4日目
いつもと同じ時間に起きると、やはり私は自分の家の自室のベッドの上にいた。
”昨晩”は学校を休むつもりだったが、やはり行く事にした。行かなくてはならない気がした。
「ルナ、朝ごはんよー」
「はーい、今行くー」
母がリビングから呼びかける。
「今日も健康的な一汁三菜、和風焼き魚定食よー!」
そう言って母は嬉しそうに焼き魚を出してきた。これを最後の朝食にはするまい。
「あら、ハロウィンじゃなーい」
テレビニュースを観ていた母が言う。
「今日は待ちに待ったハロウィン♪ということで、今日はハロウィンのスイーツ特集!」
4回目のハロウィンがやってきた。
でもきっと、5回目は来ない。
”今日”学校に行って、このゲームを終わらせる。
教室に入ると、黒板には10月31日と書いてあった。
「おはよー…」
「お、今日も遅かったね」
始業ギリギリに、キョウカが入ってきた。もうその隣に、ユヅキはいない。
「おはよー、ホームルーム始めるぞー」
担任が入ってきた。
「出席を確認する……どうしたんだ?タイト、ミユ、サトミ、それにショウもユヅキも、チヅルもケイスケもリュウセイもいない。皆どうしたんだ?欠席連絡も入っていないぞ!今日ハロウィンパーティーやるんだろ?皆どうして来ないんだ……電車でも遅れてんのか?それにしてもユヅキはチャリ通だろ?」
これだけ来なければ、さすがに担任も驚いているようだ。
”昨日”処刑されたショウと、その後を追ったユヅキに加えて、チヅル、ケイスケ、リュウセイの姿も無かった。
ん?おかしいぞ。
私が昨日ターゲットにしたのはチヅルだ。ケイスケとリュウセイはどうしていないのだろう。
さては彼ら2人とも、人狼ゲームから逃げたのだろうか。
5限の化学実験が終わり、ロッカーから白い封筒を取り出す。
____【3日目結果】チヅル、ケイスケガ死体デ発見。リュウセイガ悲シミノアマリ死亡。人狼裁判本日最終下校時刻ヨリ開始。ゲームマスター____
ケイスケとリュウセイが死亡?
そんなはずはない。
”昨晩”は人狼の襲撃が原因の死亡以外は考えられないはずだ。
怪盗のサトミも、妖狐と背徳者のショウとユヅキも死んでいる。
残っていたのは人狼、狂人、狼少年、共有者、狩人。つまり人狼の襲撃以外で死ぬ役職はもう残っていなかったはずなのに。
封筒には写真が2枚入っていた。
1枚はチヅルが喰い殺されて倒れているものだ。
そしてもう1枚はケイスケとリュウセイの亡骸だ。ケイスケの上にリュウセイが覆い被さるように倒れている。
2人とも傷ひとつない。しかし死んでいることに間違いは無かった。
ケイスケとリュウセイはどうして死んだのだろうか。
「どうして死者が3人も出るんだ?」
カケルもそう呟いていた。
「ケイスケもリュウセイも死んじゃうなんて……無茶苦茶だよ!」
レオは今にも泣きそうだ。
これで生存者は私、キョウカ、カケル、レオの4人だけになってしまった。
私はもう一度、白い封筒を見た。今ならこの字が誰のものか分かる。
今日、全てを終わらせよう。




