アイスの魔女セリーナの店カフェ・ド・セリーナに結集する
エルフの国の王女ソラファと、アルテミス神殿の神官でこの店のアルバイトもしているユーカリスと、アイスの魔女セリーナと、俺に変身しているミニドラゴンのリュウト君はカフェ・ド・セリーナに入った……
4人は店内にいる仲間達に挨拶しながらココアサンドラの可愛さに驚いていると月の女神アルテミスが駆け寄ってきてソラファに言った
「ソラファ、待っていたわ! さあ、今すぐに私とセリーナ城に行きましょう! プランZの内容は聞いてる?」
「ええ、ユーカリスから全部聞いたわ……アルテミス国の独立と建国をエルフの国が全面的に支持しますとアーサー王国全土に宣言したらいいのよね」
「そう……お願いできる?」
「もちろんアルテミスのためなら何だってするわ……それにエルフの女王である私のママ、エウリュディケの意思でもあるわけだし」
「ありがとう! 助かるわ……じゃあ早速行きましょう……セリーナ城に行けばチョコミント将軍が待ってるわ」
「分かったわ、アルテミス、じゃあ行きましょうか」
アルテミスとソラファは入り口のドアまで行くと振り返りみんなに言った
「では、行ってきます……」
その時アルテミスは俺に変身しているリュウト君と目が合った……いやアルテミス自ら合わしたのだろうか……
アルテミスはリュウト君に言った
「あら、ルキいたの? 全然気がつかなかったわ……ルキはてっきりセリーナと駆け落ちしたのかとばかり思っていたけれど、どうやら違ったようね……ん?」
アルテミスはリュウト君の目をジッと見つめている
リュウト君は冷や汗が出てきた
「ルキ……私の目を見て!」
リュウト君はアルテミスの目を見たがすぐに視線が右上にいった
「ルキ、あなた、まさか……いえ、いいわ、さあ、ソラファ行きましょう」
アルテミスはそう言うとソラファを連れてセリーナ城に行ってしまった
リュウト君は息を吐いた
その姿を見たセリーナはそっとほくそ笑んだのだった……
その時店のドアが開き、可愛いうさぎの獣人ミーナ提督が魔術師見習いで新人スパイのサラを伴い店に入ってきた
「あっ、みんなお揃いね! お久しぶり! アルテミスはいるかしら」
ミーナがそう言いサラを紹介するとパンケーキとクリームソーダをむさぼるように食べているココアサンドラが言った
「あれっ、誰かと思ったらミーナじゃん、久しぶり! アルテミスなら目の前の巨大なお城に行ったよ」
「えっ、誰? まさかココアサンドラ? なんて可愛い……いえ一体何があったの? 私とにんじん島でにんじんの食べ比べをしていた頃のワイルドなココアサンドラはどこへ行っちゃったのよ!」
「はっ! いつの話よ! でもミーナは相変わらず可愛いね……しかもどんどん出世してるし」
「まあ、とにかく積もる話はまた今度ね……私はアルテミスに呼ばれてるからここで待たせてもらうわよ……すいませーん、注文いいですか?」
ミーナが叫ぶとカフェ・ド・セリーナの店長で巨大な白熊の獣人カゴシャンがメニューを持ってミーナとサラのテーブルにやって来た
メニューを見たミーナは言った
「この子には、チョコバードと森のきのこのアイスソースパスタとレモンスカッシュを、私はオリンポス産コーヒー豆を使ったオリンポスコーヒーをもらうわ」
「かしこまりました……少々お待ちください」
俺と聖女モモーナが乗った高級スポーツカーの屋根の上には集音マイクを持った天使ヒナスタシアがいた
車内の音はリアルタイムで天界の大天使ミカエルが自分のオフィスで聴いている
「四葉のクローバーのネックレスか......まだ持っていたのか......それにしても、ルキが天使ミラと別れた後、皇帝ルキフェルとして魔界に君臨していたルキが急にこのアーサー王国に来て人族として暮らしているのも月の女神アルテミスの力なのか? まあ実際アルテミスはその見た目とは裏腹に怖い女だからな……狩猟の女神でもあるし……アクタイオンの件もあって一部の人族からは強烈に嫌われている……ん? もしやアルテミスも魔界と繋がりがあるのか? アルテミスのことももっと調査しないといけないな……」
見習い魔術師で新人スパイのサラがちょうどチョコバードと森のきのこのアイスソースパスタを食べ終わった時にアルテミスとソラファがカフェ・ド・セリーナに帰って来た
「あっ、ミーナ! 来てくれたの?」
ミーナに気づいたアルテミスがミーナに近寄り事情を簡単に話すとミーナは言った
「ごめん……アルテミス、私はアーサー王様の側近という立場……アーサー王様は裏切れない……アルテミス国の新政府は手伝えない……」
「いえ、いいのよ……ただ、アーサー王国とアルテミス国の外交上の橋渡しはしてほしいの」
「それは構わないわ……そうだ! このサラは私の信頼する部下だからこの子に連絡係をやってもらうことにするわ……アルテミスそれでいいかな?」
「ええ、いいわ、お願い」
「じゃあ私はこれからすぐにアーサー王様に会いにいくからこれで……じゃあみんなまたね」
ミーナはそう言うとサラを連れ店を出て駐車場に向かった……
エルフの王女ソラファはアルテミスに言った
「アルテミス……大使館の事なんだけど、アルテミス神殿じゃなくこのカフェ・ド・セリーナの2階の部屋をエルフ国の臨時大使館として使ってもいいかな?」
「ええ、それはいいけど……セリーナにも聞いてみてね」
「分かったわ……」
日が暮れ高級スポーツカーのヘッドライトが点いた
「なんだあれ?」
俺は前方からこちらにやってくるカラフルなキャンピングカーに興味を示すとモモーナが言った
「えっ、かわいいじゃない」
モモーナは嬉しそうだ
そのカラフルなキャンピングカーとすれ違った途端、後ろから眩しいライトと共に車が急接近してきた
どうやら急いでいるらしい
俺はハザードランプを出し高級スポーツカーを止めた
後ろにいた車が追い抜いていく
どうやら高級リムジンらしい
俺は再び車を発進させカフェ・ド・セリーナ近くの公園の前に車をとめるとモモーナに言った
「ねぇ、ちょっとあの巨大な城を見てみない?」
「えっ、いいわよ」
俺とモモーナは車を降り手を繋いで薄暗い公園を歩いた
そして公園のベンチに座ろうとした瞬間、目の前に6つの光が現れた
「キャッ!」
モモーナが叫んで俺に抱きつくとその光が喋った
「あれっ、ルキさんじゃないの? 私よ、ガルナ」
光が近づいてくるとたしかにガルナだった……ガルヨとガルエもいる
俺がホッとしていると俺に抱きついているモモーナが言った
「ルキ、あれ見て……あの巨大なお城の横」
「あっ、あれはココアサンドラ号じゃん! てことはセリーナもリュウト君もいるな……ていうかガルナさん達はなぜここに?」
「いえね、ササーヤン様がここで待っててと言ったから……でも戻ってこなくて」
「それなら、俺たちと一緒にカフェ・ド・セリーナに行ってみようよ」
「ええ、そうしてもらえると助かります」
俺と聖女モモーナはガルナ、ガルヨ、ガルエと連れ立ってカフェ・ド・セリーナのドアの前に来た
俺はモモーナにアイコンタクトすると急いで店の裏に行き待機した
モモーナ達は店の中へ入っていく
しばらくするとモモーナの指示でリュウト君が店の裏にやって来た
「ルキ様! お待ちしておりました! 遅かったですね……私は大変だったのですよ!」
珍しくリュウト君はぷりぷりしている
「ごめん、遅れちゃって……ちゃんとお礼はするから許して」
「分かりました……ではルキ様私はこれで失礼します」
そう言うとリュウト君は消えた
俺は店に入るため店の表にまわった
すると店のドアの前で大賢者ササーヤンとガルナ達がいた
「待たせてて悪かったやん……もう日が暮れたけど私はまだ帰れそうにないから先に帰るやん」
ササーヤンがそう言うとガルナ達は帰っていった
俺はカフェ・ド・セリーナのドアを開けササーヤンと店の中へ入るとちょうどアルテミスがみんなに向かって叫んでいた
「静かに! みんな揃ったわね……じゃあ会議を始めます」




