エルフの国の女王……姪の公爵令嬢アリーシャの為にエルフ湖のそばにホテルを建設中
ドッボーン!!!!!!!!
その巨大で奇妙な物体は、突然、空から俺達がいるビーチの目の前の海へ落ちてきたのだった
今から2時間ほど前のこと……ここから北東にあるエルフの国で1番大きな湖にあるビーチに1人の美しい女性が湖を見ながら佇んでいた……
湖のほとりでは大勢のエルフ達が建物をたてる為に働いている……皆働きながら、その美しい女性の後ろ姿をチラチラ見ていた
突然その中の現場監督と思われるエルフの男が、その美しい女性に近づき声をかけた
「アリーシャ様、もうすぐエルフレイクサイドアリーシャホテルが完成しますので最終チェックをお願いします」
「分かりました、すぐに行きます」
振り返った美しい女性はアリーシャ公国の令嬢アリーシャだった
アリーシャは、優雅に歩きながらエルフ達に優しい微笑みを浮かべ建設中の建物の中に入って行った……
公爵令嬢アリーシャ……
アーサー王の親戚でありながら側近である王族の一人……アーサー王国の公爵であるアリーシャのパパは、アーサー王国の隣の国をアーサー王から治めるように命じられた
アリーシャのパパは、その国を愛する娘の名前を取ってアリーシャ公国と名付けた
元々アリーシャのパパは人族の大富豪であったがエルフの国の女王の妹と結婚してアリーシャが生まれた
アリーシャはハーフエルフなのである
当然の如く、アーサー王国とアリーシャ公国とエルフの国は深い絆で結ばれており友好国である
よってエルフの国の女王の娘であるソラファとは従姉妹である
今回アリーシャはエルフの国に外遊という名目で羽を伸ばしに来た際、いつでも気軽に遊びに来られるように、アリーシャの叔母であるエルフの国の女王が、アリーシャの為にエルフ湖のほとりに、アリーシャの近衛兵や側近達も一緒に泊まれるようにホテルを建設してくれることになったのである
ただホテルといいながらも外観はお城そのものの様相を呈していたが…
しかも今回、夏からアーサー王国の海軍士官学校に留学する事が決まったのでタイミングも最高だった
なぜなら海軍士官学校があるアルテミスシティ南部に生活拠点を置くと、アリーシャを密かに護衛する親衛部隊がアリーシャを守りにくいからである
まさに一石二鳥のタイミングであったのだ
エルフの深い森に囲まれ大きな湖のそばでお城のような頑丈な作りのホテル
アリーシャを守るにはまさに最高の環境であった
ただ一点お城の周りに施された、まるでアリーシャ公国にあるテーマパーク、アリーシャランドのような遊び心満載の奇妙な物がたくさん建物の外側に取り付けられているのが、見るものを不思議な感覚にさせるのであった
突然建物の外からエルフ達の怒鳴り声が聞こえた
アリーシャは声のする方を向いた……と同時にアリーシャの侍女がやってきた
「お嬢様!大変な騒ぎでございます」
「どうしたの?外が騒がしいようだけど」
「はい、何やらエルフの男達が湖のそばに集まって騒いでいるようです」
「アリーシャ様!」
少し遅れて、精悍で凛とした中にも、どこか妖艶な美貌を兼ね備えた女性がやって来た……
それは、アリーシャ直属近衛兵団の隊長でありアリーシャの側近……またアリーシャ公国軍では参謀で猛将のサーラであった
「アリーシャ様、ちょっと来てください
カエルが……」
「えっ、カエル? カエルがどうしたの?」
アリーシャは少したじろいだ……
「そ、それが……」
アリーシャは固唾を飲んでサーラの言葉を待った……
なぜならアリーシャはカエルが苦手だったのである




