軍神アレス怒る……そして棚ぼた
突然マリアが叫んだ
「ルキ、巨大な手が船体を掴もうとしてるわ」
俺が前方の大型モニターを見ると巨大な手が迫っている
その巨大な手の先を見ると、怒りに満ちた巨大な顔があった
「あっ、アレス様!!!!」
その今にもココアサンドラ号を掴もうとしている身長200mはあろうかという大巨人はオリンポス12神の一柱、軍神アレスだった
俺はマリアに言った
「何か対抗するものはないのかよ、マリア!!!!」
「もう攻撃は遅い、とにかく船体の外側に防御シールドを張るわ」
シールドを張った5秒後、ものすごい衝撃と共に船体が激しく揺れた
マリアが叫んだ
「ルキ、このままだと、この小型空浮艦は持ちこたえられない……」
その時である俺の頭の上に誰かの気配がした
俺は上を向いた
そこには虹の女神イーリスがいた……
虹の女神イーリスは言った
「ルキ、久しぶり、アレス様には私が伝えてくるから待ってて」
「ひ、久しぶり..……っていうか、いつの間にどこから入って来たんだよ……」
「まあそれはいいから..……時間がない、行ってくるわ」
そう言うと虹の女神イーリスは消えた
そしてマリアが言った
「ルキ! あれを見て!」
俺が大型モニターを見ると大巨人の軍神アレスの耳元で虹の女神イーリスが何やら喋っている光景だった
「何だと!!!!!!!!」
ものすごい雷のような軍神アレスの声が聞こえたかと思った次の瞬間、ガクンと船体が揺れた後、マリアが言った
「ルキ、助かったわ、巨大な手が、どんどん離れてく……」
マリアはそう言うとすぐに小型空浮艦ココアサンドラ号の船体の周りに張っていた防御シールドを解き、草原の中にあるササーヤンマートから少し離れた場所にココアサンドラ号を降ろした
俺とマリアがホッとしていると突然後ろから声がした
「マリアとやら、船体下部にある入口を開くのじゃ」
「は、はい、分かりましたヘラ様」
マリアが入口のエレベーターを開くと小さくなった軍神アレスが乗り込んだ
小さくなったといっても十分大男だが..……
そしてコックピットの後ろにあるエレベーターが開き軍神アレスが出てきた……そのまま軍神アレスはコックピットに入ってきて急いでヘラ様にひざまづいた
「これはこれはヘラ様、こちらにいらっしゃるとはつゆ知らず……」
「よいのじゃ、全てわかっておるのでな」
「で、ココアサンドラ号を盗んだ犯人はルキということですな」
それを聞いた俺は間髪入れずに言った
「いや、俺は犯人じゃねーし……なんなら俺がココアサンドラ号を取り返したみたいなものだし!!!!」
俺はほんの少しだけ話を盛った……
だが軍神アレスは信じた……
「なんと! ルキがココアサンドラ号を取り返してくれたのか!!!!!!」
「は、はい……取り返してやりました……」
「おお、でかした! それで犯人の顔は見たのか?」
「いや、そ、それが、見てなくて……」
「そうか、まあそれなら仕方ない……とにかくワシでさえ取り逃した強者からよくぞ奪い返してくれた!!!! これで我が娘、ココアサンドラの名誉は守られた! 礼を言うぞ、ルキ!」
「はあ、恐れ入ります……」
「あの子にはまだ小型空浮艦は早かったようだ……」
「えっ、そうなんですか、でも、まあ、とりあえずココアサンドラ号はココアサンドラさんにお返ししますね」
「いや、ルキ、ワシはお主が気に入った!!!! このココアサンドラ号はルキにやる!。もらってくれ! ルキよ、ついでと言ってはなんだが我が娘ココアサンドラも、もらってはくれぬか?」
「えっ、そ、それはどういう?」
「いや、その、なんだ……ルキはココアサンドラの事はどう思ってるのだ?」
「どうと言いますと?」
「つまり、あれだ、ワシはルキのような強い男が息子になって欲しいのだ!!!! ガハハハハ」
すると突然ヘラ様が話に割って入ってきた
「わらわは、ルキとココアサンドラの交際には反対じゃ……アレスよ、用が済んだらオリンポス山に、はよう帰るのじゃ、アフロディーテとココアサンドラが待っておるのじゃろ?」
「あっ、そ、そうでした、早くこの事をココアサンドラ達に伝えてやらねば……ではヘラ様、失礼します……ルキ! ヘラ様は反対らしいが、ココアサンドラの事、よーく考えとくんだぞ!」
そう言うと軍神アレスはココアサンドラ号から出て行ったのだった
俺は思った……ココアサンドラ……美の女神アフロディーテの娘……言葉では言い表せないほど可愛い……そのココアサンドラと付き合って結婚? いやいや、そんな事考えたってね……ヘラ様に反対されたら無理に決まってるし……あれっ、俺、いつの間にかココアサンドラとの結婚を考えてるじゃん、あはは……
俺がボーっとしてるのを見たヘラ様が言った
「ルキ、ココアサンドラ号をもらえて良かったの、ここに住むのでおじゃるか?」
「えっ、うーん、たしかに居住スペースは3LDKでゴージャスだし、住んじゃおうかな」
「よし、ではわらわもここに住むことにするぞよ!」
「えっ……」
「ダメとは言わぬであろうな、ルキ」
「う……は、はい……」
そのちょっと怒ったような表情の中にも魅力的な可愛さが見え隠れする……そしてその眼差し……そんな目で見つめられたらどんなことも断われないっス……ヘラ様……




