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人狼学園  作者: 天草メイ
4日目
33/39

人狼裁判⑵


「死んだ奴にゲームマスターなんてできないだろ」


カケルが呆れたように言った。


「そ、そうだよな、そんなことあり得ないよな」


レオもなんとなく怖がっているようだ。


「でもさ、私たち何度も10月31日に戻ってるんだよ。あり得ないことも、十分に起こり得るんだよ!」


キョウカが反論する。私も不思議とマイカが関わっていると感じていた。


「繰り返される万聖節前夜。ここではきっと何が起きてもおかしくない。マイカがゲームマスターをやっていても、きっとおかしくない」


「……たしかに」


レオは簡単に納得した。


「でも、どのみち次はどうせルナが処刑されて、村人が勝つんだよ」


そうだ。もう妖狐も確実にいなくなった今、人狼の私が処刑される他はない。


だけど、私はこのゲームの真相に辿り着かなくてはならない。


「カケル、村人が勝ったらどうなると思う?」


レオが聞く。


「キョウカとレオと俺で生き残って、きっと元の日常が戻ってくるだろ」


「俺にはどうしてもそれでいいと思えないんだ」


「なんでだ?」


「このまま村人が勝ったらさ、結局この人狼ゲームの真相がわからないままじゃん。それに3人しかいないS組なんて寂しいし」




____時間切レ。参加者ハスグニ処刑投票ヲ行ウコト____




突然、放送が流れた。人狼裁判の時間はいつの間にか終わっていた。


「……投票だ」


「待て、カケル。このゲームの真相を知らずに終わらせるなんて嫌だよ」


「じゃあどうしろって言うんだよ」


「……探そう。マイカを」


「そうだよカケル。マイカを探して、このゲームの真相を確かめようよ」




「……わかったよ。俺は狩人だ。自室に武器があるから、それを携行しよう」


「さすがカケル!」


「私には時間がない。午前0時になると、きっと狼になって皆を襲うことになる」


「ルナ、それは本当か?」


「うん」


私が繰り返される10月31日の最後に、いつも痛みを感じて意識を失うのは、狼になっていたせいだ。”昨晩”そのことを確信した。


「わかった。万が一午前0時になってルナが人狼になったら、銃殺するからな」


「え⁉︎そんな……」


「その前にマイカを見つければいいだろ」


そう言うカケルは、滅多に見せない笑顔を私に向けた。


いつも冷徹な印象だが、端正な顔立ちをしたカケルは、笑うと俳優にも負けない程格好よかった。そして心強く見えた。


「とりあえず武器を取りに俺の部屋に向かう」


「ねえカケル、ついていってもいい?」


「俺も」


「いや、一人で行くよ」


「でもなんとなく不安だから」


「……じゃあ、全員ついてきて」


こうして私たちは、カケルの部屋、体育館棟4階、弓道場に向かった。


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