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狩人サイド⑵
手元の腕時計は0時を回ったところだ。図書館棟の窓からは、不気味なほど大きな満月が見える。全く欠けていない。完璧な満月だ。
もう数時間図書館前で待っている。
しかし人狼らしき影すら見当たらない。
今夜人狼がチヅルを襲撃しに来ることは無いのだろう。
そう思った時だった。
「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁ」
悲鳴が聞こえた。
間違いなく女の声だ。
俺は図書館に飛び込んだ。図書館の電気は消えていた。
懐中電灯で恐る恐る照らしてみる。
しかしそこには、何もなかったかのようにすやすやと眠るチヅルがいた。
少し安心して図書館を出た。
……ん?じゃああの悲鳴は誰だったんだ?