ユーラユーラ社の社長ユーラと7セットのアクセサリーの秘密
「それが、巨大なカエルの魔獣に乗った少女が建設反対のプラカードを持ってビーチに居座っているのです……しかもその周りには、たくさんのカエル達でびっしりビーチが埋め尽くされています」
「えっ……」
フラッ……
アリーシャはその光景を想像しただけで立ちくらみを起こし崩れ落ちたのだった
だがすかさずサーラがアリーシャを抱きとめた
「アリーシャ様、大丈夫ですか?」
「え、ええ、大丈夫……でも私は行かなくてもいいかしら……」
「いえ、いらしてください………現場監督が待っています」
サーラは相変わらずスパルタだ……
「分かったわ……あっ、でも先に行っててくれる?私もすぐ行くから」
「分かりました、では先に行っています」
そう言うとサーラは建物の外へ行ってしまった……侍女もいなくなり、今アリーシャ以外誰もいない……
いや、いた……物陰から1人の女性が出てきた
アリーシャはその女性に近づき言った
「セリーナ……ごめんなさい、呼び出しておいて悪いけど、ここで別れましょう……誰かに見つかるといけないから……
「そうですね、アリーシャ様、ではそのように……」
その女性はアイスの魔女セリーナだった
セリーナは自分がオーナーの店、カフェ・ド・セリーナに帰ったあと姪の魔女見習いアーヤと無事再会し、アーヤの面倒を見てくれていた魔法王国、国立魔法学院の教師ユーナにお礼を言い、ユーナは魔法王国に帰って行った
その直後、アリーシャから店に連絡がありアリーシャの元に来ていたのだった
アリーシャは続けてセリーナに言った
「いろいろ教えてもらってありがとう……これはお礼よ」
そう言うとアリーシャはセリーナに6セットのイヤーカフとネックレスを渡した
「ありがとうございます、こんな素敵なアクセサリーを頂けるなんて光栄です」
アリーシャはその言葉を聞くと急に真剣な表情になり言った
「実はこの事はみんなには内緒にして欲しいの……」
「なぜですか?」
「実は……今まで連絡に手間取って困ることが多かったでしょ、セリーナの使い魔のホーちゃんもいつも大変だし……」
「たしかに……」
「そこで……あっ!ちょっと待ってて、呼んでくるから……」
アリーシャはそう言うとどこからか一人の女性を連れてきた
「セリーナ、紹介するわ、私の親友のユーラよ」
「はじめまして、セリーナ、私はユーラ、アリーシャ公国の宰相の娘で、ユーラユーラ社の社長をしています」
「えっ、あの有名なユーラユーラ社の社長?」
ユーラユーラ社とはアーサー王国の魔術省と双璧をなす、この世界トップクラスの最先端技術会社だ
俺が今乗っている最新式小型空浮艦ココアサンドラ号もユーラユーラ社製だった
ユーラはアリーシャ公国にあるユーラユーラ社の社長でアリーシャ公国の宰相の娘であった
もちろん将来はアリーシャと共にアリーシャ公国を支えていく重要人物になるであろう女性だった
ユーラは言った
「セリーナ、このアクセサリーは我が社で開発中の試作品でトップシークレットなんだけど、アリーシャに頼まれちゃって仕方なくだから、くれぐれもそれを着ける6人以外はこの秘密を口外しないでね」
「わ、分かったけど、一体どういうものなの?」
「ええ、これはね簡単に連絡が出来る道具なの……ネックレスの周りに1から7までの数字があるでしょ、そこに真ん中の宝石の先を連絡したい相手の数字に合わせるとその相手と話せるというわけよ……相手の声はイヤーカフから聞こえる仕組みよ……ネックレスの裏に数字が書いてあるから見てみて……アリーシャが1番のネックレスを着けてるからセリーナは2番のネックレスを着けてね」
セリーナは驚嘆しながらネックレスとイヤーカフを着けアリーシャに言った
「アリーシャ様、ありがとうございます
これで仲間達との連絡がスムーズになります」
「喜んでもらえて良かったわ……私もセリーナに、このホテルの仕掛けをいろいろと教えてもらえて助かったわ……では私はサーラに呼ばれていくので行くわね」
「はい、アリーシャ様」
セリーナはそう言うとアリーシャとユーラに会釈をした後、魔法の杖を取り出し振ると、次の瞬間にはもうその場にはいなかった……




