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王女監獄島のラビリンスに入る……天界のスパイ天使アンナ新たに潜入する

ココアサンドラはメスのアカカンガルーの獣人ガルヨのお腹の袋の中から顔を出した


ガルヨはガルナ、ガルエと共に颯爽と森の中の道を飛び跳ねている


なるべく水平に飛び跳ねてくれているらしくココアサンドラは、あまり上下の揺れで辛いことはなかった


体感としてはものすごい疾走感で楽しさの方が優っていた


だがガルナ、ガルヨ、ガルエのメスのカンガルーの獣人3頭は急に道を外れ森の方へ入っていった


ガルナのお腹の袋の中にいる大賢者ササーヤンが叫んだ


「だめやん、戻るやん!」


だがすぐに前方に赤いものがたくさん見えて来て、近づくにつれて良い香りがした


それはリンゴだった


野生のリンゴらしい


シャキシャキシャキ……


ガルナ、ガルヨ、ガルエは野生のリンゴを引きちぎり美味しそうに食べている


ガルヨがココアサンドラにも野生のリンゴを取ってくれた


シャキッ!


ココアサンドラはリンゴをかじった


「美味しい……」


野生のリンゴはとても甘く香りが強かった……


ココアサンドラはガルヨのお腹の袋の中から出て地面に寝転んだ


もう秋だというのにあったかい‥眠い

木漏れ日が優しくココアサンドラを包み込んでいく……


ココアサンドラは目を閉じた……


それからどのくらい時間が経っただろう


頭上からガルヨの声がする


「何よ、あの高級リムジン! あんなに飛ばしちゃって……危ないじゃない!」





護送用の空浮艦が監獄島の迷宮の前に着陸した


ボーダーの囚人服を着た元アーサー王国のプリンセスディーナは何人かの囚人達と共に護送用の空浮艦から降ろされた


囚人達は目隠しをされラビリンスと呼ばれる迷路の中に入っていく


ずいぶん歩かされ目隠しを外されると目の前にはエレベーターがあった


周りには怖そうな看守達数人がいてその中の一人がエレベーターのドアの開ボタンを押し囚人達にエレベーター内に乗るように促した


1番最後にディーナがエレベーターに乗るとエレベーターのブザーがけたたましく鳴った


看守達が叫ぶ


「何だ? 囚人達の合計体重が、この書類と違うじゃないか! このエレベーターは武器などの持ち込みを防ぐ為、囚人達の合計体重以上の重さになるとブザーが鳴る仕組みだからな……まあ何も持ち込めるはずはないから誤作動なんだろ……だがめんどくさいがマニュアル通り調べるとするか」


そう言うと看守達は検査の為の道具を手に持って囚人達の体を一人一人調べていった


しかし別にこれといった問題はなかった


それを見た1番偉そうな看守が部下らしき看守に言った


「やはり、エレベーターの誤作動か‥おい、囚人達を降ろしたらすぐに修理屋を呼べ!」


「はっ! 分かりました!!!!」


そのすぐ後、ディーナの乗るエレベーターのドアは閉まりエレベーターは下降を始めたのであった……





カフェ・ド・セリーナではアルテミス宮殿の執事で羊の獣人カール君がコーヒーを飲みながら月の女神アルテミスを待っていた


そこへゆっくりと店のドアが開いた


「あ、あのー……」


それに気づいたカフェ・ド・セリーナの店長で巨大な白熊の獣人カゴシャンが言った


「あっ、すいませんお客さん、今日は貸切なんですよ」


だがその時カール君が言った


「あれっ、もしかしてアンナさん?」


その客は店内に入ってきて来て言った


「はい、アンナで……お久しぶりね、カール君!」


「ああ、やっぱりそうだ! リストランテ・プリンチペッサ・ミホリーナを教えてもらってから何度かお会いしましたね……最後に会ったのはいつだったかな……まあとにかくこちらへ来てお茶しませんか? ねっ、カゴシャンいいでしょ?」


「ああ、いいとも! カール君の知り合いなら特別だ!」


それを聞いた天使アンナはカール君の向かいの席に座った


「それでどうしてこの店に? 久しぶりに妖精の国から遠出ですか?」


「いえ、カール君……私、今はアルテミスシティで暮らしているんです……でも急にアルテミス国になってしまって……街はパニックで……それで私は落ちつくために郊外のこのお店に来てみようかなって思って……」


「そうでしたか……でもそのおかげでまたあなたと出会えた……なんとも嬉しい限りです……それで今は何をされてるんですか?」


「ええ……それなんですけど、今仕事を探してて、あ、あの! ここで会ったのも何かのご縁、カール君! 何か仕事を世話してもらえませんか?」


「えっ、ええ、それはもちろんいいですよ……ただ仕事をお世話するといっても、私がお世話できるのは、この店のアルバイトかアルテミス宮殿の見習いメイドしか……あっ、それにこの店のアルバイト代は安いですし……」


それを聞いていたカゴシャンは密かにカール君をジロリとにらんだ


天使アンナは言った


「わ、私……見習いメイドがしたいです!」


「そうですか? それはこちらとしても助かりますし……では決まりですね! すぐに一緒にアルテミス宮殿に戻ってメイド長に手続きをさせたい所ですが、私はアルテミス様をお連れして戻らねばなりませんので少し待ってもらってもいいですか?」


「はい、それは大丈夫です」


天使アンナの返事を聞いたカール君はカゴシャンに言った


「カゴシャン、アンナさんに2階の部屋で待ってもらってもいいかな? 下は今からバタバタすると思うから」


「ああ、それはいいよ……じゃあ2階に案内するからアンナさんついて来て」


「はい、分かりました」


天使アンナはカゴシャンの後について2階への階段を登っていった……



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