表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本の虫令嬢は竜騎士様の最愛つがい  作者: 氷雨そら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/23

図書館と結婚式 1



 ***


 そして、訪れた美しい花嫁と、誰よりも強い孤高の竜騎士の結婚式。

 結婚式には、ミリアの両親と兄はもちろんのこと、国王陛下や、重鎮達、騎士団の上層部とそうそうたる顔ぶれが招待されている。


 しかし、今回の結婚式で一番話題になっているのは、招待客についてではない。


「……本当に? ここで、結婚式するのですか?」


 眼鏡を外しているミリアは、それでもアーロンと共有した視力でよく見える視界の中、唖然として周囲を見渡した。


 結婚式は、通常神殿で執り行われる。

 けれど、どう見てもここは……。


「遅くなってすまない。結納の品だ」

「えっ、この建物もしかして」


 どこから資金は出てくるのだろう。

 アーロンは、建ててしまったのだ、まるで先日の約束を実現させる第一歩とでも言うように。


「君に捧げる図書館だ」


 ぽかんと口を開けた姿は、少し間抜けでとても可愛い、とアーロンは満足げに頷いた。


「すぐには建ちませんよね?」

「ふふん。君と出会ったあの日から、すぐに準備を始めた」

「えっ」


 やはり、竜人の番に対する愛は、理解するのが難しい。


 どこまでも高い本棚は、はしごがなければ上の方の本を取ることが出来ない。

 重厚な造りなのに、全体的に明るいのは、天井にもうけられた窓のおかげだ。


 直射日光で本が傷まないように、必要なときだけ開くことが出来る天窓。


 そして、ぐるりと高い本棚に囲まれたスペース。

 今は、結婚式のためにところせましとご馳走が並ぶ。


「アーロン様、この贈り物は、あまりにも豪華すぎます……」

「そうか、それならば、一般開放すれば良い」

「え?」

「君の名を付けよう。誰でも本を読むことが出来る場所だ」


 普段と違って、美しく見えるように化粧をしてもらっているのだ。

 泣かせにくるのは、やめて欲しい。


「人生で一番嬉しい贈り物です」

「そ、そうか」


 嬉しそうにアーロンが笑う。

 けれど、ミリアには一つだけ言いたいことがある。


「アーロン様」

「……私の名前をつけるのは、恥ずかしいのでやめてください!」

「っ、それは譲れない!」

「いたたまれなくて、図書館に来られません!」


 その結果、二人は初めての夫婦げんかかな? というくらい、真剣に議論することになった。

最後まで、お付き合いいただきありがとうございます。下の☆を押しての評価やブクマいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ