森のパン屋【お菓子の家】
ヘラ様が店内に貼ってある1枚のポスターを熱心に見ている
俺はヘラ様に声をかけようとヘラ様に近づいたが、突然後ろからこの店のオーナーに話しかけられたので振り返った
「みなさん、どんどんパンを試食してくださいね……何なら、しばらく泊まっていってもいいですよ!」
森のパン屋【お菓子の家】のオーナーで魔法使いのようなジーナが、そう言いながら指さした方を見ると2階に上がる階段だった
但しその階段の入り口には頑丈そうな檻があり、大きな錠前がついていた
「えっ、どういうこと!!」
俺が叫ぶとジーナは言った
「ああ……あの檻のことですか……あれはただの扉のデザインですよ……特に意味はありません」
「いや、間違いなく扉じゃなくて檻だろ!」
「まあまあ、お客さん……それより試食試食……これなんか美味しいですよ!」
見ると巨大な豆の上にパンがちょこんとのっている
「いや、これはもう、豆そのものだろ!!」
「そ、そうですか……まあまあ、お客さん、落ち着いて……このコーヒーを飲んでください……コーヒーはサービスで何杯飲んでも構いませんから」
「分かりました……いただきます」
ブハッ!!
「あ、あますぎる!! このコーヒー、どれくらい砂糖が入ってるんスか!!」
「それはもう、たっぷりと……太りますね、あはは」
「いや、だからあははじゃなくて……」
俺はそう言うと、そそくさとその場を離れ、オリンポス最高神ヘラ様と虹の女神イーリスのところへ行き一緒にパンを選ぶことにした
最終的に俺たちは、レッドビーンパンと、クリームパンと、野いちごジャムパンと、チョコパンと、森のフルーツパンを、持てるだけ買うことにしたのだった
ヘラ様とイーリスと共に店を出た俺はヘラ様に言った
「美味しいパンが買えて良かったですね、ヘラ様」
「そうじゃな、ルキ」
「ところでヘラ様、ココアサンドラ号へは、どうやって戻りますか?」
「そうじゃな……」
その時、虹の女神イーリスが俺に言った
「そういえば、マリアからインターホンを預かってるわよ……ココアサンドラ号に戻りたい時はインターホンを押せって言ってたわ」
それを聞いたヘラ様がイーリスに言った
「では、押してみるのじゃ、イーリス」
「分かりました……では」
ピンポーン……
「こちらココアサンドラ号です……どうぞ」
「いや、どういう仕組みなんだよ!!」
俺はインターホンに応答したマリアにではなく、イーリスに向かってツッコむとイーリスは言った
「私に言われても知らないわよ! 戻ったらマリアに聞きなさいよ!」
イーリスがぷりぷり怒る中、インターホンからマリアの声が聞こえた
「では、テレポートしまーす……3、2、1、はい……」
俺たちは次の瞬間、気づくとココアサンドラ号のテレポートルームにいたのであった……




