怪盗サイド
指定された場所に行く途中に、職員室がある。職員室に行けば、ひょっとしたら助けてもらえるかもしれない。淡い期待を抱いて、職員室を覗いた。
コンコン。
「失礼しまーす」
「……」
「あの、誰かいませんか?」
「……」
嘘だ。誰もいない。まだ最終下校時刻からは1時間も経っていない。手元の時計は19時16分を指している。先生たちが全員帰るにしては、早すぎではないか。
でも、職員室の電気は点けっぱなしだ。もしかしたら集会室で職員会議でもやっているのかもしれない。そう思って、そのまま自分の指定場所に向かった。
ガラガラ……
やっぱりここにも誰もいない。そんな気はしていた。
しょうがなく、部屋の真ん中のソファに座って、タブレットを見た。
____夜のアクションを開始してください____
____あなたは【怪盗】です。毎晩1人のプレイヤーの部屋に侵入し、そのプレイヤーの正体を暴くことができます。しかし、人狼、大狼、狩人、老兵、妖狐、これら5つの危険なプレイヤーの部屋に侵入すると、あなたが死亡します。ただし、1日目に限り、自分の部屋に籠る事ができます____
ソファの上には、顔の全面を覆うようなマスクと、黒い服が置かれている。なるほど、これを着て他のプレイヤーの部屋に行くのか。
____ターゲットを選んでください____
いや、ノーヒントでターゲットは選べない。11分の5の確率で死亡してしまう。迷わず自分の部屋を選択した。