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カフェ・ド・セリーナへ集結……魔界のクィーン・チホリリスが買ったメスアカカンガルー肉まん……アルテミス国を取り囲む巨大なバニラアイスの壁が完成する

「サ、ササーヤン!!!!」


「コ、ココアサンドラ!!!!」


久しぶりに会ったココアサンドラとササーヤンはしっかりと抱き合った


筋肉ムッキムキのオスのアカカンガルーの獣人ガルオがレジから驚きの表情で2人を見ている


「ちょっと見ない間に綺麗になったのね……素敵!」


ササーヤンが笑顔でそう言うとココアサンドラは渋い表情で言った


「いや、まあ……そうかな……ありがとう……でも服装や髪やメイクやアクセサリー頑張ったから、それでじゃない? ていうかだいたいパパがルキと結婚しろ結婚しろって突然言い出して見た目も変えて言葉遣いや仕草もおしとやかにしろって言われたから仕方なく……パパはルキの事を気に入っててすごく嬉しそうだったから……」


「ん? で、ココアサンドラはルキと結婚したいの?」


「えっ、そんなの分からない……でも……もういいのよ……ルキがここにいなくて拍子抜けしたから……もういつもの私でいくわ!」


ココアサンドラが言うとササーヤンは突然天井を見上げ遠くを見つめるような目で語り始めた……


「そう……ココアサンドラはそのままでも魅力が溢れまくってるわ! 大賢者の私が言うんだから間違いないわよ! かの有名な哲学者カントもこう言ってるわ……愛とは感性に属する事柄であって、意欲に属する事柄ではない……だから欲したからといって愛せるわけではないし、ましてや愛さねばと思ったから愛せるわけではない……ってね……っていないやん!!!!」


ササーヤンが語り終えた後、振り返るとココアサンドラはもうその場には、いなかったのであった……


ココアサンドラは夕方から勤務しているメスのアカカンガルーの獣人ガルナ、ガルヨ、ガルエと一緒にレジ前で店内の軽快な音楽に合わせて即興ダンスバトルをしていた


ガルナ、ガルヨ、ガルエのソロダンスが終わり次はいよいよココアサンドラの番だ


ココアサンドラは軽快な音楽に身を任せながら徐々にノリノリになっていきダンスも激しくなってきた


その時一人の客が店に入ってきた


「っらっしゃいまっせー!!!!」


筋肉ムッキムキのオスのアカカンガルーの獣人ガルオが叫ぶとそこには魔族チホリリスがいた


チホリリスは真っ直ぐダンスバトルが繰り広げられているレジ前に来た


そしてココアサンドラの真正面に立つと言った


「あなた、レジ前でめっちゃ踊ってくれちゃってるわね……ちょっとどいていただける? 私メスアカカンガルー肉マンを買いたいのよ」


ココアサンドラの弾けるダンスに対しチホリリスの顔は無表情だ……体も微動だにしない……しかも凄まじい魔のオーラを放っている


まさに静と動……


だが突然ココアサンドラの動きがピタッと止まりココアサンドラは言った


「ん? 肉マン?」


だがチホリリスはココアサンドラの言葉を無視して言った


「ここで遊んでてていいの? 外は大変なことになってるわよ……アイコディーナとかいうプリンセスが監獄島へ移送された途端アルテミス領一帯がアルテミス国になっちゃって街はパニックになってるわよ」


ココアサンドラは叫んだ


「えっ、アイコディーナが!!!!」


「ええ……おそらくやつのしわざね」


「やつって?」


「それは……ひ、み、つ!」


その時、ササーヤンが慌ててココアサンドラのところに来て言った


「大変よ! 今外に出てみたらお城が‥巨大な白いお城がたってるわ! あれはおそらくカフェ・ド・セリーナの近くよ! ねぇココアサンドラ今から私と一緒に行ってみない?」


「分かった! すぐ行ってみよう! 走っていく?」


「いえ……私はガルナのお腹の袋の中に入るからココアサンドラはガルヨのお腹の袋の中に入って!」


「えっ? どうゆうこと……」


その時ガルエのお腹の中からサヤカーリンが顔を出した


サヤカーリンは真剣な表情で言った


「私も行く! 3人で行こう!!!!」


ココアサンドラがツッコミを入れる間もなくガルヨがココアサンドラをお腹の袋の中に入れると、ガルナのお腹の袋の中に入って顔を出しているササーヤンはガルオに言った


「ガルオ……あとは頼んだわね!」


「了解です……店のことは心配しないでください!」


「ありがとう……じゃあカフェ・ド・セリーナに行ってくる!」


ササーヤンはそう言うとメスのアカカンガルーの獣人ガルナのお腹の袋の中から手を振り、ガルヨのお腹の袋の中のココアサンドラと、ガルエのお腹の袋の中のサヤカーリンと共に3頭のメスのアカカンガルーの獣人はカフェ・ド・セリーナを目指して走り出した……いや飛び跳ね出したのであった


その3頭のメスのアカカンガルーと入れ替わるように店に入ってきた者がいた


魔族ナツーキスである……


チホリリスの側近であるナツーキスはレジ前にいるチホリリスに近寄り言った


「チホリリス様、ここにいらしたんですか……ご報告します……侯爵ナベリウス様が言われていた、ルキの小型空浮艦はこの辺りにはありませんでした」


「そう……残念だわ……」


「では、魔界に帰りますか?」


「いえ、ちょっと待ってちょうだい……メスアカカンガルー肉まんを買うから」


「はい、分かりました」


ナツーキスが返事をするとチホリリスはガルオに言った


「あの、店員さん……メスアカカンガルー肉まん2ついただけるかしら?」


「はい、分かりました……少しお待ちください」


そう言うとガルオはメスアカカンガルー肉まん2つを保温機から取り出すとチホリリスに聞いた


「お客さん……子供カンガルーにしますか? それともおもらしカンガルーにしますか?」


チホリリスはナツーキスに聞いた


「ナツーキスはどっちにする?」 


「はい、私はおもらしカンガルーにします」


「そう……じゃあ店員さん、子供カンガルーとおもらしカンガルーをひとつずつください」


「かしこまりました」


ガルオはそう言うと、メスのアカカンガルーの形の肉まんの1つを取りカラシをお腹の袋の中に注入した……袋はカラシで膨らみ仕上げに袋の外に子供カンガルーの顔を描いた


そしてもうひとつのメスアカカンガルー肉まんのお腹の袋の中には酢醤油をたっぷりと注入し少し傾けた……するとすぐにアカカンガルーが酢醤油によりおもらししたみたいになったのだった


「お客さん、お待たせしました」


ガルオが言うとチホリリスはお金を払いナツーキスと共に店内にあるイートインコーナーに行ってメスアカカンガルー肉まんを食べたのだった


2人はその美味しさに感動し魔族のみんなにお土産としてメスアカカンガルー肉まん100個を買って帰ったのであった……






セリーナ城にいるチョコミント将軍は月の女神アルテミスに言った


「アルテミス様……アルテミス国を取り囲む巨大なバニラアイスの壁が完成いたしました……出入り口ははアルテミス神殿近くの壁に作られた東の表門とアルテミス川沿いの道の手前の壁に作られた西の裏門の2つです」


「それで……チョコミント将軍……セリーナが言っていたんだけど……もし魔法の力で作られたアイスの国への扉を開く時は魔法王国に見つかってはいけないと聞きました……大丈夫なのですか?」


「はい……セリーナ様からその事は聞いております……どうやら以前手違いでアイスの国への扉が開かれた時、魔法王国の公安広域捜査局に気づかれそうになったとか……ですがそれが逆に良かったらしくその後このアイスの国への扉はセリーナ様によって強化され今回は魔法王国の公安には決して見つかる事はないでしょう」


「そうですか……分かりました……それを聞いてホッとしました……では少し休みたいのでカフェ・ド・セリーナへ行ってもいいですか?」


「どうぞ……もし何か動きがありましたらお知らせいたしますので」


チョコミント将軍が言うと月の女神アルテミスはそこで湖の番人アリスと別れ、アルテミス宮殿の執事の羊の獣人カール君を伴いカフェ・ド・セリーナに向かったのだった……






丸みを帯びたカラフルで可愛いキャンピングカーは東の表門に向かっていた


運転しているのは可愛いうさぎの獣人ミーナと助手席には魔術師見習いで新人スパイのサラが座っている


「サラ……アイスの兵士も出口は2つしかないと言ってたけどやっぱり渋滞してるわね」


「はい……美しいアルテミス神殿がじっくり見られるのは嬉しいですけど……」


その時、渋滞の列の先から大型バイクに乗りこちら側にやって来るガオー大佐が見えた


ミーナは窓を開け手を振りながら叫んだ


「ガオー大佐ー!!!!!!」


するとガオー大佐はミーナとサラが乗るキャンピングカーの横で止まった


「あっ、これはミーナ提督! ちょうど良いところでお会いしました……アルテミス様がミーナ提督をお連れするように命令を受けておりまして」


「えっ、アルテミス……アルテミス様が?」


「はい、ミーナ提督には是非カフェ・ド・セリーナにお越しいただくようにと」


「どうしよう……王都に帰らなくてはならないし……」


「どうやら、ここだけの話……あっ、そちらの方に聞かれても大丈夫でしょうか?」


「ええ、大丈夫よ……この子は私の信頼する部下だから」


「分かりました……失礼いたしました……では続きを……どうやらアルテミス様は国の新政府を作るにあたり、アーサー王国前首相であられるミーナ提督にご相談したいのだと思われます……しかもミーナ提督はアーサー王様の側近‥是非とも会っていただきたく……」


「分かったわ……話を聞くだけでも行ってみるわ……じゃあ今からカフェ・ド・セリーナに行ってみる」


ミーナはそう言うとガオー大佐の誘導の元Uターンしてカフェ・ド・セリーナに向かったのだった……






天使アンナが振り返るとそこには大天使ミカエルが立っていた


「ミカエル様、どうされたのですか?」


「アンナ聞いてくれ……アリーシャが王都へ帰ってからも海軍士官学校を調査してもらっていたが海軍士官学校はアルテミス国建国により閉鎖になった……そこで……いやどのみち頼むつもりだったが月の女神アルテミスに直ちに近づいて欲しい……」


「分かりました……ミカエル様の為なら何でもいたします」


「ありがとうアンナ……ではさっそくアルテミスに接触してもらいたいのだが……調べによると今アルテミスはカフェ・ド・セリーナで側近のカール君という者とお茶をしているらしい……何か策はないだろうか……」


「えっ? カール君? ミカエル様、知っております!そのカール君とは面識があります……以前妖精の国でレストランへ行く道を教えてさしあげて意気投合し知り合いになったのです」


「なんと! それは好都合ですね‥ではお願い出来ますか?」


「はい、分かりました……ではこれからカフェ・ド・セリーナに向かうことにいたします……あっ、ミカエル様一つご報告させてもらってもいいですか?」


「何でしょう」  


「はい……小隊長ヒナスタシアに頼まれ任務を手伝っていたのですが、今その捜査対象のユーカリスがカフェ・ド・セリーナで働いています」


「ユーカリス……そうですか……私が特別に目をかけていたのにアルテミスの手先となって私を裏切る形となった者……」


その時不意にヒナスタシアが現れた


「久しぶりね、アンナ……お疲れ様」


「ヒナスタシア!久しぶり……元気だった?」


「ええ……私はいつも元気いっぱいよ……あっ、ミカエル様、報告遅れていましたがその事についてはアンナに代わり私がご報告します」


「ヒナスタシア……私に内緒でアンナに手伝ってもらっていたのですか?」 


「いえそんな……ほんの少しです! ほんの‥」


「まあいいです……それで報告とは?」


「はい、まずユーカリスがはめていた黄金のソロモンの指輪ですが……」


「ああ! ソロモンの指輪……無くしたと思っていましたがユーカリスに授けていたのでしたか」


「はい、そのソロモンの指輪はアリーシャに渡った後、今はエルフの国のソラファ王女の手元にあるようです」


「なるほどそうでしたか‥……でもまあ……あの指輪はいいです」


「そうですか……あとはユーカリスをマークしていて分かった事はカフェ・ド・セリーナが女神アルテミスの命令により、スパイの拠点になっていたことです……ユーカリスは店で得た情報を女神アルテミスに逐一報告していたようです」 


「ほう‥それは興味深いですね……あのアルテミスが……」


「はい……あっ、ミカエル様はぶどう村をご存じですか?」


「ああ、知っています……たしか天界の門の真下にある村で表向きはアルテミス崇拝を装いアーサー王国に染まるフリをしている村ですよね」


「そうです……しかし私がぶどう村で遊び……いえ調べた結果、大変な事が分かりました」


「それは何ですか?」


「はい、実はぶどう村にはシャン一族という一族がいまして……どうやらぶどう村の中でシャン一族だけは本当に女神アルテミスを崇拝しているらしくその一族の3名の者が女神アルテミスの手先としてスパイ活動をしているらしいのです」 


「その3名とは誰なのですか?」


「はい、そのぶどう村出身の3名とはカフェ・ド・セリーナの店長カゴシャンと今女神ヘスティアと共にいるプーシャンと女神アルテミスをぶどう村に引き入れ村を調査をさせたムーンシャンの3名です」


「なるほど……シャン一族ですか……それは放ってはおけませんね……その件はヒナスタシアに一任します……引き続きユーカリスとその周辺を調査してください」


「分かりましたミカエル様」


「ではアンナ頼みましたよ……ヒナスタシア帰りましょう」


大天使軍アークエンジェルス総司令官大天使ミカエルはアンナに優しく微笑むと天使ヒナスタシアと共にその場から消えた……アンナはその後大空をしばらく見上げていたが決心がついたのかフーッと息を吐いて歩き出したのだった……





俺は最新式小型空浮艦ココアサンドラ号の自分の部屋に入った……


そこには俺がいた……いや俺そっくりのもう一人の俺がいた


「リュウト君、じゃああとは任せた……行ってくる!」


「ほんとにいいんですか? ルキ様……あとでセリーナ様にどつかれますよ……」


「いいのいいの! じゃあ行ってくるから」


「はい、いってらっしゃいませ」


俺はテレポートし再びアレスの店の駐車場に降り立ち言った


「さあ、モモーナに会いにいこう!」


部屋にいた俺そっくりな人物は俺に変身したリュウト君だったのだ


俺は思った


俺の使い魔ミニドラゴンのリュウト君‥忠実で強くて優しくて……最高だな!


今度最高級のおやつをあげようっと!


そして俺は意気揚々とコーチス大使館に向かって歩き出したのであった……



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