11
少し早歩きで40分ほど。街に着く。
結構近いな。
街は血気盛ん。商店も数多くある。
「はぐれて迷子だ」
人波に流された。動き回るべきか動かざるべきか……。じっとしてるのも退屈だな。動くか。
「あの、これ、買った、下さい」
目の前にフードを深く被った謎の奴現る。声を聴く限りは女。差し出されたのは水筒みたいな何か。
「金はない」
喉は乾いているが金がないからしようがない。
「あ、えっと、あの、じゃあ、ど、どうすれば?」
……何を聞かれているんだろう……?
「えっと、なにが? もしかして誰かと間違ったりしてない?」
「い、いえ、あなた、です、違う、ないです」
「……」
「み、見つめられると、照れます」
「詳しく話を聞きたいんだけど」
「な、なにを、ですか?」
「……俺で間違いない?」
「は、はい」
「それはなんで?」
「夢で、みた、ので」
「夢?」
こっちの夢と何か関係あるかな……
「はい」
「……えーと、なんでその夢で俺を見たから来たの? 言葉が変になってきた」
「ロォムは、予知夢、だから」
ロームってのはこいつの名前でいいのか?
「予知夢をみることができる……でいいんだよな……。 えーと、あー、その夢はどんな夢だった?」
「ロォムが、助かる、あなたが、お金、くれる」
要領を得ないな。
「お金に困ってんの?」
「違う、ます、お金は、ない、ません、けど」
さらに分からなくなった。
「んー、何から助かる夢だった?」
「分から、ません、助かる、ことしか」
これはもう無理だ。手に負えん。
「すまんな。力になれない。予知夢とかも専門外だ」
立って歩き始める。
「ま、待って、下さい」
構わず歩く。今現在、自分自身が困っているんだ。非情かもしれないがここは仕方ないって言葉でやりすごそう。
「あ、あの、待って、くだ、おねが、ます」
三十分ほど歩き回ったか。カムサは未だ見つからず。
ふと後ろを振り返ってみる。
ロングコートにフードを深く被った奴が
「いるし」
「わかった。もう少し付き合う」
「ありが、ござ」
「え~とー、助からないとあんたはどうなんの?」
「ロォム」
「ん?」
「ロォム」
「ローム?」
「うん、ロォム」
「助からないとロームはどうなんの?」
「それも、分から、ません」
あぁ、めげたい……。
「んぁ~、お金をロームにあげることでロームが助かる?」
「ちょっと、違う、思う、でも、お金、大事」
「金を用意して待っとけってことか。つっても今からどうやって金を……つーかいくら必要なんだ?」
「わから、ません」
何もかもが不明瞭だ。
「金はカムサに何とかしてもらうしかねーな。やっぱりカムサは探さなきゃか」
「ロォム、一度、仕事、戻る」
「いいのか? 俺が他人事だって逃げるかもしれないぞ?」
「大、丈夫、あなたは、覚えた、すぐに、みつけ、られる」
「そ。じゃあ一旦解散」