ルナサイド
日直の先生を待っていても、誰もこない。
仕方なく指示通りに天文台に向かう事にした。
「あ、ルナ!」
先に待っていたのは「大狼」。
といっても、いつも通りピンクのオーラを放っている。
「よかった、今夜は一緒にいられるね!」
「彼女かよ……それにしても、先生たち、私たちを置いて帰っちゃったのかな?」
「私だって帰りたいよぉー」
「でももう、学校閉まってるよね」
厳重にセキュリティ管理がされている私たちの学校では、日直の先生が帰ってからは学校に入る事はおろか、出る事すらできない。もっとも、それで一晩閉じ込められた生徒など聞いた事もなかった。
「そうだよね、もう学校閉まっちゃったか」
「でもたまには学校に泊まるのもワクワクしない?」
「そうだね!」
最初こそ怖かったが、今ではむしろこの状況を楽しんでいる。
しばらく満月を眺めながら話をしていたら、手元の時計は0時に近づいていた。
「もう寝てもいいかな?」
「天文台で寝るの?」
「毛布もあるし大丈夫!」
「そうだね、じゃあおやすみ!」
「おやすみ」
眠ろうとした時のことだった。
身体中に激痛が走った。
身体が奥から割かれそうな痛みだ。とても耐えられそうにない。
私は声を上げようとしたが、それよりも先に気を失った。最後に、鐘の音を聞いた気がした。