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 少し早歩きで40分ほど。街に着く。

 結構近いな。

 街は血気盛ん。商店も数多くある。




「はぐれて迷子だ」


 人波に流された。動き回るべきか動かざるべきか……。じっとしてるのも退屈だな。動くか。


「あの、これ、買った、下さい」


 目の前にフードを深く被った謎の奴現る。声を聴く限りは女。差し出されたのは水筒みたいな何か。


「金はない」


 喉は乾いているが金がないからしようがない。


「あ、えっと、あの、じゃあ、ど、どうすれば?」


 ……何を聞かれているんだろう……?


「えっと、なにが? もしかして誰かと間違ったりしてない?」

「い、いえ、あなた、です、違う、ないです」

「……」

「み、見つめられると、照れます」

「詳しく話を聞きたいんだけど」

「な、なにを、ですか?」

「……俺で間違いない?」

「は、はい」

「それはなんで?」

「夢で、みた、ので」

「夢?」

 こっちの夢と何か関係あるかな……

「はい」

「……えーと、なんでその夢で俺を見たから来たの? 言葉が変になってきた」

「ロォムは、予知夢、だから」

 ロームってのはこいつの名前でいいのか?

「予知夢をみることができる……でいいんだよな……。 えーと、あー、その夢はどんな夢だった?」

「ロォムが、助かる、あなたが、お金、くれる」

 要領を得ないな。

「お金に困ってんの?」

「違う、ます、お金は、ない、ません、けど」

 さらに分からなくなった。

「んー、何から助かる夢だった?」

「分から、ません、助かる、ことしか」

 これはもう無理だ。手に負えん。

「すまんな。力になれない。予知夢とかも専門外だ」


 立って歩き始める。


「ま、待って、下さい」


 構わず歩く。今現在、自分自身が困っているんだ。非情かもしれないがここは仕方ないって言葉でやりすごそう。


「あ、あの、待って、くだ、おねが、ます」




 三十分ほど歩き回ったか。カムサは未だ見つからず。

 ふと後ろを振り返ってみる。


 ロングコートにフードを深く被った奴が

「いるし」




「わかった。もう少し付き合う」

「ありが、ござ」

「え~とー、助からないとあんたはどうなんの?」

「ロォム」

「ん?」

「ロォム」

「ローム?」

「うん、ロォム」

「助からないとロームはどうなんの?」

「それも、分から、ません」

 あぁ、めげたい……。

「んぁ~、お金をロームにあげることでロームが助かる?」

「ちょっと、違う、思う、でも、お金、大事」

「金を用意して待っとけってことか。つっても今からどうやって金を……つーかいくら必要なんだ?」

「わから、ません」

 何もかもが不明瞭だ。

「金はカムサに何とかしてもらうしかねーな。やっぱりカムサは探さなきゃか」

「ロォム、一度、仕事、戻る」

「いいのか? 俺が他人事だって逃げるかもしれないぞ?」

「大、丈夫、あなたは、覚えた、すぐに、みつけ、られる」

「そ。じゃあ一旦解散」

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