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勇者に封印された魔王なんだが、封印が解けて目覚めたら海面が上昇していて領土が小島しかなかった。これはもう海賊を狩るしか——ないのか!?  作者: 小椋正雪
第六章:タリオンの箱庭

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第一五一話:笑うポイント


 ふ。

 ふは。

 ふはは。

 ふはははは!

 ふははははは!

 ハハハハハハハ!

 ハーハッハッハッハァ!

 ↑久しぶりで自信がないのだが、これでよかったか?



『ちょ、ちょっとまってくださいよ!?』


 作業台にくくりつけられた機影が、慌てた様子でそういった。


「まつもなにもあるまい。お前の中にあるのだろう? 鍵の欠片が」


 そう言いながら、俺は光帯剣を引き抜く。

 刃の構成は、薄く、細く、そして短く。

 こんなこともあろうかと、機械を解体したり解析するときに使えるようにしておいたのだ。


「安心しろ。苦しむ間など与えてやらん」


 光帯剣をペンのように握って、俺。

 どうでもいいが、久々に魔王らしいことを言えたような気がする。


『いやいやいやいや! ちょっと顔が本気なんですけど!? あれ、なんですかこの枷、ボクが全力出しているのに全然緩まない!?』

「それはそうだろう」


 無理に身体をねじって戒めを解こうとしているが、解けるものなら解いてみるといい。

 それは、締め付ける力はさほどでないものの、脱出しようとすると強襲形態の雷光号でも引きちぎれない超高機能拘束具なのだから。

 ちなみに何故そんなものを作ったのかというと、あの忌々しい勇者を無力化させるためである。

 少しは時間稼ぎになれば――と思ったのだが、結果としてやつは12秒でこの戒めを突破した。

 つくづく、規格外の存在であったと思う。


『駄目ですって駄目ですって! 正確には格納されているんじゃ無くて、生成されるものなんですよ!』

「――ほう?」


 それは興味深い。

 つまり、内部に生成機能を組み込んでいるということか。

 おそらくは、新しい機動甲冑を生み出す技術を応用しているのだろうか。


『だからここでボクを解体しても得どころか、むしろここから出られなくて詰んでしまいますって! ほら、金の卵を産む鳥の話があったでしょう? あんな感じで後悔してもしりませんよ!?』

「それはそれで生成する構造を解析すれば、どうにかなりそうだがな」

『ああーっ!? やればできそうなところがこわい!』


 ただ、それにはある程度の時間が犠牲となってしまうだろう。

 俺はそれでも構わないが、リョウコとエミルの艦隊にとっては、たまったものではあるまい。


「まぁいい。それで、生成と言ったな? いったいどういう条件でそれが作り出されるか話して貰おうか」

『……ああ、それは簡単な話ですよ。それはですね――』


 自分の領分に戻ったと判断したのだろう。

 いつもの余裕のあるしゃべり方にもどって、機影は語りはじめた。




■ ■ ■




『はい! というわけではじまりました』


 雷光号の甲板には、急ごしらえの会場ができていた。


 俺、アリス、クリス、ニーゴ、リョウコ、そしてエミルが横一列に並び。甲板に敷かれた分厚い正方形の敷物の上に座らせられている。

 雷光号自体は、例の隠匿された光の柱のすぐそば(欺瞞の魔法で目視できないが、おそらく)に停泊しており、その付近には、先ほどまで岩の柱付近に待機させていたリョウコとエミルの艦もいる。

 要は、全員ですぐにでも移動できるように集まっているのであった。


『あらためて説明しましょう。ボクの感情を三種類高ぶらせると、残りみっつの欠片がでてきます。そうすれば、この領域から脱出することが可能なんですねぇ』

「――あの、それなら」


 敷物の上に行儀良く座りながら、アリスが挙手をする。


「はいアリスさん早かった」

「マリウスさんがそのひとを解体しようとしたら『恐怖』でひとつは出てくるのでは?」

『やだこの子、おとなしそうな顔しているのに怖い!』


 たしかに言うことは物騒だが、それは俺も考えていた。


『残念ながら《恐怖》はありません! ボクがお題を出すので、皆さんそれを答えてください』


 なるほど、そういう方式か。

 東の寺院でよく見る問答というものに近い。

 もっともあれは、公正明大であることが前提条件であるが。


『というわけで、最初のお題は――』


 姿勢良く座ったクリスが、息を呑む。


『エロい話』

「「「『「「は?」」』」」」


 俺、アリス、クリス、ニーゴ、リョウコにエミルの声が、期せずして重なった。


『ほら、皆さんあるでしょ? ちょっとしたトラブルで着替えを覗いちゃったとか、覗かれちゃったとか、ウヒヒヒヒ』


 実にいやらしい笑い声をあげて、機影はそういった。

 周辺の温度、特に女性陣の周りの空気が、一気に冷えているのにもかかわらず。

 こやつ……。

 自分が安全圏にいると思って好き勝手言っているな……?


「なぁ。やっぱこいつ、解体したほうが良くね?」

「そうだな」

『あっ、あっ、ちょっと!? 武器を構えちゃめっ! めっ、ですよ!」


 エミルの凶悪な声と、俺の返事が冗談に聞こえなかったのだろう。

 急に焦りはじめる機影だった。


 正直に言わせてもらえると――。

 解析、本気でやってもいいかもしれない。


『何度も言いますが、ボクを解体した時点で、皆さん脱出は不可能になります! なりますからね!』


 それならば、もう少しやりやすい方向を考えれば良かろう。

 本気でそう思う俺であった。

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