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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とりあえず、勇者を殴った。

作者: *bank*

 罪人の名は、ヴィレン。

 農民の生まれにして類まれなる戦闘センスを買われ勇者パーティーへと入る事が許された男。

 その功績は凄まじく、攻めてきた魔族を単独で退け魔王軍によって包囲されていた町を解放する等、多くのことを行ってきた。

 彼に助けられた人は数知れず。

 だが、そんな彼の功績もたった一つの罪の前では意味がなかった。


 「―――今日は、これくらいで許してやる。明日も楽しみにしているんだな」


 バタンっと大きな音を立てて閉められた扉の中、両腕を鎖で吊るされた一人の男―――ヴィレンが牢獄の中で座っている。

 体中に鞭の跡が残り、所々からは血が流れている。

 食べ物も与えられず痩せこけた彼の顔にはかつての勇者パーティーで活躍していた農民の面影が少しばかりだけ残っていた。

 彼以外誰も居なくなった牢獄の中はとても静かで、上空に付けられた換気窓から入ってくる町の喧騒が小さく聞こえるだけだ。

 ヴィレンは何も発することはせずただひたすらに一点を見つめる。

 牢獄の床へと染み込んだ自らの血の跡を―――。




 ◆




 一般の者が入ることは許されない王城にある謁見の間にて、堂々と国王の前で胡座をかいて座っている者が一人。

 先日、魔王を討伐せしめたその男の名はシュウ。

 王家に伝わる召喚の魔法陣によって呼び出された異界の人間にして、勇者の名を冠する偉大な英雄である。

 この世界では珍しい黒髪黒目という見た目で一躍老若男女を問わず人気者になった彼は、謁見の間の屋上を眺めながら自らの左の頬をさする。

 そこにはうっすらと赤みを帯びた頬がその存在を主張していた。


 静かに開かれた謁見の間の扉から一人の女性がシュウへと近づいていく。

 薄緑色の髪と瞳が穏やかな印象を与える彼女は勇者パーティーにおいて数々の魔法を駆使して活躍した魔道士―――リィンという元冒険者だ。

 王家専属魔道士が歳のせいもあり長旅が無理だと判断した王が、王国で一番の腕利きとされたリィンを勇者パーティーへと加入させた。

 容姿、実力共に勇者パーティーに相応しい彼女はすぐさま元の知名度に加えて人気を博し、今では知らない者はいないほどの有名人へとなっていた。


 かの魔王を倒した者は全部で三名。

 勇者シュウ、魔道士リィン、そして雑用ヴィレン。

 民衆はこのヴィレンの存在を王国の歴史の中に入れていいものかと不満を持ってはいるが、国王の決めた事だからと渋々従っている。

 彼らからしてみれば勇者達の力を借りて功績を残してきた所謂コバンザメの様な認識なのだから仕方ない。

 王国に帰還してきた日のパレードの時にも一人だけボロボロだった彼へと感謝の意を述べる者はおらず、皆が無傷でキラキラと輝いているように見える勇者と魔道士へと目を向けていた。

 強大な魔王を倒し、無傷で帰還してきた最強の勇者パーティー。

 そう認識した彼らにとってヴィレンの存在はちっぽけな物になっていて、視界に映っていたかも定かではない。

 そんな雑用はヴィレンを帰還した日から王都で見かけた者はいない。

 王城の兵士でさえ入るところは目にしていても出てくるところは一切見ていない。

 どれだけ勇者パーティーへの憧憬が強くヴィレンへの意識が酷薄でも出入りする者を見逃すはずがない。

 それなのに勇者、魔道士とその姿を見かけても雑用だけは目にしていない。

 彼は知らないのだ。

 かの雑用が、今は罪人となって囚われていることを。


 「ヴィレンは、どうなったの?」


 かけられた声に其方を向かずに勇者シュウは言葉を返す。

 二人しかいない謁見の間に響く声はどちらも未だ若さが残るものだ。


 「まだ生きてるってさ」


 「そう……」


 少なくともそこには仲間だった者の現状を確認して安堵したりするような様子はない。


 「“英雄シュウを殴った罪人”……ね。まあ、そんな名前で出てきたのが元勇者パーティーだったら私まで裏切り者扱いされるから待つしかないけど、随分と頑丈なのねアイツ」


 腕を組みその豊満な胸を押し上げた魔道士リィンは、冷たい目で牢獄があるだろう方向へと目を向ける。

 長い薄緑の髪が顔の動きに合わせてサラリと流れる。

 そこらの男なら思わず鼻息を荒くしてしまうような彼女の動きにも一切興味が無いのか、シュウはただずっと天井を眺めている。

 旅の間もずっと腰に提げていた剣は傍へと置き、床についた手からはうっすらと紋章の輝きが見える。


 「いや、ヴィレンが頑丈かは分かんねえ。牢獄でアイツの担当になった兵士がちょっと変態ぽくってな。徐々に弱っていくアイツを見て楽しんでるって噂を聞いてる」


 「なにーソイツ。本当に王都の兵士?」


 思わずといったように両腕を抱えてさするリィンは、その顔に嫌悪の表情が浮かんでいた。


 「そんな嫌そうにするなよ。俺たちの代わりに痛めつけてくれてるんだからよ。俺たちじゃ消し炭にしちまう」


 「私はアンタと違って加減できるけど?」


 「誰だよ、間違ったとか言いながら命乞いしてる敵を灰にしたのは」


 ジトッと見上げるようにして見つめられたリィンは、慌てながら弁明する。

 シュウから向けられる視線には極力目を合わせないようにして。


 「あれは、あの魔族が私のことを襲おうとしたから……!」


 「にしたって、腕がねえ敵を命乞いさせながら殺すかね」


 「うぅ……。冒険者ってのは大体がそんな奴らの集まりだし」


 最後には元同業者の印象まで悪くしながら落ち込むリィン。

 彼女にとってはいつも魔獣を相手にしていた行為を魔族でしただけだったから何も感じるところは無かったが、共に行動していたシュウとヴィレンにとっては衝撃的な光景だったようだ。

 その時にヴィレンからまるで自分と同じ存在とは思えないとでも言う様な目を向けられていたリィンは、いつかこの雑用もなぶり殺しにしてやりたいと頭の片隅で考えていた。

 彼女にとってヴィレンは、いつでも殺すことが出来る身近なペットのような存在でもあったのだ。

 結局は、兵士達によって突然の病死に見えるよう殺される事になったのだが。

 そう考えたリィンは、一瞬、自分も牢獄へと行って軽く魔法を使おうかとも考えたが、興奮してきっと殺してしまうだろうと自粛して貧民街のガキで我慢しようと考える。

 そんな自分を成長しているな、と感じる彼女は無意識に垂れている涎には気づいている様子がなかった。


 「……」


 自分の仲間を冷たく観察していたシュウは、再び謁見の間の天井へと目を向ける。

 そこに描かれているのは輝く球体を大事そうに包み込む女神の姿。

 かつて自分がこの世界に召喚された魔法陣はあの球体の真下、つまりはこの謁見の間の更に下にある地下室にある。

 だからなのか、女神と召喚の魔法陣の中間に位置するこの部屋にいると不思議と心が落ち着く。

 国王からもこの謁見の間の自由な使用許可をもらったために誰に邪魔される事もなく楽しめている。

 ただ一つ気に入らない事があるとすればこの左頬の痛みくらいだ。

 自分に従うしかないと思っていた雑用ヴィレンからの突然の攻撃。

 避ける事も忘れてただバカ正直に受けてしまった。


 シュウはその時のことを思い出して沸々と怒りが湧いてくる。

 その場にいた王も妃も姫も騎士も兵士も魔道士も、その誰もが驚き固まっていた。

 それは勇者であるシュウも例外ではなく、何故自分がヴィレン如きに殴られたのか理解できていなかった。

 困惑や屈辱、怒りなど様々な感情が渦巻いている内に意識を取り戻すのが早かった騎士が兵士へと命令し、ヴィレンを裏切り者として捕らえさせた。

 兵士達に埋もれて見えなくなったヴィレンがどんな顔をしていたのか誰にも分からない。

 ただ、己の頬に残った痛みだけがヴィレンの本気度を表していた。


 「糞が……!」


 先ほど、兵士に命令して綺麗にさせた床で悪態を吐きながら昼寝を始める。

 旅の間や帰ってきてからも女遊びをしまくったシュウは、しばらくは女はいいやとこうして怠惰な日々を過ごしている。

 民衆には各国の重鎮たちとの顔合わせだのなんだのと噂されているが、その実態を知る者は少ない。

 そんな勇者達の行動を良く思わない者は多数いるが、王城にて王家よりも上の立場になろうとしている勇者と魔道士に意見を言えるものは居ない。




 ◆




 夜空で輝く月の明りさえも入ってこない牢獄の中。

 真っ暗なその場所にて眠ることもせずに起きているヴィレンは、自分に近づいてくる存在へと意識を向けていた。

 気配を隠すこともせず足音を大きく立てながら近づいてくる人物は、いつも楽しそうにやってくる兵士とは別の者だとすぐさま気づくことができた。

 だが、それならば一体誰なのかと疑問を持つ。

 自分が死ぬのを待ちきれなくなった勇者か魔道士か……。

 そんな風に考えながら黙って待っているヴィレンの前へと入室者は堂々と現れた。

 暗闇で何も見えない牢獄の中へとロウソク等の道具を持たずにやって来た人物はその顔すら見ることができない。


 「……起きていますか?」


 寝息すら立てていないヴィレンへと恐る恐る問いかける入室者の声は、ヴィレンよりも若く少女らしい声。

 かつて何度か聞いたことがあるこの国の王家の声。

 ああ、メイリーン姫か。

 入ってきたのが誰なのか判明したヴィレンは少しだけ安堵する。

 勇者や魔道士ならいざ知らず、メイリーン姫ならば今すぐ自分を殺す事はないだろうと判断したからだ。

 そのため彼女の問には答えないといけないだろう、と考え喉に溜まっていた血を吐き出す。

 ヴィレンが何をしたのかメイリーンには見えなかっただろうが、その聞こえてきた音が只の身じろぎ等では出るものではないと察したようだ。


 「……ッ! だ、大丈夫ですか?」


 そんなヴィレンの様子を見たメイリーン姫は慌てた様子で鉄格子へと近づく。

 ただ血を吐いた程度でここまで心配されたのは、村で農民として過ごしていた時以来だ。

 少し懐かしい事を思い出しながら姫の顔があるだろう位置へと目を向ける。


 「気にしないでください。別に重傷ではないので……」


 「じゅ、重傷ではないって……。何を言ってるんですか!? そんなに弱々しい声になっているのに!」


 姫にいらぬ心配をかけまいと言った言葉で怒られるヴィレン。

 その姫の反応に久しぶりに表情筋が動いた。

 ヴィレンが知っているメイリーン姫は、王家の中でも静かな方で一日中花を眺めて過ごしているんじゃないかと思わせる様な雰囲気の方だった。

 てっきりこんなに声を大にして話すような人ではないと思っていただけに驚きの表情をしてしまったのだ。


 「俺の事は本当に気にしないでください。……それよりも、どうして姫様がこのような所へ?」


 蝶よ花よと育てられたに違いないメイリーン姫がこんな夜遅くに薄汚い牢獄に居ては、姫の体にどんな悪影響がでるか分からない。

 彼女の体を気遣ってのヴィレンの発言に少し不服そうな空気を感じさせながらメイリーンも自分がこの場所に来た理由を済ませようとする。

 一旦、間を開けて言葉を紡いだ彼女の声は、静かな牢獄の中でよく聞こえた。


 「貴方が勇者シュウを殴った理由を知りたいのです」


 ヴィレンは姫のその願望にすぐには応える事が出来なかった。

 王国の英雄シュウを殴った裏切り者として捕らえられている彼にとってその話は軽々とできるものではない。

 もしその理由を話した事が勇者や魔道士に伝われば口封じとして自分と共に姫も殺されてしまうかもしれない。

 そう考えたヴィレンは、メイリーンが諦めて帰ってくれるまで黙っていようと考えた。

 だが、いざ黙り始めたヴィレンを鉄格子の先にいるメイリーンは気にした様子もなく自分の考えを述べ始める。


 「私にはどうしても貴方が悪人には思えないのです。あの日、勇者シュウを殴った時の貴方の顔は怒りに染まっていました。もしあれが噂されている魔王の敵を取るためだとしても……裏切り者があの様な絶好の機会に勇者を殺せない様な攻撃をするのでしょうか?」


 「……」


 「アレは、計画的に行ったものではなく突発的にしてしまった行動なのではないかと私は思っているのです。だからこそ、貴方の考えを聞かない内に罰を与えるなどおかしい」


 暗闇でメイリーン姫の顔は見えずともヴィレンには彼女が真剣な眼差しで此方を見つめてきている事が分かった。

 彼女は巫山戯てこんな事を言っているのではなく、本当にヴィレンが何故シュウを殴ったのかを知りたいだけなのだと感じさせる。

 噂による憶測ではなく自分自身でその本当の理由を知ろうとする彼女の姿勢に思わずヴィレンは口を開きかける。

 村を出てから信じられるような者がいなかったヴィレンにとって、メイリーンのような存在は心を開かせるにはあまりにも強すぎた。

 ジャラ……と、腕を牢獄へと繋いでいる鎖が音を鳴らす。

 それは、ヴィレンが傷ついた体をメイリーンへと近づけようとした証拠だ。

 止められた体を戻すことなく小さく声を発する。


 「……そうして噂だけを信用せずに自分の目で見て耳で聞く事は大切です。だが、今回ばかりはダメです。……もう夜も遅いのでゆっくりとお休みください。罪人のもとに居たとあっては悪い噂が立ってしまう」


 自分よりも若いメイリーンへと頼ろうとした自分の拳を強く握り、牢獄から出てもらおうと退出を促す。

 この国に彼女のような存在がいれば国民も安心できるだろう。

 あの勇者達が今どうしているかは分からないが、少なくともこうしてメイリーン姫へと何も話さなければ殺されることはないはずだ。

 だから、姫にはここで……―――


 「―――……実は、明日の夜、勇者シュウの部屋へと来るよう言われているのです」


 「ッ!?」


 ガシャン! と、より一層大きな音が牢獄へと響く。

 口を開けたまま固まってしまったヴィレンは何も言えない。

 メイリーン姫には婚約者がいたはずだ。

 隣国の第二王子で互いの友好関係のためにと結ばれた政略結婚だったが互いに想い合っている事を流石の勇者も知らないはずがない。

 なぜ、なぜ……と考えを巡らせるヴィレンの耳へとその理由が語られる。


 「しっかりと私には既に婚約した者がいると勇者シュウへと説明をしました。しかし、かの勇者はその理由を聞くと近くにあった銅像を拳で破壊し……」


 『お前の婚約者、こうなるけどいいよな?』


 そう言って泣き出したメイリーンをヴィレンは見ることができない。

 流れ落ちる涙を止める事はできない。

 今の体では勇者をもう一度殴る事もできない。

 あまりにも無力な自分を恨むことしかできなかった。

 自分が此処で生きている内は奴らも自分を気にしてあまり動けないだろうと頭の片隅で考えていたヴィレンは、その考えが甘かったことを悔やむ。

 このまま自分が死んでしまえば本当に勇者達を止める者はいなくなる。

 召喚によって女神の加護を受けているあの男へと対抗できる者は限られる。

 それこそ魔王か魔族の血を持つ者だけ。

 だが、そのどちらもが今はいない。

 他でもない自分たちで斃していったのだから。


 「姫様にいくつか、お願いがあります―――」


 だから、この役目は俺が担うべきなのだ。




 ◆




 メイリーンは自室へと戻りベッドへ入るも眠れずにいた。

 それは明日の夜に訪れる悪夢への恐怖も十分にあるが、つい先程まで話していた元勇者パーティーの一人ヴィレンとの会話の内容を思い出していたからというのも大部分を占める。

 彼の頼みを聞いた後に明日の夜まで自分の身辺を厳重にすることを条件に教えてもらったあの行動の理由。

 それが明日の夜の恐怖を増大させていた。


 『あの勇者は、一度関係を持った女を娼婦以外全員殺してきた』


 その言葉から始まった勇者を殴った理由はとても冷静には聞けなかった。

 勇者シュウは、召喚者という特異な経歴と黒髪黒目という見た目から異性から好意を向けられる事が多かった。

 はじめは好奇心で彼を見ていてもいつしかその感情が好意へと変わり、シュウへと擦り寄っていく。

 そうなった女は簡単だった。

 村だろうが町だろうがどこの女だって一瞬でも好意を持てば関係を持ってしまう。

 シュウはそれが娼婦なら只の仕事の関係だと冷めていたが、一般の者なら違った。

 娼婦は仕事として一応の信頼をできるが、一般の女は何時何処で自分との関係を話し障害になるか分からない。

 そう魔道士リィンに語っていたシュウは、彼女へと命令し関係を持った女がいる村や町を出て行く時に彼女たちを殺してから出て行く。

 犯人が誰なのか気づいた者たちもいるだろうがそれを直接言える者はいない。

 相手は魔王を討伐しようとする面々だ。

 逆らったら彼女達のように殺されると考えれば何もできなくなるのも仕方ない。

 そうして終えた旅の帰りには大抵の町や村で余所余所しい態度をとられ、そんな恐がる人々の姿を見てシュウ達は笑っていた。


 ここまではヴィレンもシュウ達が居なくなったあと地面に額を擦りつけて謝ったりして、自分の怒りを抑える事も出来ていた。

 だが、彼の怒りが爆発したのは王城での一件だ。

 魔王討伐を終えて帰還した翌日、王城の謁見の間で行われた王との面会にてシュウは願いを尋ねられた。

 此度の栄誉を讃えていかなる褒美でもやろう、と。

 そこでシュウが話した内容がダメだった。


 『ならば、この国での貴族の地位をください』


 『ほう。それだけで良いのか?』


 『はい。私はこの国の行く末を共に見守りたいのです。―――数多の犠牲の上に掴んだ平和を失わないよう近くで見守りながら』


 “数多の犠牲”。

 その言葉を聞いてヴィレンの頭を過ぎったのは、シュウが女と遊び帰還した後に知ったリィンがふざけた趣味を行っていた時に襲ってきた魔族を自分一人で相手にして本来なら出すことのなかった犠牲者の数。

 そして、ただ好意を持っただけで殺されてしまった彼女達。

 失われた命がどれだけ自分に関わっているのかを無視した男の発言に、ヴィレンは我慢していたのも忘れて人類の英雄勇者を殴り飛ばした。


 そんな話を聞いたメイリーンは、自分も明日の夜以降いつの日か殺されてしまうのではないかと体が震える。

 あの二人の実力は王国一だ。

 この国の兵士騎士全てを合わせても勝てるか分からない。

 生まれて初めて死を身近に感じたメイリーンはその夜、久しぶりに子供の頃大好きだった人形を抱えて眠った。




 ◆




 いつものように謁見の間にて心を落ち着かせている勇者シュウのもとへと誰かが訪れる。

 ゆっくりと開かれた扉から姿を現したのは先日と同じ魔道士リィンではなく、薄い金髪を伸ばしたこの国の姫君メイリーンである。

 彼女はその瞳に緊張の色を含みながらシュウの近くへと一定の距離をあけて近づく。

 シュウは天井を見上げていた顔を現れた姫君へと向け、なんとも勇者らしい笑みを浮かべる。

 その笑みにやられて殺されていった者達がいると知っているメイリーンは、一瞬逃げたくなる衝動に駆られるも何とか王家としての心を保ちその場に残る。

 そんな彼女へとシュウは優しく話しかける。


 「やあ、メイリーン。まさか夜になる前に現れるなんて驚いたよ。どうしたんだい?」


 いつの間にか呼び捨てへと変わっていた事には指摘せず、此処に来た理由について話す。

 表情を硬くしながら話すメイリーンの様子は一見、今夜シュウと関係を持つことに緊張しているようにも見えるが実際は分からない。

 メイリーンはその幼さを残す声でシュウへと話しかける。


 「今夜の事でお願いがありまして……」


 「へえ、一体どんな?」


 シュウの目が細められる。

 何か気に障る事を言えば今すぐ殺されるかもしれない。

 一瞬にして体中から血の気が引いていくメイリーン。

 だが、ここで怖気づいていてはどうにもならない。


 「その……部屋の外には騎士もメイドも置かないで欲しいのです」


 なんとか顔を赤くできるよう意識して恥ずかしがっているように言葉を発する。

 そのメイリーンのお願いを聞いていたシュウは、一瞬ポカンとした表情をしたあと吹き出し笑い出した。


 「ハッハッハ! なんだそんな事か。それなら心配いらないよ、俺も置くつもりはなかったからさ」


 「そうでしたか」


 ホッとしたような表情を浮かべるメイリーン。

 これには演技した様子はなく心からの安堵に見える。

 そんなメイリーンを見ていたシュウは、勇者としての身体能力を活かし素早くメイリーンへと近づき手を取る。

 え、と声を出したメイリーンだったがもう逃げる事はできない。

 近づいたシュウによって顔を近づけられると静かに話しかけられた。


 「お前さ、何か隠してるよな」


 ひどく冷たいその声は、勇者が出すにはあまりにも不釣り合いだった。

 メイリーンの頬を嫌な汗が伝っていく。


 「な、なんの事で―――」


 「誤魔化すなよ。昨日まで嫌がってた奴が急に警備を無しにするくらい心を開くと思うか?」


 ドクンッドクンッ……と、心臓がその存在を主張し始める。

 昨日の夜よりも死を身近に感じているのだ。

 本能がもうこの場から逃げられないと訴えてくる。


 「そ、そそんな……」


 「ああ、そうだ。いい事を思いついた。……たまには違う場所で楽しむのも良いよなぁ」


 声を明るくして本当に楽しそうに思いついた事を口にし始めるシュウ。

 その楽しそうな口調で語られた内容を聞いたメイリーンは己の身が終わったことを察した。


 「例えば、王城にある謁見の間で楽しむのって異世界感があって良くね?」


 そう言ってメイリーンを床へと押し倒すシュウ。

 力で自分が勇者へと敵うはずがない。

 早く助けを呼ばないと―――。

 必死に声を上げようとしたメイリーンは、自分の口から声が出ない事に気づく。


 「……!」


 「ハハ! 驚いたか? この謁見の間に入ってからお前にはリィンの魔法がかかってたけど気づかなかっただろ?」


 「全く、人の趣味のための魔法を使わせないでよ」


 先程まで姿が見えなかった魔道士が突然、その場に現れる。

 噂に聞く透過の魔法をこのような場で目にするとは思っていなかったメイリーンは、驚愕と絶望の感情が入り混じった表情を浮かべる。

 そんな彼女の様子をあざ笑うかのように彼女は鼻で笑う。


 「いいじゃねえか。俺たちは仲間なんだから助け合おうぜ」


 「都合のいい時だけそれよね」


 そう言ったリィンにはメイリーンを救ける素振りは見られない。

 まあ、声が出せなくなる魔法をかけているだけに彼女が助けてくれる可能性はゼロに等しいが。

 何もできずに押さえつけられているメイリーンのドレスへと手をかけるシュウ。

 その目には勇者としての輝きなど欠片もなく、どす黒い感情しか見ることができなかった。

 昨夜のヴィレンからのお願いの内容には、今日の夜の警備を無くしてほしいというものは含まれていたが、今ここで勇者と魔道士と三人でいることはヴィレンも望んでいない。

 これは正しく想定外の事だ。

 その場で言っても騎士やメイド達に迷惑がかかるからと事前のお願いをしに来ただけだというのに、こんな状況で扉の先にいる騎士に助けを求める事もできずに襲われる。

 扉一枚を隔てた先には頼れる騎士がいるからと油断した自分の落ち度だ。

 声が出せないメイリーンは、ただ静かに涙を流し後悔しながらも懇願する。


 誰か、助けて―――。










 「―――勇者ぁぁぁああああ!!」


 扉があることを忘れさせる程の怒声が謁見の間へと響く。

 その声の主が一体誰なのか、姫も勇者も魔道士も誰も理解しえない内に厳かに構えていた扉が破壊される。

 思わずその方向を見て固まっていた三人の内、いち早く行動を起こしたのは腐っても勇者であるシュウだった。

 煙によって見えないその場所を警戒して剣を構え、油断なく身構える。

 そうして犯人が出てくるのを静かに待ち構えているシュウの視線の先にて、立ち上る煙を気にせずに姿を現す人物が一人。

 健康的な体に反するようにボロボロの囚人服のような服を着た男―――ヴィレンが拳を握り締めながら三人の前へと現れた。

 そのヴィレンの登場に、メイリーンは安堵し、シュウとリィンは肩の力を抜いた。

 何事かと身構えていた割に出てきたのは、あのヴィレンだ。

 どうという事はない、という風に考えた二人はヘラヘラと軽い笑みを浮かべながらヴィレンへと目を向ける。


 「よう、ヴィレン。久しぶりだな。まさか脱獄してくるとは思ってなかったぜ」


 決して元仲間に久しぶりに会えた事を喜ぶような雰囲気は感じさせず、ただヴィレンを馬鹿にするように話しかけるシュウ。

 自分より格下の男が攻撃対象にしているのはシュウの方だと考えたリィンは、その場で腕組をし直し興味深そうに二人を見つめる。


 「……」


 ヴィレンは話しかけてきたシュウに対して何か答えるような事はせず、ゆっくりと歩いて近づいていき徐々にその速度を上げていく。

 狙いはシュウか。

 握りこんだ拳を構えながら勇者にも劣らない速度で接近してくるヴィレンに、シュウも剣を軽く握って待ち構える。

 速度はあっても実力は自分以下。

 そう認識しているシュウにとってヴィレンの攻撃は何ら恐れを抱くものではない。

 遊びのような感覚でヴィレンが攻撃してくるのを待っていたシュウは、その攻撃の矛先が少しおかしい事に気づく。

 だが、それももう対処するには遅すぎる。

 旅の間では一切見る事がなかった、勇者を凌駕する程の速度にまで一瞬で上げたヴィレンは―――


 「え、私―――ッ!?」


 余裕綽々と男達が争い始めるのを見物しようと立っていた魔導師リィンへと、ヴィレンの拳は向かっていく。

 馬鹿にしていた男の攻撃の矛先が自分だと気づいたリィンは、咄嗟に魔法の行使をするがヴィレンの拳は、恐ろしく速いその魔法行使を無視するかのように整った顔面へと突き刺さった。

 嫌な音を立てた攻撃によって恐らく鼻は折れ曲り、歯も何本か逝ってしまっただろう。

 受けた衝撃そのままに後方へと吹き飛んだリィンは、謁見の間の壁を破壊しながら叩きつけられ、そのまま瓦礫とともに床に倒れ込み動かなくなった。


 「……て、テメエ!! ―――ガッ!?」


 一瞬の出来事に固まってしまったものの何とか意識を取り戻し不意打ち上等とでも言うように攻撃して止まっているヴィレンへと距離を詰めたシュウは、自分の首根っこが目の前の男に掴まれていることに気づく。

 だが、それに気づいたところで自分から接近していたものは止められない。

 勢いが乗ったままのシュウへと対抗するようにヴィレンもまた捕まえた男の額へと自分の頭を突っ込んだ。


 「―――ッ!?」


 額を赤くしながら驚愕し何がなんだか分からないといった表情を浮かべるシュウ。

 そんな間抜け面を無視してヴィレンは何も持っていない手を握りこんだ。


 「痛みってのは、久しぶりだよな」


 一言、そう言ったヴィレンは、剣で攻撃を防ごうとしていたシュウの顔面へとリィン同様拳を叩き込む。

 迫ってくる拳の軌道へと素早く滑り込ませた剣をまるで棒切れのように殴り折り、後方へと逃げる事が出来ないシュウの顔面に拳を叩き込んだ。

 流石は勇者か。

 後方にいるメイリーンまで風圧が届く程の攻撃をくらってもなお、鼻血を流しながら意識を保つ。

 

 「だ、にを……」


 「でもよ、殺されるってのは痛みなんかよりも辛えんだよォ!!」


 召喚者として得た驚異的な自然治癒力により治っていく怪我を上書きするように、もう一度顔面へと拳を叩き込んだヴィレンは、そのまま地面にシュウの体を叩きつける。

 腕によるガードをしようとするもへし折られ、肺の中の空気を全て吐き出されたシュウは、魔王戦においても感じなかった苦しみを味わう。

 そのような景色を間近で見ていたメイリーンは、近くに近衛騎士が来ていた事にも気づいていなかった。

 体を支えられ立たされようとしている時にやっとその存在に気づいたメイリーンは、近衛騎士から心配する言葉をかけられた後、謝罪の言葉を述べられる。


 「……姫様からの命令に背き、独自の判断で万能薬を持っていった事をどうかお許し下さい。姫様が勇者のもとへ一人で向かうと仰られた際に、言い知れぬ不安を感じてしまい行ってしまいました。この行動に対する罰は何なりとお受けします。ですが、どうか今は私の言葉に従い安全な場所へと向かいましょう」


 そう言うと自分の主の体を抱きかかえ素早く謁見の間を後にする。

 メイリーンが近衛騎士へと命じたのは、夕刻を過ぎた頃にヴィレンに頼まれた万能薬を持って行って欲しいという事。

 まだ明るい時間帯に姫が牢獄へ向かったとなれば誰かに見られて何を噂されるか分からない。

 鉄格子の錠を外す事ができる鍵を所持できる階級で、メイリーンが信頼できる近衛騎士の彼女だからこそ任せていた。

 命令を忠実に守る彼女だからこそ、ヴィレンが考えていた計画を行えないという申し訳なさもメイリーンの胸中にあったのだが、今回はその信頼していた近衛騎士が独自の判断で動くという思いがけない裏切りにあった事で助けられた。

 後ろではヴィレンがシュウを殴っているのか、何かの破壊音が響いている。

 その音を聞きながらメイリーンは、ヴィレンの無事を祈った。




 ◆




 ポタポタと握りこんでいた拳から血が流れ落ちる。

 ひび割れた謁見の間の床では驚異的な自然治癒力でも間に合わない程の怪我を負った勇者シュウが、ボコボコに腫れ上がった顔で倒れ込んでいる。

 今、この謁見の間にて立っているのはただ一人。

 罪人として牢獄に捕らえられていたヴィレンだけだ。

 異質な空気によって駆けつけた兵士も騎士も誰ひとり入る事ができない謁見の間にて、魔道士リィンと勇者シュウのそのどちらもが倒れて動かない光景はあまりにも非現実的だった。

 そんな異様な景色の中で、ヴィレンは倒れているシュウへともう一度拳を構える。


 「ど、どうして、テメエの攻撃が俺に……」


 絞り出すようにして聞こえてきた声は、しっかりとヴィレンの耳へと入っていた。


 「そんなの簡単だ。俺の体に魔族の血が入ってるからだよ」


 勇者シュウがヴィレンと出会った場所は、人里から少し離れたい位置にある村だった。

 人口としてもそれほど多くないその村において、王国の騎士にも負けない戦闘センスを持っていたヴィレンを見つけたシュウは、これ幸いとばかりに勇者パーティーへと引き入れた。

 だが、シュウもリィンもこの村がかつて魔王のもとから離れて魔族を辞めた者たちによって作られた村だとは気づいていなかった。

 人間との交配で既にその血も薄くなってきていたその村の人たちは、誰もが普通の人間と変わりなかった。

 だが、他の者に比べて魔族の血が濃かったヴィレンは、人間の姿をしていながらも魔族としての戦闘センスを持ち合わせていた。


 「じゃあ……テメエは同族を殺してたってことかよ」


 大分、回復してきたのか流暢に話せるようになってきたシュウは、反撃できるようになるまで時間を稼ごうとする。

 動けるようになればこんな格下のヴィレン相手に負けるはずがないという自信があった。

 だが、その時間稼ぎも意味がないというように拳に力を込めるヴィレン。


 「魔族は辞めたって言っただろ。……俺のことよりも、勇者の力を失った後の事を考えとけ」


 冷たく放たれたヴィレンの言葉を理解できなかったシュウは、間抜けな顔を晒しながらヴィレンを見つめる。

 そんな頼りない勇者の姿を見下ろしていたヴィレンは、握りこんでいた拳を無言でシュウの顔へと叩きつけた。

 回復していたシュウの腕を踏みつけ、逃げられないようにした上で。


 「ぶッ!!」


 衝撃でより一層ひび割れて凹んだ謁見の間の床に不思議な魔法陣が描かれる。

 淡く光るその魔法陣を知っている者は、近づけないでいる兵士と騎士の中にはいない。

 だが、拳を叩き込まれているシュウはその魔法陣について知っていた。

 なぜならそれは、この謁見の間の真下にある勇者が召喚された地下室にある魔法陣と同じだったから。

 勇者パーティーに入る前まではただの農民だったシュウが、何故この魔法陣に関する知識があるのか、何故魔道士でもないのに描けるのかは誰にも分からない。

 それでも、この一撃が彼の言った事を可能にする事だけは確かだろう。


 「あの声が、女神かどうか半信半疑だったが信じて良かったぜ」


 そう言って思い出すのはこの謁見の間へと向かっている途中で聞こえてきた声。

 あまりにも馴れ馴れしいその声は、ここぞという時に数少ない魔力を拳に込めて叩き込めと言ってきた。

 バカ正直に信じていいものか分からなかったヴィレンだが、どうせ魔族の血の活性化による能力向上もそう長くは続かない。

 それならイチかバチかでもやってみようと思い、叩き込む事にした。

 結果としては、成功。

 魔法陣の中で顔の回復に時間がかかっているシュウは動く事ができずにいる。

 あの声は、この魔法陣の中に勇者を固定できればあの強大な力を失くす事ができると言っていた。

 もし本当にそうなれば、入口で動けずにいる兵士や騎士達でもこの勇者を倒せるはずだ。

 碌に戦闘経験を積んでこなかったせいで自分程度に負けてしまうような勇者なら、力を失ったあとは一般の人たちと変わらない身体能力しかないだろう。

 ヴィレンはそう考えながら光輝く魔法陣を見つめ、これで話すのも最後だと聞こえているか分からないシュウへと話しかける。


 「お前を選んで送り込んだ女神は相当ダメなやつだったみたいだが、この魔法陣を発動してくれた別の女神に殺られてないといいな」


 声が話していた内容を思い出しながら話終えたヴィレンは、輝く魔法陣の中で痙攣し出したシュウと未だ倒れて動かないリィンを置いて謁見の間の入口へと向かう。

 まだ魔族の血の活性化が続いている内に王国から逃げ出さないと捕まってしまう。

 脱獄に二人の英雄への暴行、王城の謁見の間の破壊等捕まるには十分な罪を重ねてしまっている。

 ヴィレンが近づいてきた事でざわざわとし出す兵士や騎士の集団を、上昇した身体能力を使って傷つけてしまわないよう気をつけながら走り抜く。

 そのまま遠くなっていく謁見の間を振り返る事もせずに開いていた王城の窓から飛び出したヴィレンは、誰にも聞こえない空中で一人言葉を発する。


 「あとは、姫様が色々してくれるだろうからよ。―――こんな兄ちゃんを許してくれ」


 それが、勇者が遊んでいる間に襲ってきた魔族によって殺された冒険者だった妹への言葉だと知る者は誰ひとり居ない。

 魔族の血を活性化させた影響で肌が変色し始めているヴィレンは、活性化が終わる前に逃げ切ろうと更に速度をあげる。

 それによって流れ落ちるはずだった涙を拭わないようにしながら―――。




 ◆




 後に勇者だったシュウは、勇者としての力を失い王家の一人であるメイリーン姫への暴行の罪で、破壊された鉄格子と手枷があるのとは別の牢獄へと捕らえられる。

 その顔は治癒している最中に力を失ったことにより中途半端に回復しており、特注の回復薬の調合が終わるのを待っている状態だが、シュウは牢獄の中で常に何かに怯えるように体を震わせている。

 謁見の間にて動けなくなっていた魔道士リィンは、自分の魔法によってどうにか怪我の治療を行うも今までに味わったことのない恐怖を感じたためか薄緑色だった髪は全て真っ白にそまり、どこか人の訪れないような場所へと旅立ってしまった。

 そして、二人をその状態へと追い込んだ勇者パーティーの雑用だったヴィレンは、その行方を知る者はいない。

 だが、時々、町や村を襲った魔獣を退治している半魔の噂がメイリーンの耳へと入っていた。

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