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本の虫令嬢は竜騎士様の最愛つがい  作者: 氷雨そら


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23/23

図書館と結婚式 2



 二人の結論として、図書館の名前は二人の名前を掛け合わせて『アーロミリア』となった。


「逆に恥ずかしくはないですか?」

「そう? 俺は、幸せだ」

「…………そうですか。それなら仕方ないですね」


 ギュッとアーロンの腕にミリアが抱きつくように、腕を絡めた。

 目の前には、赤く長い絨毯が引かれている。


「騎士団長に、宰相、上流貴族……。このあと国王陛下までいらっしゃると聞いたのですが、本気ですか?」

「招待してもいないのに、よくもまあこんなにたくさん押しかけたな」


 主賓席で、ミリアの家族がいたたまれないとでも言うように、肩を縮めている。


「それが、竜騎士様がこの王国に及ぼす影響というわけですね」

「……そうかもな。この国は、なぜこんなにも魔獣に狙われるのか。俺がいなかったら、たぶん三度は滅んでいる」

「……私」


 それはつまり、この国にとどまる限り、アーロンは戦い続けなければいけないということだ。

 ミリアは、この国が好きだ。家族が大切で、離れたら滅ぶかもしれないのに、アーロンとともに竜の国に行くなんて出来ない。


 本当なら番を見つけたアーロンは、自由になれるはずなのに。


「アーロン様を守ります」


 国王陛下から受け取った本には、遠くにいても番の回復を助けることが出来る方法が、記されていた。

 それは、今夜二人の間で実現するだろう。


「……俺の台詞だ。ミリア、君を守れることが俺の幸せなのだから」


 少し早い、誓いの口づけを軽く交わして、二人は前を見た。

 扉から国王陛下が現れて、正面の宣誓台に上がった。


「国王陛下自ら、宣誓を受け付ける気なのでしょうか」

「うーん。俺もこれは予定外だ」


 壇上からこちらを見下ろす国王陛下は、口を歪めてとても楽しそうだ。


「普段、こんな周囲を困惑させること、するお方ではないんだけどな」

「意外と好きになれるかもしれません」

「……俺以外を好きになるなんて、ダメだ」

「ふふ。名付け親になるお方ですから」


 アーロンの右腕に腕を絡めたまま、そっと見上げたミリア。

 赤く染まった耳は、アーロンが照れている証拠だ。


「君を妻に出来るなんて、最高に幸せだ」

「……私もです」


 二人は、図書館の中央に引かれた赤い絨毯の上を歩き出す。

 祝福するように天窓から光が降り注ぐ。

 それは、番という運命を抜け出た、二人の幸せな毎日の始まりを告げていた。

最後まで、お付き合いいただきありがとうございます。下の☆を押しての評価やブクマいただけるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アーロン様の贈り物!すごいです!私もほしい〜ミリアが羨ましいです♪ 素敵な結婚式ありがとうございました*\(^o^)/*
[良い点] ハッピーエンドで良かった、変な陰謀もなく楽しく読めました。 [一言] 余裕があればその後とかも期待です。
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