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5話


「さっきからうるさいぞ、なんだお前らぁ」

 クマの涙をせき止めたのは、森一番の暴れん坊で有名なアライグマでした。アライグマはわざとらしく根っこや地面を蹴るように歩きます。突然のアライグマの登場に水を差されたコマドリとリスとヘビは憎らしそうに睨みつけます。

「やぁ、アライグマ。アライグマは卵に心当たりない?」

 ヘビは物おじせずにアライグマに尋ねます。アライグマは悪態をつくように牙を噛み鳴らしますが、コマドリたちの顔を見て、分が悪いと思ったのか少し考え始めます。そして、ハッとした顔をしました。

「もしかして、あの卵か?」

「アライグマさん、卵を知っているの? 知っているんでしょう!?」

 アライグマにいち早く反応したのはもちろんコマドリ。さっきの憎らしそうな細目はどこへやら。今度は目を見開いて、アライグマにすり寄ります。アライグマに思わずぶるっと身震いしました。

「教えて! 私の可愛い卵はどこにあるの!?」

「あ、あぁ。案内するから落ち着いてくれ」

 あのアライグマがたじたじなのを見て、キツネはあらあらとみているだけです。リスは吹き出しそうになりますが、後が怖いので堪えます。一方、クマは何を言っているのかわからない、状況が呑み込めないといったキョトンとした顔をしています。

「おらおら、さっさと行くぞ」

 普段の様子を取り戻したいのでしょう、アライグマは来た時と同じように地面を蹴るように歩いて先導します。コマドリたちもそれについていきます。根っこ広場を離れて、ドングリ池の脇を通り、森の奥へと進んでいきます。そして、森を二つに分けるオンボロ橋につきました。

 オンボロ橋はその名の通り、ボロボロの縄とボロボロの木の板で作られた橋です。だれが何のために作ったかは分かっていませんが、今にも崩れてしまいそうですが、見た目よりは丈夫で、森の住人が一匹ずつ渡るのなら問題ありません。

 アライグマは普通の橋を渡るのと変わらない足取りで渡ります。ヘビとリスは手すりをスルスルと渡っていきます。コマドリはパタパタと橋の上を飛んでいきます。キツネは穴の空いた板を避けながら渡ります。そしてクマは、石橋を叩いて渡るように一歩ずつ進んでいきます。

「あれ、クマってこの橋渡れたっけ?」

 リスはクマが橋を一匹で渡れたことにびっくりしました。どうしてかというと、クマは昔からこの橋を一匹で渡れた試しがないからです。コマドリたちもお互いの顔を見合わせます。クマはみんなの反応を見て、照れくさそうに笑いました。

「た、卵を隠すために勢いで渡れるようになってね」

「凄いじゃない!」

 コマドリたちは、渡ってきたクマをひとしきり褒めた後、アライグマの案内で先に進みます。アライグマが案内した先は傍に川が通っている一本の木でした。アライグマはその木の洞に入っていきます。そして、そこから一つの卵を持って出てきました。

「私の卵!」

 コマドリはアライグマの持っている卵を見つめ、今日一番の大きな声をあげました。そして、ひんからからから、ひんからからから、と喜びの歌を歌いながらアライグマの周りを飛び回ります。キツネたちは一緒に喜ぶように笑顔になります。

 コマドリたちは、卵を巣に戻すため、巣に戻ることにしました。


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