螺旋階段
テッテレー!!!!!!
ココアサンドラ号のテレポートルームにテレポート完了音が鳴り響いた
「これでよしと……」
ココアサンドラ号の中枢コンピュータが、オペレーター用として自ら作り出したリアルな人族の姿をした女性、マリアはテレポートルームでそう呟いた……
俺と、オリンポス最高神ヘラ様と、虹の女神イーリスは気づくと、わたがしの雲の上にいた
歩くとふわふわする雲の上は、ほんのり甘い匂いがした
「ヘラ様、雲の真ん中に大きな穴があいてますよ、行ってみましょう」
「そうじゃな……これ、イーリス! 雲をちぎって食べようとするでない」
「ははは、見られてましたか……お腹が空いてまして」
「はよう、パン屋に行くぞよ」
俺たちはわたがしの雲の真ん中にやって来た……そこにあいている大きな穴を覗き込むとやはり砂糖で出来た白い螺旋階段だった
どうやらその砂糖で出来た白い螺旋階段は、この高度2000mの上空から地面に建つパン屋まで続いているようだった……俺は目が眩み、へっぴり腰になった
そんな俺を見て虹の女神イーリスは言った
「何よ、ルキ……だらしがないわね」
「いや、イーリスはいつも高い空の上を自由に飛び回ってるから、この高さでも余裕なだけだろ!」
「まあ、そうだけど……あれっ? これ何かしら……」
イーリスがそう言って螺旋階段の前にある斜め上に突き出たレバーを握り、下に下げた瞬間、警戒音のようなサイレンが鳴り始めた
「おい! イーリス、何したんだよ!」
「えっ、何って、ちょっとレバーを下げただけでしょ!」
「いや、何か分からんレバーを勝手に下げてんじゃねーよ!」
俺はプチパニックになり、イーリスに対し声を荒らげてしまった
その時、目の前の砂糖で出来た白い螺旋階段が突然変化し始め、みるみる滑り台になっていったのだった
「おお、滑り台に変わったのじゃ! 楽しそうじゃの!」
「ヘラ様、た、た、た、楽しそうだなんて! これどうやって降りるんですか……まさかこの高さから滑って降りる気じゃないでしょうね?」
「なんじゃ、ルキ、怖いのかの? では残念じゃが、パン屋までテレポートするでおじゃる」
「い、いや、ヘラ様、誰が怖いなんて言いました? いいでしょう、やりましょう」
「では、ルキ、そなたが先に滑るのじゃ」
「えっ、俺ですか? イーリスじゃなくて……」
「そうじゃ、さあ、ルキ……男気を見せるのじゃ!」
「分かりました……いいでしょう、地上2000mの滑り台……やってやりますよ!!!!!!!!」
「ルキ……キレておるのかの?」
「いや、キレてないですよ! じゃあ、行ってきます……」
俺は滑り台のそばに歩み寄ると、ウォータースライダーのスタートのようなポーズで座り用意した
「じゃあ、ヘラ様……下で待ってます……」
「うむ、では、行ってらっしゃいなのじゃ」
俺は死ぬ気で滑り始めた……すぐにものすごいスピードに……スピードに……スピードにはならない……あれっ? めっちゃ、ゆっくりだ……」
その時、どこからか機械的な声が聞こえてきた……
「コノ、ラセンカイダンノ、スベリダイハ、アンゼンソウチガ、ツイテオリマス……ドウゾ、スバラシイ、ケシキヲ、ユックリト、オタノシミ、クダサイ……マセ……」




