可哀想な僕
キーンコーンカーンコーン
始業のチャイムが鳴った。6限は確か総合だったけ、何するんだろ。なんでもいいけどもう帰りたいな、さっきの授業のあれで絶対に僕の元々低かった評価さらに下がったし。
あーあ今日の出来事、全部無かったことにならないかなぁ。そんな事を考えていると担任の先生が入ってきた。
「それでは6時間目の授業を始めます」
授業開始の挨拶をして総合の授業が始まった。
「じゃあ、今日であなたたちは中学3年生になって1ヶ月ぐらい、クラスにも馴染んできて落ち着いてきていると思うので総合の時間は今年の目標をみんなに発表してもらいます」
は?今なんて言った。
自分の目標をみんなに発表するだって。先生は拷問の趣味でもお持ちか?
クラスに馴染むどころか友達1人いない俺にその授業は拷問いや死刑とほとんど変わりない。そうやって絶望してる俺なんてお構いなしに先生は説明を続ける。
「じゃあ今からプリントを配るから、そうだなあの時計で20分になったら1番のやつから発表していこうか」
俺の元にプリントが回ってきた。
おかしい、白紙のプリントのはずなのに俺には死刑宣告書に見えてしまう。
書きたくないけど書かずに前に出て、まだ書いてないです、なんて言うのはもっと恥ずかしい。取り敢えず何か書こう。そう考えてペンを持つ。
俺の目標か、何かあるだろうか。
剣術をもっと上手くなる事?
いや流石に単調すぎるよな。
弟を超える事?
それをみんなに言うのは恥ずかしいな。
いろんな人と仲良くなるとか?
いやこれ言ったらきっとみんなに馬鹿にされる。
考えた案がことごとく何かしらいけない点があるように感じてしまう。考えては却下、考えては却下を繰り返しているうちに時間は残り5分だった。
どうしよう、もういっその事1番無難な「剣術を上手くなる」にしようかな。
残り時間も僅かだったからそれを書こうとした寸前、ペンが止まった。
「なぜ兄であるお前が弟に負けるのだ。2年多く練習しているお前が何故負けるのだ。これ以上負ければもうお前に価値は無いぞ」
なんでこんな事思い出すんだろ。
そういえば父さんと話したのどれぐらい前だっけもう2年以上まともな会話をしていないかな。父さんの中で俺の価値はその辺と石ころ同等になったかもしくはそれ以下か。父さんに認めてもらうために必死に剣を振って振って振り続けたけど結局負け続けて、俺の価値を失い続けて、最近は俺の今までの努力にも価値があるのか怪しいな、なんて考え始めちゃっているな。
「あと1分なー」
気づいたらペンは動いていた。
今年かどうか分からないけどいつかこの目標を達成したいと感じたものを紙に書いた。
「それでは1番のやつから発表したいけー」
「えーと僕の今年の目標は……」
こうして僕の番がやってきた。




