淫魔サキュバスのエムプーサ……冥界の兵士スケルトンを倒す
アーサー王国の西の街シコークスシティで女神ヘスティアと別れた淫魔サキュバスのエムプーサは辻馬車乗り場にやってきた
すると辻馬車の御者と思われるおっさんが一服している
エムプーサはおっさんに尋ねた
「ねぇ、この馬車はどこまで行くの?」
「ん? この辻馬車はシコークスシティの北にある酒の街バッカスシティまで行くよ……もうすぐ出発だから乗りたいんならどうぞ」
「酒の街か……行ってみるかな」
エムプーサはそう言うと辻馬車に乗り込んだ
席は10席ある……エムプーサは一番後ろの席に座った
乗り心地は良くない……窓を開けると重く軋んだ音がした
御者のおっさんが御者台に上がるとエムプーサに言った
「じゃあ出発すっから」
どうやら客はエムプーサだけらしい
辻馬車は動き出した
ガタガタゴトゴト……
乗り心地は最悪だった……
周りの景色も深い森で薄気味悪い
どれくらい時間が経っただろう
エムプーサがうとうとし始めた時突然叫び声が聞こえた
「お客さん! お客さん! 逃げてください! 骸骨が……骸骨が……」
その声にエムプーサが目を覚ますと目の前には御者のおっさんが震えていた
さらにその前方を見ると馬の前に骸骨の怪物が立っていた
180cmくらいだろうか……その手には長剣と盾を持っている
エムプーサは思った
あれは冥界の兵士スケルトンじゃないの……どうしてこんな所に……
エムプーサはゆっくりと辻馬車を降りた……
「ちょっとあんた! 私は冥界の女神ヘカテー様の側近でエムプーサよ! 分からない?」
だが冥界の兵士スケルトンは興奮した様子で肩で息をしている……
「どうやら、逃亡スケルトンのようね……仕方ないわね……」
エムプーサはスケルトンに向かい歩いていきながら腰の剣を右手で抜いた
スケルトンはエムプーサの剣を見た途端長剣を振りかざし力一杯エムプーサに切り掛かってきた
エムプーサはそれを剣を持った右手一本で軽々受け止めた……顔はニヤついている
スケルトンの長剣を持つ手はさらに力が入りプルプルしている
エムプーサはため息をつくとスケルトンの長剣を振り払いそのままスケルトンを一刀両断にしたのだった
エムプーサは剣を鞘に収めると辻馬車に乗り込み震えている御者のおっさんに言った
「もう大丈夫よ……さあ行きましょう」
それからしばらくして酒の街バッカスシティにつくとエムプーサは金を払い辻馬車を降りた
街は酒のにおいがしている
エムプーサは街の中心に向かって歩き出したが、すれ違う連中は皆陽気だった
ドッカーーン!!!!!!!!
突然ものすごい音がして地面が揺れた
だが周りの連中は歓声を上げている
エムプーサはそばにいた人族の男に聞いた
「この音と揺れは何なの?」
するとその人族の男は言った
「ああ、これはこの街の北にある大酒山の噴酒だよ」
「噴酒? 噴酒って何?」
「噴酒ってのは噴火みたいなものさ……ただ大酒山の火口からは大量の熱々の酒が凄まじい勢いで飛び出すのさ」
「へー、まさに酒の街ね」
「ああ、この街は有名な温泉地だ……酒風呂は最高だぞ……あっ、そうそう……この先に酒風呂の足湯があるから行ってみるといい」
「ええ、ありがとう……行ってみるわ」
エムプーサは人族の男と別れ教えてもらった足湯にきた
湯気と共に酒の強烈なにおいがする
ミニスカートのエムプーサは靴と靴下を脱ぐと足湯に足を入れた
「あーー、気ーもっちいいーー!!!!」
エムプーサは一気にテンションが上がり疲れが吹っ飛ぶような気がした
そのテンションのまま周りの客を見るとあることに気がついた
「あれっ? 周りにいる人族の若い男たちってみんな肌が綺麗でイケメンばかりじゃないの!!!!!!」
そう言った後、いつまでもニヤニヤが止まらない淫魔サキュバスのエムプーサであった……




