表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者に封印された魔王なんだが、封印が解けて目覚めたら海面が上昇していて領土が小島しかなかった。これはもう海賊を狩るしか——ないのか!?  作者: 小椋正雪
第六章:タリオンの箱庭

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

141/385

第一四一話:揚陸戦艦鬼斬改二


「前方十二時の方角、敵影1! 機動甲冑です!」


 表示板をのぞき込みながら、アリスがそう叫んだ。

 三隻の艦――すなわち俺達の雷光号、エミル座乗の水母戦艦『轟基(ゴゥベース)』、そしてリョウコ座乗の揚陸戦艦『鬼斬改二』での航行中でのことだ。

 『鬼斬』が改二となって再び航行できるようになったので、俺達は新たな拠点を探しに、全員で移動することにしていたのであった。


「砲撃よう――」


 い、と俺が言おうとしたときである。


「『鬼斬改二』より発光信号! 『ワレトツゲキス』」


 アリスが言い終わるかいなやというところで、『鬼斬改二』が突出した。

 そしてその巨大な衝角で、敵機動甲冑の胴体を串刺しにする。

 直後、その衝角がわずかに開き、そこから大量の白兵戦部隊が飛び出してきた。

 そして彼らは一斉に抜刀すると、その刀身を機動甲冑の関節という関節に突き立てる。


 その光景に、俺は遠い昔、封印される前の光景を思い出さずにはいられなかった。


 封印される前、まだ人間が機動甲冑を模倣する前はあのように戦っていたのだ。

 もっとも、いまのように洗練されてはいなかったが……。


「敵機動甲冑、沈黙!」


 アリスがやや興奮した声音でそう報告する。

 その気持ちは、わからなくもない。


「雷光号、強襲形態。敵機動甲冑が沈む前に回収しろ」

『あいよっ!』


 沈む機動甲冑に巻き込まれないよう白兵戦部隊が鮮やかに撤退していく中、周辺の海を蒸気に変えて雷光号が変形する。



■ ■ ■



「無茶しやがるな」

「単座水雷艇で戦う貴方たちに言われたくありません!」


 開口一番に、エミルはそういった。

 即座にリョウコが反論したが、俺からしてみればどっちもどっちである。

 揚陸戦艦『鬼斬改二』作戦指揮室。

 前半分の揚陸指揮所として設けられたそこは、上陸作戦という大規模な戦闘を遂行できるよう、かなり広めに造られていた。


「でもよ、砲撃無しでやらなくてもいいだろ」

「いいえ。弾薬が残り少ないいま、この方が長期的に見て有利と判断します。貴方がたの自慢の銛も、無尽蔵というわけにはいかないでしょう?」

「む……いわれてみれば、確かにそうだな……」


 その通りなのだろう。エミルは深く頷く。


「各自の弾薬と燃料は後どれくらいだ?」


 と、俺。

 いままで言及してこなかったが、この世界の蒸気機関は、石炭のようなものを用いている。

 ようなものといったのは理由(わけ)があって、こちらのそれは、燃やしても黒煙をほとんど出さないのだ。

 俺が封印される前、そんなものは存在していなかったので、なんらかの技術改良かとも思ったが、採取方法が比較的浅い海底炭鉱からの採掘と聞いて、考えを改めた。

 いくらなんでも海底の資源を技術で改良するのは無理だからだ。

 そうなると、残る可能性は魔族の関与だが……。

 物証が少ない現時点では、検証しようが無かった。

 ちなみに弾薬はあまり変わりが無い。だが、こちらも煙が少なくなるように改良されていた。

 元々火薬は人間側が開発してきたものなので、おそらくこちらに魔族は関与していないだろう。

 さて、その備蓄は――。


「弾薬はまだ余裕があるが、燃料がな――ちと潜って掘らなきゃならんって感じだ」

「こちらもそんな感じです……マリウス殿は」

「どちらも余裕がある。とはいえ弾薬はともかく燃料はそちらと規格が違うからな――」

「発掘品なんだから、仕方ねぇよ」


 正確に言えば、雷光号の機関は俺の魔力に依存している。

 もっとも、俺が不在のときでもある程度は動けるよう魔力を貯蔵できるようになっているので、不在時に即行動不能になるということはないが、その特性上燃料という概念が無いため融通しようがない。

 そして弾薬だがこちらも小口径の速射砲であれば向こうの副砲に融通できたが、主砲となるとそうはいかない。

 頭に水母や揚陸とついてはいるが戦艦は戦艦であり、大きさとしては巡洋艦に相当する雷光号では主砲弾は小さすぎるわけだ。

 ちなみに、弾頭はどうしているのかというと適時雷光号が()()している。他の艦の場合はそんなことはできないので、備蓄には気を配っているのだろう。

 それならば――。


「では、速射砲の弾をそちらの副砲用に融通しておこう」

「いえ、この三隻でもっとも機動力が高いのは雷光号です。いざというときに速射砲の弾切れを気にしていては、総合的に不利になりましょう。なのでそのままでよろしいかと」

「オレも同意見だな。どっちも戦艦っちゃ戦艦だが、オレらは水雷艇、向こうさんは斬り込みが本来の得物だ。だからまっとうに撃ちあうのはそっちにまかせたいってわけだ」


 さすがはそれぞれの船団の防衛を一身に担う司令官だった。

 戦術面では無く、戦略面で俯瞰している。


「そういうわけでは、しばらくは私達の斬り込みを主眼に置いた戦略を敷くことを提案致します」

「しゃあねぇな」

「こちらも異存はありません」


 と、司令官の顔でクリスも賛同する。

 そういうことならば、俺にも異存は無い。


「となれば、あとは新しい拠点か……」


 さいわいにして、フラットから偵察に出した数隻の単座水雷艇から、いくつか候補はあがっている。

 あとは、それをしらみつぶしに調査すればいいだろう。


■本日のNGシーン


「『鬼斬改二』より発光信号! 『ワレトツゲキス! 知波○学園ノ魂、トクトミヨデアリマス!』」

「どこだそこ」

『あれにおさまるアヒル探すの、結構手間じゃね?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ