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セントモモーナ礼拝堂の上空で女神ヘラと……

ササーヤンマートがある草原からココアサンドラ号が飛び立ってすぐ、俺はリビングのソファーに座り大型モニターを見ていてあることに気づいた


俺の隣には南の大陸で1番大きな王国、コーチス王国のプリンセスモモーナが座っている


モモーナは今いるアルテミス国がある西の大陸では元々聖女として暮らしていた


そしてソファーの少し離れた場所には西の大陸のさらに西にあるこの世界の34の種族から崇拝されているオリンポス山の上位12神の中の最高神で大女神様と呼ばれるヘラ様と側近の女神イーリスが座っていた


俺達が座っているソファーの正面にある壁のやや上に取り付けられている大型モニターには、基本コックピットにある大型モニターと同じ画像が映し出されているのだがリビングのテーブルの上にあるリモコンで船外カメラを切り替える事も出来た


今、俺はその大型モニターに映し出されているココアサンドラ号から眼下に見えるアルテミスシティーの小さく見える建物の中で一際真っ白な建物があるのを見つけたのだった



俺はマリアを呼んだ……



ココアサンドラ号の中枢コンピュータが自ら作り出すリアルな人族の姿をした女性マリアは言わば感情を持ったAIのような存在だった……


マリアは俺のそばに突然現れ言った


「何……ルキ」


「マリア、あの真っ白な建物をズームして調べてくれないか?」


俺が大型モニターを指差し言うとマリアは頷きその真っ白な建物をズームすると言った


「あれはセントモモーナ礼拝堂ね……」


「えっ、あれがセントモモーナ礼拝堂? すごい! 綺麗……」


目の前の大型モニターに映し出されているセントモモーナ礼拝堂は、やや俯瞰して見る形だが、それでも緑の中に建っている白い外観の礼拝堂は圧巻の美しさだった


正面ドアの上にはたくさんの窓があり、そのさらに上には大きな鐘が備え付けられていた


「ねぇ、モモーナ、本当にセントモモーナ礼拝堂に行かなくてもいいの?」


「えっ、うん、いいのよ……」


モモーナはなぜかそっけない態度で言った


「それなら、いいんだけど……せっかくコーチス王様が建ててくれたのに」


「えっ、何? 聞こえなかったわルキ、はっきり喋りなさいよ!!!!」


ちゃんと聞こえているはずのモモーナは急にピリピリした雰囲気で俺にあたるかのように言った


「わ、分かったから落ち着けよ」


俺はモモーナにそう言うとそそくさとその場を離れヘラ様の隣に座った


「なんじゃ? ケンカかの? ルキは女心が分かっておらんからの」


ヘラ様はそう言うとケラケラ笑った


俺はケラケラと笑う美しいヘラ様を見ていたが、なぜか無性にイジワルしたくなり、ヘラ様の手をこっそり握り言った


「ヘラ様……ちょっと2人で外に出ませんか?」


ヘラ様は笑うのをピタッとやめ俺を見つめると言った


「外とはどういうことなのじゃ……今は空の上でおじゃるのに」


「ああ……それはですねヘラ様……ココアサンドラ号の船体の上に行きませんかということです」


「ま、まあ、そうじゃな……一緒に行っても良いぞ、ではテレポートするでおじゃる」


「あっ、ヘラ様、テレポートはせずに歩いて行きましょう」


「分かったぞよ」


ヘラ様がソファーから立つとイーリスが言った


「ではわたくしも……」


俺はイーリスが着いてくるとは予想しておらずイーリスに何て言おうかなと思っているとヘラ様が言った


「イーリス、そなたはオリンポスにいるゼウスに報告することがあるのではないのかの?」 


「えっ、はい……あることはありますが……」


「では今すぐ報告してまいるのじゃ」


「分かりました……では報告してきます」


虹の女神イーリスはそう言うとゼウスに報告するため水晶玉通信装置が置いてある廊下の突き当たりに向かって歩いて行ったのだった


「ルキ、行くでおじゃる」


「はい」


俺は顔には一切出さなかったが心の中は喜びでいっぱいだった


俺はヘラ様と連れ立ってリビングから出るとエレベーターに乗り込み最上階のボタンを押した


するとエレベーターは静かに上昇していきすぐに最上階に着いてドアが開いた


前方を見ると薄暗く長い廊下が続いている


その無機質な空間は、さながら学校の廊下に似ており、すぐにでも幽霊が出そうな気味悪さも感じた


「ルキ……そばを離れるでないぞ」


ヘラ様はそう言うと俺の服の袖を持った……俺はその様子を見て思った


えっ、ヘラ様、幽霊とか怖いのかな? そんな可愛い所があるんだ……なんて愛おしい……


俺は急にヘラ様を抱きしめたい衝動に駆られたがそこは我慢し先に進んだ


しばらく歩くと至る所からラップ音のようなものが聞こえた……その度にヘラ様は俺に密着して来た……俺はずっと胸が高鳴っていた……


その時、前方にハシゴが見えた


「あっ、ヘラ様、ありましたよ!」


俺はヘラ様の手を取り、手をしっかり繋ぐとそう言った


すると反射的にヘラ様は返事をするが如く俺の手を握り返してきた


そのままヘラ様と手を繋いで歩いているとすぐにハシゴに辿り着いた


ハシゴは壁に備え付けられており丸く開いた天井に向かって伸びていた


そのハシゴの横には上向きの矢印と共にハッチと書いてある


俺はヘラ様に後ろから着いてくるように促すとハシゴを登り始めた


けっこうな長さがあり高さも感じる


俺は、時々ヘラ様の様子を見ながら登っていたが、登り切った所にはハッチがあった


俺はハッチの横の開閉装置を操作しハッチを開け頭を外に出した


ビュー


冷たく速い風が一気にこちら側へ流れ込んでくる


「寒い……けど気持ちいい……」


俺の感情は寒さと外に出た開放感の2つで揺れていた……


俺はハッチから完全に出ると下に向かって手を差し伸べた……ヘラ様が俺の手を掴む……俺はヘラ様を引っ張り上げた


ヘラ様はつまづいたのか俺の方によろめいた……俺は両手を広げヘラ様を抱きとめた……そのままぎゅーっとヘラ様を抱きしめた……


「あっ、すいません、ヘラ様……」


俺はヘラ様を離そうとしたが、今度はヘラ様が俺をぎゅーっと抱きしめてきて言った


「ルキ……そのままでよいぞよ、風が冷たいからの……」


俺はヘラ様を離すのをやめ再びしっかりと抱きしめ言った


「そうですねヘラ様……ではしばらくこのままでいます」


だがそんな幸せな時間も束の間だった‥

ヘラ様の後ろで女神イーリスが仁王立ちして俺を睨んでいたからだ


「ルキ……一体ヘラ様に何をしているの! 仮にもヘラ様は神の中の神……カリスマの中のカリスマなのよ……分をわけまえなさいよ」


「分かってるよ……そんなこと……」


俺は口ではそう言ったが心の中はイーリスのその言葉でむしろ燃え上がっていた……ヘラ様を誰にも渡したくない……これほどの女性は他にはいない……


だがヘラ様の側近イーリスの立場や考え方も分かる……俺は次の一言が出て来ず沈黙した……


その時、突然頭上に大きなソフトクリームを横にしたような物体が現れた


見るとその物体はココアサンドラ号よりひと回り大きい


するとそのソフトクリームを横にしたような物体から拡声器を通したような声が聞こえてきた


「こちらはアルテミス軍である……そこの男! 空浮艦名と搭乗者の名前を言うように!」


俺は巨大なソフトクリームから声がして多少驚いたがすぐに状況を理解した


この巨大なソフトクリームは空浮艦なのだと……俺はそのソフトクリーム……いや空浮艦に、これはココアサンドラ号だと言い搭乗者の名前を答えると巨大なソフトクリームからすぐに返事が返って来た


「ココアサンドラ号だと? と言うことはそちらの搭乗者の中にいるモモーナとはコーチス王国のプリンセスのモモーナ様なのではないか?」


俺がそうだと答えるとさらにその巨大なソフトクリームから声が聞こえた


「アルテミス国を治める月の女神アルテミス様から、もしココアサンドラ号を見つけた場合はモモーナ様を連れてくるように命令を受けている……ただちに着陸してモモーナ様をこちらへ引き渡すように……」


俺はそれを聞いた瞬間ヘラ様にアイコンタクトするとヘラ様は頷きすぐにテレポートして消えた……


それを見てイーリスと俺もすぐさまテレポートしたのであった……



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