怪盗サイド⑵
サトミサイド⑵
ゴーン__……
0時の鐘が鳴った。
保健室を出る。
チヅルの部屋は図書館だ。A棟1階の廊下をまっすぐ歩いて、外に出ると、目の前に大きな図書館がある。保健室から一番の近道はそれだ。
廊下には、月明かりだけが射していた。窓からは不気味なほど大きな満月が見える。少し不安な気持ちにもなったけれど、この格好をしていればなんとなく無敵な気がする。
廊下の行き止まりまで来て、外に出ようとした。
その時、後ろからガサゴソと物音がした。振り向くのは少し怖かったから、外へ続くドアを開けようとした。
だけど…開かない。
よくよく考えればそうだ。誰もいない校舎のドアに鍵がかかっていなければ、セキュリティに大分問題がある。ドアをこじ開けようとしてもビクともしない。
そんなことをしているうちに、物音は近付いていた。しかも足音のようだ。
何かがいる……!
どう考えても人間の足音ではない。でも足音だ。
逃げたくても逃げ場がない。
私はドアとその何かに挟まれてしまった。どうしよう。暗くてよく見えない。
そしてその何かは、獣のような鳴き声をあげた。
次の瞬間、全身に刺すような痛みが走った。
なんで____?
どうして____?