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勇者に封印された魔王なんだが、封印が解けて目覚めたら海面が上昇していて領土が小島しかなかった。これはもう海賊を狩るしか——ないのか!?  作者: 小椋正雪
第二部 第五章:ドキッ! 聖女だらけの大運動会

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第三六七話:アリスの挑戦



□ □ □


 アンさんのアレ(・・)な――もとい、アレの様子は、控え室に中継されている映像で私達も観ていました。


「クリスちゃん! わたしも、アンさんのあれ、やってみたいです!」


 そして懸念していたとおり、アリスさんが食いつきました。

 おそらくは、いままでみたこともない歌い方だったので、自分でもできるか確かめてみたいのでしょう。

 ですが――。


「いや、絶対駄目です」

「でもできますよ」

「できるからこそ駄目です」


 アリスさん、この様子だと気づいていませんね……。


「そうでしょうか。アン・ブロシアさんのあれが十分有効だと証明したのですから、私達も使っていいと思うのですが」


 さすがはミズミカド生徒会長、理緒さんの指摘ももっともな話です。

 ですが――。


「ですが、マリウス艦長の気持ちも考えてください」

「はいクリスちゃん正解ー」

「ミュートさん!?」


 いつのまにか、控え室にミュートさんが立っていました。

 おそらく気配を消して、観客席から急ぎでやってきたのでしょう。


「マリウス、アリスちゃんが同じことしたらどうしようって、かなり真剣に心配していたわよ」

「あ……」


 ようやく、アリスさんもこれはまずいと気づいたようです。


「それにこっちに来る前にアンたちの方もみてきたんだけど……いやもうすごかったわ」

「もしかしなくても姉妹喧嘩ですか」

「クリスちゃんまたもや正解ー。ドゥエさんがすごい剣幕でもうやらないだのなんだの。ただ、アンさん曰くもうやらないみたい」

「それはなによりです」

「なんでもあれ、三段階あるうちの第一段階にすぎないんですって」

「あれよりさらにすごいのが、まだ二段もあるっていうんですか!?」


 想像を絶する、恐ろしい話でした。


「それにあれよ。観客は新しいものには惜しみない賞賛をおくるけど、二番目には厳しい目を向けるわ。アリスちゃんがアンさんより歌が上手かったとしても――ううん、上手かったらなおさら、より厳しい目で見られるはず。もっと他のことができたんじゃないかって」

「それは……そうですね。ありがとうございます、ミュートさん、気づかせていただいて」

「いいのよ。こっちも頭痛で悶絶するマリウスみたくないだけだから」


 それは私も、みたくないものでした。


「ではどうしましょうか。奇をてらわず、正攻法で?」


 理緒さんが、アリスさんに問います。


「……いえ。ちょっとわたし、挑戦してみたくなりました……!」


 めずらしく、そういう貌をみせるアリスさんでした。

 おそらくマリウス艦長と離ればなれになっている、抑圧がそうさせているのでしょう。


「前にクリスちゃんとアンさん、そしてマリウスさんとで色々な聖女の歌を学んだことがあるんです。それを試してみようかなって」

「なるほど、それを取り入れようってことね」


 ミュートさんが頷きます。


「って、クリスちゃんとアンさんとマリウスぅ!?」

「その頃はマリウスさん、女の子の身体だったんです」

「どういうことよ!?」

「正確には、マリスさんの身体を遠隔操作していたんですよ」


 完全に混乱しているミュートさんに、助け船を出す私でしたが――。


「……ごめん、ちょっとよくわからない」


 余計に混乱させてしまったのか、頭を抱えるミュートさんでした。


「とりあえず、それはちょっと横に置いておくわ。いえ、置かせてちょうだい。それでアリスちゃんはどうしたいの?」

「ちょっとミュートさんに、お願いがあります。それも、マリウスさんに内緒で」

「アタシ? 諜報と戦闘くらいしか役に立たないわよ?」

「魔法で服を作ること、できませんか?」

「ああ、それくらいなら大丈夫。あれって初歩の魔法だもの。それほど凝らないのなら、誰でもできるわ」

「それでは、いま簡単な絵を描きますからそういう感じの服を三人分、お願いします」

「了解」

「ありがとうございます。大まかな意匠は――こんな感じなんですけど」

「はやいわね、どれどれ――!?」


 意外と絵の上手い――そして描くのが早い――アリスさんの絵をみて、私達は絶句しました。

 なんなんでしょう、これ?

「そういやマリウスくん、一時期そういうのやっていわね……」

「悪い顔しておりますぞ」


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― 新着の感想 ―
デスメタルなアリスにならなくて本当によかった…! パイロットの衣装は外部には見えない?と思うけど どんな衣装にするのか…
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