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勇者に封印された魔王なんだが、封印が解けて目覚めたら海面が上昇していて領土が小島しかなかった。これはもう海賊を狩るしか——ないのか!?  作者: 小椋正雪
第二部 第五章:ドキッ! 聖女だらけの大運動会

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第三六二話:試合の合間の諜報大作戦!

「さて……私らもそろそろ控え室に行くわ」


 ドゥエが首を鳴らしながら、応援席を立った。

 続いて第二試合がはじまっていたが、俺たちの関係者一同、誰もみていない。

 アン達の試合(?)は一回戦の最後だが、それまでにやることは目白押しだったからだ。

「一度控え室に入ったら外部と連絡取れなくなるそうよ。暑くないと(ミュートは)いいんだけど(はいれるの?)

「そのようだな。冷却魔法入りの外套(ミュートなら)でも用意するか(もんだいない)

「いやいいわ。そこまで心配するのも神経質でしょ(それならいいの)

「わかった。食事が合わないてがみもあんごうだからかもしれないが気をつけるようにしてくれ」

「了解」


 さてと……。


「ミュート、すまないが……」

「はいはい。(ふね)に積んでる植木の手入れ(アリスたちにてがみ)でしょ。任せておきなさい」

「すまないが、頼む」

「じゃ、ちょっと行ってくるわ」


 手はずはこうである。

 まずミュートが普通に雷光号に戻る。

 そして例の迷彩服の機能を発動させて光学的にも魔法的にも見えない状態で、再度出発するというわけだ。

 ちなみに、万一俺に匹敵する魔力、魔法の持ち主に雷光号の様子を探られてもいいよう、雷光号が偽の映像――植木に水を丁寧にあげているミュート――を、空き部屋に流すようにしてある。

 さて、肝心の手紙の渡し方だが――。



□ □ □



『はいこれ、マリウスからの手紙』

『それはいいんですが……』


 言葉による会話ではありませんでした。

 かといって、私やアリスさんのつかえない魔法ではありません。

 なにでやりとりしているかというと、手信号です。

 いつの間に憶えたのかはわかりませせんが、ミュートさんは私達が使う手信号を完全に自分のものにしていたのでした。

 問題は、その手紙の渡し方です。

 姿を消して、試合後の差し入れの隙をつき、差し入れの品に手紙を混ぜる。

 おまけに差し入れの方の視線の死角から、姿を現して手信号。

 並大抵の身体能力と、胆力ではできないことでした。


『それじゃ、また連絡するわ』


 差し入れの方が部屋を出る瞬間に、ミュートさんはすごい体勢で扉を潜って、再び透明化したのでした。


『おきをつけて……』


 アリスさんが気を利かせて、理緒さんと整理体操を初めてくれたおかげで、私の手信号もそれっぽくなりました。

 実際、そうやってごまかす使い方もあるのである意味正しい運用方法ではあるのですが、まさか本当にそんな風につかうとは……。


『マリウス分校の諜報員って、すごいのね……』


 こちらは手信号がまだ憶えきれていないので、唇の動きだけで、理緒さん。

 正確には元アイアンワークスなのですが、それを話すとややこしくなりそうなので、笑ってごまかす私でした。


『マリウスさんはなんと?』


 アリスさんが手信号で私に聞きます。

 本当は自分で読みたいのでしょうが、私が受け取った手前、私に任せることにしたのでしょう。


『アンさんたちの勝敗によって、今後の流れを変えるそうです。勝った場合は――』


 差し入れのおしぼりで手を拭くふりをしながら、手紙を読み、唇の動きだけで伝える私。

 ご丁寧に、手紙も暗号化してあったので、少し頭がこんがらがりそうです。


『最後に、アン達の試合までゆっくり休んでくれ。以上――とのことです』


 理緒さんが首筋を動かす運動のふりをしながら、肯定しました。

 アリスさんにいたっては瞬きで了解の意を表します。

 ――わかっては、いたことですが。

 諜報って、本当に疲れますね……!


「なつかしいですなぁ、このノリ」

「まって、ふたりともわたしが死んでからこんなことやってたの!?」

「余裕でやっておりましたぞ?」

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