガヘリス王太子ですよ……あと台車に乗せられているのは、この大会の優勝杯ですね」


「あ、あの台車に乗せられているのは優勝杯なの? まるで以前サルト様が無くされたと噂のサルピンクスそのものだわ……」


「えっ、サルピンクスですか? そういえばそう見えなくもないですね」


そうこうするうち台車が非常階段の入り口の前を通過した


「間違いない……サルピンクスの胴に天使文字で刻まれた神の言葉があった……何より神の言葉と一緒に刻まれていた5という数字……きっと第5のラッパを持つサルト様が無くされた5番のサルピンクスだわ」


「本物なんですか?」


「ええ、これは大変だわ、すぐにミカエル様にお知らせしないと……あなた、何か書くもの持ってない?」


「はい、すいません、持ってません」


「あっ、それ、その手に持っているどんぶりの中にこんもりと盛っているのは何?」


「ああ、これは味噌ですが」


「それでいいわ、ちょっとそれを貸してくれる?」


「はい、いいですけど、この味噌を、どうするんですか?」


「この場所に、この味噌で魔法円を書いて大天使ミカエル様を呼び出すのよ」


そう言うとヒナスタシアはその場に座り込み味噌で魔法円を描き始めた


そして、もう少しで魔法円が完成するという時、ヒナスタシアの手に何かが触れた


「あれっ? これ何かしら? えっ……キャーーーー!!!!!!!!」


「ヒナスタシア様、どうされたのですか?」


「顔が……顔が……」


「ああ、それは麺で出来た作り物の顔ですよ」


「早く言ってよ! びっくりしたじゃない、もう!」


ヒナスタシアは味噌まみれの味噌顔イケ麺を取り出すと魔法円の外に放り投げた


そしてその後すぐに魔法円を完成させたのであった


続けてヒナスタシアは天使語で呪文を唱え始めた


すると、みるみる魔法円が光だし熱を持ったのか味噌の良い香りがただよい始めた


そして次の瞬間、魔法円の中央から大天使ミカエルがせりあがってきたのであった


大天使ミカエルの姿が完全に現れ魔法円の光は消えた


だがその時なぜか味噌まみれイケ麺が大天使ミカエルの足元に転がってきたのだった


「味噌臭いですね……」


グッシャー!!!!!!!!


そう言いながら大天使ミカエルは足元に転がってきた味噌まみれのイケ麺を勢いよく踏みつけるとヒナスタシアに向き直り言った


「何ですか? ヒナスタシアさん……こんな所に呼びつけて……あなた、たしか今、休暇中でしたよね……もし、大した用事では無い場合、罰金ものですよ」


「は、はい、分かっております、ミカエル様……実は大変な物を見つけまして……」


「何ですか? その大変な物とは」


「それが、天使の第5のラッパ、サルピンクスを見つけたのです」


「なんですって? 第5のサルピンクスと言えば、我らの神の側近の天使サルト様が無くされたという例の天使のラッパですか?」


「そうなんです」


「で……その第5のサルピンクスは今どこにあるのです?」


「それが今ここアーサー王国、王都のギネヴィア・アリーナで行われている異種生物格闘レースの優勝者に授けられる優勝杯そのものがサルピンクスのようなのです……そしてその優勝杯は今目の前の廊下を移動しています」


大天使ミカエルは非常階段の入り口から廊下を見て優勝杯を目視するとヒナスタシアに言った


「なるほど……この大会のことは知っています……というか、私の策略で第2王妃だったギネヴィアを第1王妃の地位につけ、しかも魔術省のトップ魔術大臣にも天界派で私たちの息のかかった魔術師ヴィヴィアンを抜擢ばってきさせた……なのになぜこういうことになっているんでしょうね」


「おそらく人族には、天使文字が見えませんし……」


「まあ、それはそうですね……それにしても、なぜこんな所にサルト様が無くされた第5のサルピンクスがあるのか……」


「あっ、ミカエル様! あと、この者が言うにはアリーシャのところにオリンポスの大女神ヘラが来ているとか……」


「えっ、こんな所にいらしたのですか……まさか、ヘラ様もサルピンクスをねらって? 何しろ第5の天使のラッパ、サルピンクスと言えば最終兵器をオリンポス山に向けて攻撃する合図、いや遠隔発射装置ですからね……しかし、そうなるとヘラ様には、もうとっくに私のことも気づかれているかも知れませんね……これではひそかにサルピンクスを取り戻すわけにもいかなくなりました……とにかく、そこのメイド服のあなた……あなたは魔術大臣の魔術師ヴィヴィアンをすぐに呼んできてください……ああ、それと、どこか部屋は空いていますか?」


「はい、そこのエレベーターに1番近いVIPルームが予備として空いております……ではそこでお待ちになっていてください……すぐに魔術大臣の魔術師ヴィヴィアンを連れてきますので」


「分かりました、では行きましょうかヒナスタシア」


「はい……」


ヒナスタシアが返事をすると大天使ミカエルはエレベーターに1番近いVIPルームに向けてヒナスタシアと共に歩き出したのであった……

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