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責任転嫁



そして俺は家に帰って、階段上ってすぐのところにある自分の部屋でダラダラしている。

何も考えずに天井を眺めていると昼見たあの光景がよみがえる。実力も、友達も全てにおいて俺は秀に負けていた。


「あーあ、どこでこんなに差がついちゃったのかな」


昔はあいつに友達がいなかったからよく俺に「一緒に遊ぼ」なんて言ってきたあいつが今では学校ではたくさんの人間に囲まれて、部活では入ったばっかの1年なのに頼られて、それに比べて俺はどうだ。俺な周りには誰もいなくて、誰かから頼られることなんてなくて、親からも見捨てられて。

全くの逆じゃないか。

本当に嫌になる、俺と秀との距離を考えれば考えるほど、でも考えたくなくてもやってしまう。


「俺はやっぱり呪われてるな」


なんて少し厨二臭いことを言いながら鼻で笑った。

考えすぎで頭が痛くなって食欲が無くなったので三葉さんに夕食はいらないと伝えてその日はシャワーを浴びて寝た。


アラームで起こされる。

いつもの決まりきった、アラームを止め、布団から身を起こし、カーテンを開けるという行動をとる。

いつもの行動の際、腕は多少は痛むが昨日ほどではなく、無理のない練習ならできる程度だった。今日は三葉さんがいないので俺が朝食を作る日だ。俺は顔を洗って部屋に戻って制服に着替えた。


「今日もいつも通り卵焼きと味噌汁とご飯にしようか、いや卵焼きではなく目玉焼きか、どうしようかな」


俺は今日の献立をどうするかを考えながらキッチンに向かった。とりあえず食材を確認するために冷蔵庫を開けた。


「三葉さん色々買い足してくれてるな。ありがたい。これだけあるならもう少し何か増やすか」


いつもの献立である卵焼きと味噌汁は作ろうと考えた。


「確か冷蔵庫にほうれん草があったはず。お、あったあった。あとは麺つゆと」


冷蔵庫の隣の棚を開けて袋を二つ取り出す。


「ゴマと鰹節、これでほうれん草のおひたしでも作って、あとは納豆あるしこれも出すか」


誰かが起きたらしく階段から足音が聞こえる。多分あの人だろうけど。

俺は気にせず朝食の準備を続けた。

少しして足音の主がキッチンに入ってきた。俺は振り返って言った。


「父さん、おはよう」

「………」


やっぱり父さんだった。秀はこの時間に起きることはほとんどないから。父さんはいつも通り俺を無視する。もう1年以上まともに話してないな。

それからまた少し経って俺がご飯をよそっている時に秀が起きたのか階段から足音が聞こえる。秀はいつも朝食が出来上がるあたりで起きるやつだ。


「兄さん、おはよう」

「おはよう」

「悪いねー、いつも飯作ってもらって」

「別にいいよ、だって好きでやっていることだしそれにお前ら料理作れないだろ」

「そうなんだよね、僕も父さんも壊滅的なんだよね」


実は俺が料理を作っている1番の理由は俺以外誰も作れないからだ、2人に料理を作らせるとどんなに簡単な料理でも全く別の物質へと変わる錬金術が起きてしまう。


「そろそろできるから、早く顔を洗って席について」

「はーい」


秀が顔を洗い終わって部屋に行く数分後に準備ができたので持っていった。


「はい、朝飯できたよ」


皿をキッチンから持ってきて並べる。秀が少し驚いたように言う


「兄さん、今日はいつもより多いね」

「三葉さんがいろいろ買ってきてくれたからね」

「三葉さん、マジ感謝」


秀はそう言って合掌した。全ての皿を並べ終えていただきますと言って朝食を食べた。

その後は秀と話しながら朝食を食べて洗い物をして学校に行った。

そして授業を聞いたり聞かなかったりして学校が終わり家に帰る。帰り道、グレーとかいう猫がいるかなと思って注意しながら帰っていたがどこにも見当たらなかった。帰って今日は気分なので夕飯を作る。ご飯を作るのは俺の趣味なので別に強制ではない、なければ各々で適当に食べるのが我が家では普通である。

俺は鞄を置きに行くのと着替えに行くために自室に戻った。鞄と制服をそこら辺に投げ捨てて引き出しから適当に服を探す。このあと外に行く用事もないので引き出しを開けて1番前にあったズボンとシャツを取り出して着た。

部屋で用事を済ませて俺はキッチンに向かおうと扉を開けると父の書斎から話し声が聞こえた。気になって階段とは真反対の方向の書斎の前に行って、盗み聞きをした。


「そうか、来年には退院できそうなのか」


父さんの声に喜怒哀楽はなく機械的だった。


「……秀は元気だ。拙は知らん」


なんで秀だけなんだよ、俺も見ろよ。秀に勝つために日々努力している、可能性のある俺を見てくれよ。


「拙に優しくしろだと?……」


俺はその先を聞きたくなくて自分の部屋に逃げた。

さっきまであったやる気は全て消え去った。

今来ている服を脱いで練習着に着替えて木刀を持って道場の方へ走った。秀と比べられて悔しくなったからではない、体を壊して記憶を薄めたいと思ったからだ。

道場の扉を開けるとそこには秀が剣を振っていた。


「あ、兄さん!今から練習?」


俺の気も知らず秀はヘラヘラした顔で剣を振っている。


「あぁ、そうだよ」


そんな秀にイラついたのだろうか、それとも早く結果が欲しいのだろうか、もしくは誰か本心から認められたいのだろうか。わからないけどこんな言葉が漏れた。


「なぁ、秀、週末模擬戦やろうって話したよな」

「うん、したよ」

「今やろう、ちょうど2人揃ってるわけだし」

「え、いいけど。急だね、それに兄さん今焦って見えるけどどうしたの?」

「どうもしてないよ」


秀は妙に勘がいいところもムカつく。


「時間は今から30分後いいな」

「いいよー」


今度こそぶっ潰してその余裕を消してやる







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