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勇者に封印された魔王なんだが、封印が解けて目覚めたら海面が上昇していて領土が小島しかなかった。これはもう海賊を狩るしか——ないのか!?  作者: 小椋正雪
第三章:提督少女

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第三十一話:海の_の街

■登場人物紹介

【今日のお題】


アンドロ・マリウス:勇者に封印されていた魔王。二百三十六歳。

【好きな本の傾向】「歴史書だな。本当に勉強になる」


アリス・ユーグレミア:魔王の秘書官。十四歳

【好きな本の傾向】「そうですね……囚われのお姫様を王子様が助けるお話とか好きです」

二五九六番:元機動甲冑。現海賊船雷光号。鎧時はニーゴと名乗る。年齢不詳。

【好きな本の傾向】『よくわかんねぇけど、聴くなら愉快なヤツがいいな』



メアリ・トリプソン:快速船の船長。十八歳。

【好きな本の傾向】「そりゃもう海戦ものでズドンといくものよ!」

ドロッセル・バッハウラウブ:メアリの秘書官。十六歳。

【好きな本の傾向】「技術書」


クリス・クリスタイン:提督。護衛艦隊の司令官。十二歳。

【好きな本の傾向】「れ、恋愛ものです……」


 翌朝。

 待ち合わせの場所に少し早めにきてみると、そこにはもうクリスが待っていた。


「おはようございます。クリス提督」

「おはようございます。マリウス船長」


 クリスの格好は、最初に出会った時と同じように、紺色の水着を着て、革でできたと思しき赤い背負い箱を背負っていた。

 つまりそれは、巡回・警邏の仕事ではないということだ。


「よかったです。巡回任務と勘違いされていたらどうしようと、少しだけ心配していました」

「俺もです。もっとも、念のためにこういうのを用意しましたが——」


 ズボンの外に出したシャツの裾をすこしめくり、剣帯に吊り下げたそれを見せる。


「発掘品ですか?」

「ええ。ちょっとした護身用具です」

「なるほど……」


 実際には大抵のものなら斬ることができる物騒な光帯剣(こうたいけん)なのだが、それは口に出さないでおく。


「奇遇ですね。実は私も、似たようなものを持っています」


 そう言ってクリスは水着の肩紐にさりげなく付けられているそれを見せてくれた。


「これは……笛ですか?」

「はい。この紐を引っ張ると、圧縮した空気が解放されて呼子として鳴るようになっています。この船の中でしたら、おおよそ二十五秒以内に警邏中の護衛艦隊員が駆けつけるという算段ですね」

「なるほど……」


 自分自身に戦闘力がなくとも、高度な警戒機構をあらかじめ組んでおけばこういうことができるわけか。


「それで、巡回ではないとしたら、本日の目的は何なのですか?」

「建前は、あなたと親睦を深めて、この船団に長くいてもらいたい——ですね」

「では、本音は?」

「本音ですか……本音は、この船団の良いところを紹介して、あなたに長くいてもらうように、です」

「それだと、結果的に本音も建て前も目的が一緒ですよ。クリス提督」

「……あ! そ、そうですね。結構本気で考えた計画だったんですが……」


 いけませんね、戦略や戦術のようにうまく組み立てられません。と、クリスはいう。


「もしかして、私があなたを麾下に加えたいというのを諦めていないのも、お見通しですか?」

「ええ、まぁだいたいは」

「それでは、今日はもうお開きに——?」

「いえ、そんなことはありません。むしろ楽しみにしていますよ、俺は」


 心配そうに訊くクリスに、俺ははっきりとそう答えた。

 実際、この海域には他にも大きな船団が沢山あると聞いている。それなら、ここを拠点としてあちらこちらを巡ってみるのも悪くないと思うのだ。


「よかった……ありがとうございます」


 心底ほっとしたように、クリスはそういった。


「今日は中枢船を歩きながら、色々なところを紹介しようかと」

「助かります。まだ不慣れなので」


 メアリやドロッセルあたりは土地勘があるらしいが、俺やアリスにとっては初めての土地だ。

 もっとも、土地と言っても海の上ではあるが。


「ではまずは簡単に説明を。この中枢船は歴史こそ古いものの、造りそのものは常に改装を行ってきたので最新鋭のそれに劣らない性能を誇ります。具体的にいうと、上部の街——ここのことですが——はともかく、その下の船体部分そのものは、大型の海賊が放つ主砲弾をやすやすと弾き返せるほどです」

「ということは、有事は街の人を船内に避難させる?」

「はい、その通りです。その時は、普段船内には入れない船団の住民以外の人でも入れるようになっています」

「なるほど……いい避難計画ですね」


 城と城下町に置き換えてみると、わかりやすい。

 有事には堅牢な城に設えた避難空間に城下町の住民を招き入れ、防御に徹するというわけだ。

 どこまでを守るのかがはっきりと線引きされているのは、防衛計画上とてもいいことだと思う。


「察するに船内立ち入り禁止の理由は、軍事系の工房として機能しているからといったところでしょうか」

「正解です。船内の特一級大型蒸気機関から生み出される膨大な出力と余熱を、効率的に利用しているんですよ」

「特一級大型蒸気機関……」


 それは、かなりみてみたい代物だった。

 ひとつの街をはるかに超える大きさを誇る中枢船を動かせる蒸気機関。いったい、どれほどの規模であろうか。


「すみません、見せてあげたいのは山々なんですが、いきなり許可を与えてしまうのも——」

「段取りを踏まないと、あとあとの悪弊になるですね。わかります」

「そう、それです!」


 我が意を得たりと言わんばかりに、クリスは目を輝かせる。


「マリウス船長は、組織の運営に経験があるようですね」

「えぇ、まぁ……昔の話ですが」


 本当に昔の話になっているのだから、笑えない。


「それにしてもその蒸気機関、それだけの出力を誇るのなら、中枢船もかなりの速さで航行できるのでしょうね」

「ええ。ただし、滅多なことでは動きませんが」

「というと?」


 どうも、無駄な燃料の消費を防ぎたいという意味ではなさそうだ。


「あとで、お話しします。まずはゆっくりと見て回りましょう」


 クリスに促されて、俺たちは歩き出した。

 入港するときに思ったのだが、この中枢船は巨大な直方体の形をとっている。

 そのためその上に立つ街は地上にある街とあまり変わりのない作りになっていた。

 とはいっても、中枢船独特のものもある。

 たとえば、進行方向からみて右舷側に、巨大な艦橋がある。それだけで、クリス提督の乗艦である大型艦『バスター』と同じくらいの大きさだ。


「まるで島のようですね」

「はい。なので島型艦橋とも呼ばれています」

「中枢船の中央には置かないのですか? 普通の艦橋はだいたいその位置にありますが」

「中央には、別のものがありますので。それと、右舷に偏らせた方が航行上よいことがわかったのでこうしているんです」

「なるほど。勉強になります」


 大型の船になると、そういうことも考慮しなければならないのか。


「この辺は商業地区ですね。店舗の形をとっているものが一番多いですが、通りに沿って出店を開いたり、市を開くこともあるんですよ」


 前の中枢船では船内にありどことなく密集していたが、こちらでは余裕があるのか地上の街にある商業区画のようになっている。今も、通りに面した店舗では温かい飲み物が入ったポットを並べていたり、腸詰を焼いていたり、果物を砕いて撹拌していたりしていた。


「お腹、空いていませんか?」

「そうですね。少しだけ」


 ふたりで、串に刺した腸詰を買う。

 本当は特に空腹を感じない身であるが、こういうのも悪くはなかった。

 それに——。


「美味いですね、これ」

「はい。今のお店の腸詰は本当に絶品なんです」


 自分のことのように大きく胸を張って、クリスはそういった。


「ところで、提督。疑問に思ったのですが」

「なんでしょう?」


 少し不思議だったのは、街の人が普通の子供として接していることだ。


「船団の住民には司令官であることを隠されているんですか?」

「いえ、特には。おそらく大半の住民は名前程度なら知っているでしょう。ただ、出撃するときは巨大な艦の奥深くにいるわけですから、顔と名前が一致していないのではないかと」

「言われてみれば、たしかに」


 俺だって、実際にこの目で見なければ、目の前にいるまだあどけない少女を、一個艦隊を率いる提督だとは、露とも思わないだろう。


「それに、変に恐れられるのは寂し——いえ、本意ではありませんので」

「わかります。すごく」


 民に慕われる魔王をめざしたことはない。だが、民から恐れられる魔王をめざしたこともない。

 意味もなく怯えられる魔王ではいつか、恐怖政治につながりかねない。それゆえ俺は特にその手のことには気をつけていた。

 もっとも、俺の代で途絶えてしまったのだから全ては水の泡といったところなのだが。


「あの——私からも、いいですか?」

「はい」

「出来ればでいいんですが……」

「なんなりと」

「では、その、初めて会った時と同じように、接してもらえませんか? もちろんお仕事の時は、今まで通りでいいですから」


 思わず目を丸くする。

 護衛艦隊の司令官という立場上、礼節をわきまえた接し方がいいと思っていたからだ。


「クリス提督が、それでよければ——いや、それでいいのなら、俺はそれで構わない」

「ありがとうございます。わがままばっかり言って、すみません」

「いや、いいんじゃないか?」


 いくら歳を考慮しないといっても、いつまでもそればかりでは肩の荷は重かろう。


「あ、飲み物も買いましょう。こっちです」


 普通に接したのがくすぐったかったのだろうか、クリスは早足で別の屋台へと急いだ。


「これが美味しいんです! 果物とミルクを混ぜたものです。特に苺味が絶品なんですよ」

「では、それで。それにしても、ミルクか……」


 前から気になっていたのだが、ミルクを得るには基本的に酪農が必要になる。

 だが酪農というのはかなりの面積が必要で、それはいかに船団の中枢船と言えども簡単にできるとは思えない。

 俺がそこのことをクリス提督に伝えると、彼女は少し首を傾げて、


「仰ることはわかりますけど、それほどでもないのでは? 少し大きめの水槽があれば事足りますし」


 ——水槽?

 いったい何の?


「すまない、変なことを訊くかもしれないが、このミルクは……なんのミルクなんだ?」

「本当に変なことを訊くんですね。ミルクといえば、ウミウシのミルクです」

「ウミウシ……?」

「はい、ウミウシです。もしかして、ミルクはお嫌いですか?」

「いや……そうではないが……」


 俺が知っているウミウシとは全く違った。


「もしかして、食用のウミウシも……?」

「もちろん、ありますよ。ほら」


 食肉と思しき店を指差して、クリスは続ける。


「あちらがサーロインウミウシ、こちらがテンダーロースウミウシ、そしてこれが最高級と名高いフィレウミウシです」

「お、おう……!」


 海獣であればまだマシだった。

 明らかに牛と同じ大きさのウミウシが水槽の底を歩き回っているのは、なんというか……心臓に悪い。


「これが、酪農の秘密か」

「秘密というほどでもありませんが……」


 どちらにしても、衝撃的だった。

 本物の牛が滅びていないことを、切に祈りたい。


「あ、ほら。あちらの屋台ではウミウシの乳搾りをやっていますよ。文字通りしぼりたてのミルクが飲めます」

「本当だな……本当だが……」


 水槽の底が加工してあって、ウミウシの腹の下が外に露出している。そこからミルクをしぼりとれるらしい。


「マリウス船長も、どうですか?」

「いや、今回は遠慮しておく。ウミウシとはいえ、そのな……」

「……あ! 女の子なのに変なことを聞いてすみませんでした!」


 正直にいうとウミウシの乳搾りということそのものを避けたかったのだが、クリスは別の意味で避けたと理解したようだ。

 しかしまさかと思うが、白いから乳牛ならぬ乳ウミウシということなのだろうか。

 食用のウミウシは茶色だったり黒だったりするので、その可能性はかなり高いがしかし……。


「お、お待たせしました。苺ミルクです」

「あ、ああ。すまない」


 考え事をしている間に、クリスは二人分の飲み物を買ってきてくれた。

 飲んでみると確かに、苺の甘酸っぱさとミルクのコクがよくあっている。

 ——ウミウシから絞ったものなのに、なぜこうも牛乳と同じ風味なのかが謎ではあったが。


「こちらが歓楽街ですね。今は日が高いのでどこも閉まっていますが、夜になると仕事を終えた人や交易船の船員たちで、かなり賑やかになりますよ」

「見た目が、劇場みたいなものもあるな……」


 前にいた船団では、酒場こそあったもののここまでの設備は整っていなかった。


「はい、劇場では演劇や歌劇、それに演奏会などが催されています。中には、お食事やお酒と一緒に楽しめるところもあるんですよ」

「そこまで! それはすごいな……」


 封印される前の俺の領土でも、そこまでの設備が整っているのは片手で数えるほどであったことを考えると、この中枢船の繁栄度がよくわかる。


 そしてそこを通り抜けると、急に緑が多くなり、建物が減っていった。


「調整地——? いや、違うな。純粋な公園か」

「そうです。住人の憩いの場ですね。まもなく船首ですが、そこからの眺めがすごいんですよ」


 公園部分の所々には、温室が建てられていた。おそらく、水耕栽培で野菜や果物を育てているのだろう。

 そしてその先には——。

 急に強い潮風が吹き付けてきた。みれば、切り取ったかのように青い海が広がっている。

 船首部は、展望台となっていたのだ。


「これは——」


 設えられた手すりにつかまって前を眺める俺。

 その眼下は船の舳先となっており、元々の高さと相まってかなり眺めがいい。


「どうでしょう?」

「ああ、いい景色だ……」


 ここまで巨大な船の舳先でこの景色を眺めていると、まるで自分が世界の支配者のように感じる。

 それは往時に半分くらい支配していた俺だからというわけでもないだろう。


「それでは、次に行きましょう。ここよりすごい、とっておきの場所に案内しますね」

「とっておき?」

「はい、とっておきです」


 再びクリスに導かれて、元来た道を戻る。だが途中で、舷側ではなく公園の木々が生い茂る中央へと方向を変えていく。

 その木々を越えていくと——。


「ここは……」

「街の中心部です。船団の真の中央といっても差し支えありません」


 そこは、巨大なすり鉢状の野外劇場のようになっていた。

 太古の競技場を模しているのだろうか、そんな雰囲気がある。


「底にある中央部分が、私のいうとっておきの場所です。行きましょう」


 ふたりで、野外劇場部分に設けられた階段を降りていく。

 中央にして最下層部には巨大な噴水のような装飾が施されているが、不思議と噴水そのものがなく、池のみがあった。

 ——いや、まてよ。

 すり鉢の高さと、この船の喫水線の高さを計算する。


「これは——海?」

「正解です。よく気づかれましたね!」


 嬉しそうに、クリス。

 わざわざ船の中央に穴を開けて、そこから海を見えるようにしてあるとは。

 見た目以上に、高度な技術を使っていることに、俺は眼を見張る。


「その海を覗いてみてください。そうすれば、この中枢船が滅多なことでは動かない理由がわかります」


 なるほど、そのために船内にわざわざ穴を設けたわけか。

 それならば、多少海が荒れてもこの部分だけは常に平穏を保つことができる。


「では——」


 俺は、海面を覗き込んでみた。

 透明度の高い海だ。色鮮やかな小魚が泳いでいる。さらに奥には——、

 奥には……。


「こ、これは……!」


 思わず二度見する。信じがたいことなのだが——。


「街が、ある……!?」

「はい」


 人間のものだろうか。それとも魔族のものだろうか。

 海藻や珊瑚に覆われて細かい造形がわからなくなってはいたが、たしかにそこには、街があった。

 元はかなり栄えていたのだろう。かなり大規模な街が、今は静かに海の下で佇んでいる。


「こんなところに、こんなに——」

「この海域にたどりついた、私たちの祖先もそう思ったそうです」


 クリスが静かにそういう。


「なので、ここに船団を作ろうと決めたんです。そして可能な限り、この海中の街を守ろうと思ったそうですよ」


 クリスの解説を聞きながらも、俺は海中の街に目が釘付けになっていた。

 一体いつ頃、海に沈んだのだろうか。

 それまでは、どこの領土であったのだろうか。

 そして、ここで暮らしていた住民は、海に沈む前に助かったのであろうか。


「それ故に、この中枢船は滅多に動かないんです。そのために、護衛艦隊を徹底的に強化しました」


 それが誇りであるように、胸に手を当ててクリスはいう。


「そして、それを引き継いでいるのが……私なんです」


 自然と、背筋が伸びた。

 この船団を守るため。

 そして、この海の下の街を守るため。

 幼い頃から、その信念を胸に……クリスは護衛艦隊の司令官という重い責務を全うしているのだ。



 ■ ■ ■



 昼が過ぎたころ、解散ということになった。

 クリスが、午後からは仕事に取り掛からなくてはならないからだ。


「今日はありがとうございました」

「こちらこそ。非常に有意義な経験だった」

「そうでしたか。それなら、よかったです」


 はにかむような笑顔を浮かべて、クリス。


「この船団のこと、気に入っていただけましたか」

「ああ、もちろん。だから——」

「はい」

「俺は……いや、俺たちは、しばらくこの船団を拠点にしようかと思う」

「本当ですか?」

「ああ。仲間たち——アリスやニーゴの意見も聞かないといけないが」


 おそらくふたりとも、反対することはないだろう。


「ありがとうございます。マリウス船長」

「マリウスでいい」

「わかりました。なら私もクリスと呼んでください」

「ああ、仕事の時以外は」

「ええ、仕事の時以外は」


 お互いに、笑い合い——そして、敬礼を交わす。


「これからよろしくお願いします。アンドロ・マリウス船長」

「こちらこそよろしくお願い致します。クリス・クリスタイン提督」


 またひとつ、俺にはやりたいことができた。

 この海の下にある街が、いったいどんな街であったのかを調べること。

 一筋縄ではいけそうにないが、その秘密を解き明かすことに胸が踊る。

 それは、忘れて久しい感覚だった。

■今日の水着解説(今日のNGシーンは都合によりお休みです)

「私、クリス・クリスタインの水着ですが、これは読者さんの世界でいう、新スクール水着と呼ばれているものです。アリスさんのと一緒ですが、アリスさんの方は肩の部分が白い紐になっているのに対して、私のは生地のままになっているのが特徴ですね」

「それより、普段背負っている赤い革の背負い箱の方が気になっているんだが」

「この中には、呼子の予備や、いざという時この格好のままで指揮が取れるように指揮杖と、腕章が入っているんです。それだけなら過剰に見えますが、丈夫に作ってあるので、後ろ向きに転んでも後頭部をぶつけることがないように配慮されているんですよ」

「な、なるほど……」

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