共有サイド
社会科研究室に入る。社会科の先生の中にはテニス部と弓道部、放送部の顧問がいるので、入り口付近には、それらの部室の鍵がある。
それにしても、夜の学校は気味が悪い。
共有者同士は互いの部屋を行き来して良いことになっている。もちろん、他のプレーヤーに分からないように。
もともと怖がりの私は、夜の学校の一室に一人なんて状況は耐えられなかった。だから人狼裁判閉廷後、すぐにもう一人の部屋に行った。
「こんばんはー」
「もう来たの⁉︎」
「えーいいじゃん一人より」
「まあ……」
彼女は、私の幼馴染。小学校からの付き合いになる。いつも2人でバカなことをやってきた。
でも、なにか困った時は一番最初に相談する。本当に大切な存在。今回の人狼でも、もう一人の共有者が彼女で安心した。
「ミユとタイト……死んじゃったね。まさか本当に死ぬとは思わなかった」
「うん。きっとみんな、まさかとは思ってただろうね」
「やっぱり、あの噂、本当なのかな?」
「『万聖節の前夜人狼をすると、何かが起こる』ってこと?」
「うん」
「ただの噂だと思いたいよ。だけど……ね?去年の人狼でも『何か』が起こったわけだから……」
そうだ。去年の今頃も私たちは13人で人狼をしていた。噂の真相を確かめるために。あまり思い出したくはなくて、もはや記憶から抹消していたけれど。
しばらく沈黙が続く。
「最近あんまり一緒にいられなくてごめんね」
ユヅキが口を開いた。
たしかに、彼氏が出来てからというもの、あんまり私の相手をしてくれない。
大事な幼馴染が取られたみたいで、私の心にはぽっかり穴が開いていた。
でも、今は2人きりだ。独り占めにできる。
「ううん、彼氏は彼氏で大事だしね!気にしないで!朝はいつも一緒だし」
心ではそう思っていないが、私は努めて明るくそう言った。
「ありがとう。私ね、キョウカのことは大好きだよ。でもね、ショウも私のことすごく大事にしてくれる。だから私もショウとの時間を大事にしたくて……」
「その気持ち、すごくわかるよ!でも一つだけ聞いていい?」
「なに?」
「私たちは、ずっと大事な友達だよね?」
「いきなりどうしたの⁉︎」
ユヅキはびっくりしていた。私がこんなことを聞くのは、初めてだから。
「この人狼ゲームでは、本当に人が死んじゃうじゃない?だから、私不安なの!ユヅキも私のそばからいなくなっちゃうんじゃないかって」
涙が出てきた。
「そんなことないよ!私はずっとキョウカのそばにいるから!」
「ほんとに?」
「うん、ずっと一緒だよ!たとえ人狼をやっていたとしても、私たちは、あの子達みたいにはならない」
ユヅキが力強く頷いてくれたから、きっと大丈夫。私はそう思った。




