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6話


「と、ところで、アライグマはどうして卵を持っていたの?」

 巣に戻る途中、クマはふとアライグマに質問しました。喜びに浸っていたコマドリたちも、アライグマの方に向きます。アライグマは目を逸らして流そうとしますが、全員に凝視されているのを感じて、しぶしぶと口を開きます。

「クマが隠した卵を、トカゲが狙っているのが見えてだな……その」

「成程、トカゲから守って自分の巣で匿っていたんだね」

 全部を言い切る前にヘビがことの顛末を喋ってしまいました。アライグマは威嚇のように口を大きく開きます。ですが、その顔は真っ赤に染まっています。コマドリたちは、やはり意外だったらしく、驚いた顔をしています。誰もかれも暴れん坊のアライグマがそんな親切をすると思っていなかったからです。

「まぁ見た目や住処で決めつけちゃいけないってことだね」

 ヘビがそう締めくくります。気付けば、オンボロ橋の前まで来ていました。コマドリたちは一匹ずつ橋を渡っていきます。そして、リスの番になったときに、リスはあることに気付いて、声をあげました。

「逆さ虹だ!」

 その言葉を聞いて、コマドリたちは思わず真上を見上げます。しかし、そこに虹は見えません。見渡すと、森の遠くに虹がありましたが、よく見られる虹です。コマドリたちは、まだ懲りないリスの悪戯だと呆れます。

「違うよ、川の方を見て!」

 リスは上ばかり見ているコマドリたちに、下を指さしながら言いました。コマドリたちはまだ続けるのか、と思いつつ川の方に向けます。

 五匹は目を見開きました。そこには確かに見事な逆さ虹が広がっていました。川に映ったその虹は、二つに分かれた森を繋ぐように掛かっています。コマドリたちはなんだか楽しくなって、歌い始めます。コマドリの、ひんからからからと綺麗な歌声を皮切りに、キツネの、コンコンコンとリズムのいい声が続き、ヘビがしゅろしゅろとアクセントを加えます。リスが、チチチとコマドリの歌に合わせ、クマが、ぐおぉぉっと野太い低音を響かせると、アライグマが、クックックと思わず歌ってしまいました。

これで、逆さ虹の森を騒がせた大騒動は終わりです。森に平和な日々が返ってきました。

ここは逆さ虹の森。大きな川で二つに分かれた森を、逆さ虹と大合唱が一つに繋ぐ森。今日も森には住人たちの大合唱が響き渡ります。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

冬童話2019作品として初めて童話を書いてみましたが、いかがだったでしょうか。

少しでも、面白い!と思っていただけたら嬉しいです。

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