表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

168/188

黙示録の七天使が吹くサルピンクスの秘密

「ヘラ様、このパンフレットにある優勝杯に、何か気になることでも?」


俺は、パンフレットにある1mを超える細長いラッパの形をした優勝杯の写真を熱心に見ているオリンポスの最高神、大女神ヘラ様に尋ねた


「実はじゃな……この優勝杯がある物によく似ておるので見ておったのじゃ……」


「ある物とは何ですか?」


「それはじゃな……もしこれが本物なら恐ろしい代物しろものなのじゃ……いや、おそらく偽物であろう……このようなところにあるはずがないのじゃから……」


「えっ、どういうことなのですか? この優勝杯が一体何に似ていると言うのですか?」


「サルピンクスと呼ばれる天使が吹くラッパにじゃ……」


「サルピンクス……天使のラッパ……知ってます……確かに似ていますね……でも、もしそうなら違いますよ! 俺が天界にいた時は確かにサルピンクスは天使たちの崇拝する神の側近の天使7人が持っていましたからね……」


「じゃが、それは、ルキが天界から追放される以前の記憶であろう? 追放された後の記憶はないのであろう?」


「はい……たしかに……追放された後の天界の記憶は全くありません……気づいたらノースフォートランドにいたものですから……」


「では、あの1mを超える細長いラッパの形をした優勝杯が本物かどうかは分からぬということじゃな……ただ、あの優勝杯から天使の異様な気をビンビン感じるので気になったのじゃ……それに恐ろしい代物と申した、わらわも実際のところは噂でしか知らぬのじゃ……ルキ……サルピンクスは恐ろしい代物だという、わらわが聞いた噂は本当なのかの?」


「はい、本当のことです……ていうか、ヘラ様! このVIPルームから、どこにあるとも分からない優勝杯から出ている天使の異様な気を感じることが出来るのですか?」


「なんじゃ、そんなことは簡単じゃ」


「ヘラ様、もう驚きを通り越して尊敬です! すごいです! さすが女神様!」


「ルキ、そんなに褒めても何もしてやらんぞよ! よいから続きを話すのじゃ」


「えっ、あっ、はい、分かりました……では、続きを……サルピンクスの恐ろしい噂ですが、その前に、ひとつ言っておきますと、天使たちの崇拝する神と天使は、悪魔より恐ろしい……あっ! まあ、俺も、おそらくその天界の天使から堕天使、つまり今の悪魔になったんでしょうけど……とにかく俺たち悪魔より天界の者は恐ろしいのです……事実、天使たちの崇拝する神や天使は人族や獣人たちを悪魔より殺していると言われていますからね……」


「そうじゃな、それは知っておる……それでサルピンクスと、その恐ろしい代物がどうやってつながるのじゃ?」


「はい、サルピンクスとは、天使たちの崇拝する神が最終兵器を使用し、自らも地上に降臨する合図のためのラッパなのです」


「最終兵器じゃと? やはり攻撃の為の道具なのじゃな?」


「はい、天界のさらに奥にある、神界の雲の中には地上に向けて備え付けられている砲台が5つあります……それらの砲台にはものすごく長い砲身がついていて雲の下から突き出ており、5つ全て違う方向に向いているのです」


「そんな最終兵器があるのかの……一体どこに向いておるのじゃ?」


「はい、第1の砲身は、真下にある1番近い川に向いていて、第2の砲身は、真下にある1番近い海に向いていて、第3の砲身は、真下にある1番近い陸地に向いていて、第4の砲身は、魔界に向いていて、第5の砲身は、オリンポス山に向いているのです」


「やはりオリンポス山にも天界が攻撃を仕掛けてくるという、あの噂は本当だったのじゃな……神界の神め……許さないぞよー!!!!!!!! 」


「ヘラ様……」


「おお……オリンポス山と聞いて思わず興奮してしもうたぞよ、すまぬなルキ……それで最終兵器とは結局どのようなものなのじゃ?」


「はい、天使たちの崇拝する神が、天界に危機が訪れたと思った時、最後の審判を行い世界を滅ぼすために最終兵器を使えと天使たちの崇拝する神に仕える7人の側近の天使たちに、指示を出すのです……そして、それを聞いた7人の側近の天使たち……天界では、黙示録もくしろくの七天使と呼ばれていますが……その黙示録の七天使それぞれが持っているサルピンクスには、1から7まで数字がふってあり、それぞれ音色が違うのですが、その1番のサルピンクスを持つ天使から7番のサルピンクスを持つ天使まで順番に吹いていくのです」


「世界を滅ぼすとな? 神界の神は身勝手じゃな! それで1から7まで番号順に天使のラッパ、サルピンクスを吹いたらどうなるのじゃ?」


「はい、まず、第1のサルピンクスを吹くと神界の雲の中にある第1の砲台の封印が解かれ、遠隔発射装置が作動し、真下にある1番近い川に向けてディバイン・エネルギーと呼ばれる、天使たちの崇拝する神の怒りと血が込められたエネルギー砲が発射されます……すると、命中した川からどんどん、川が血の色のように真っ赤に変化しまたたく間にこの世界の3分の1の川が死滅するのです」


「第1のサルピンクスのラッパの音を合図に、そんなひどいことが起こるのじゃな……」


「はい、ヘラ様……ですが、それはまだ序の口なのです……同じようにして第2のサルピンクスの音色を合図に第2の封印が解かれた砲台から発射されたディバイン・エネルギー砲は1番近い海に落ち、この世界の3分の1の海が真っ赤に染まり、その海の生物は死滅します……さらに同じように第3のサルピンクスの音色を合図に第3の封印が解かれた砲台から発射されたディバイン・エネルギー砲は1番近い陸地に落ち、この世界の3分の1の大地が真っ赤に染まり、そこにある、あらゆる木々や草、そして生物が死滅するのです」


「なんと恐ろしいことをするのじゃ……神界の神ともあろう者が、どういう了見じゃ……」


「はい、全くその通りです……そして、第4のサルピンクスの音色を合図に第4の封印が解かれた砲台から魔界に向けてディバイン・エネルギー砲が発射されます……さらに、第5のサルピンクスが鳴った時、最後の砲台、第5の封印が解かれた砲台からはオリンポス山に向けてディバイン・エネルギー砲が発射されるのです」


「やはり、サルピンクスは恐ろしい代物じゃの……しかし、ルキ……残りの第6と第7のサルピンクスはどう使うのじゃ? 砲台は5つしかないのであろう?」


「はい……ただ、ここからが、さらに恐ろしいのですが、第5のサルピンクスが5番目の黙示録の七天使によって吹かれ第5の封印が解かれた砲台からディバイン・エネルギー砲がオリンポス山に向けて発射されたあと、地上の様子を見て、6番目の黙示録の七天使が頃合ころあい見計みはからって天使たちの崇拝する神の使徒の一人、ヨハネ様の所に行き、許可を得て第6のサルピンクスを吹きます……すると、ヨハネ様の元に黙示録の四騎士と呼ばれる4人の騎士が現れるのです……この黙示録の四騎士が地上の東西南北、四つの方角に分かれ、全天界軍をひきいて地上に総攻撃を開始するらしいのです……ちなみに……いや、当然ですが、黙示録の四騎士は、めっちゃ強いと噂です……俺もまだ会ったことがないので、どのくらい強いのかは分かりませんが、ただ俺が神界に行ったときに、何気なく神界の住人に聞いたんですけど、その住人が言うには、第一の騎士は、白い馬に乗って、手には弓を持ち、頭には冠を被り、第二の騎士は、赤い馬に乗って手には巨大な剣を持ち、第三の騎士は黒い馬に乗って、神の杖を持ち、第四の騎士は、青白い馬に乗って、長い槍のような物を持った最強の戦士だそうです……ただ、黙示録の四騎士は地上の人族や獣人などを皆殺しにするのではなく、四騎士とも、神からさずけられた小さな天秤を持っていて、それを持っていると、天使たちの崇拝する神を心から信仰している者には、四騎士のあらゆる攻撃が効かないのだそうです」


「なるほど……しかし、残虐極ざんぎゃくきわまりないの……自分たちの信者のことしか助けぬなどと……また、はらわたが煮えくり返って参ったぞよ!!!!」


「ヘラ様、では話はここまでにいたしましょうか?」


「何を言っておる、最後まで話すのじゃ、ルキ」


「分かりました……では……と言ってもあとひとつですが……とにかく地上を天界軍である程度支配したところで、いよいよ第7のサルピンクスが黙示録の七天使、7番目の天使によって吹かれると、天使たちの崇拝する神が地上に降臨するらしいのです……そして地上に降臨した次の瞬間、天使たちの崇拝する神以外の神を信仰の対象としてあがめ、天使たちの崇拝する神を選ばなかった地上の全ての者は一瞬にして死ぬことになるらしいのです……これが俺の知っているサルピンクスの秘密の全てです」


「なるほどの……じゃが、言葉も出ないぞよ……考えただけで胸が痛むのじゃ……ルキ、少し肩を借りるぞよ」


ヘラ様はそう言うと、ゆっくりと俺の肩に、もたれ掛かってきたのであった……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ